選抜:数字から見る、東邦エース・石川昂弥の成長!
今日で第91回選抜高等学校野球大会は東邦の優勝で幕を閉じました。
今日からは何回かにわけて、大会を振り返っていきます。
今日は東邦のエース・石川昂弥投手です。まずはこちらの表をご覧ください。
1回戦で163球を投げて完投した石川投手。昨今の投手の事情を懸念する方の中には、『投げすぎ』と思った方がいたかもしれません。
しかし、1回戦の球数の推移をご覧いただいてもわかる通り、確かに5回途中で100球に達するなど多くはなっていますが、終盤の3イニングを35球でまとめているんですね。ファーストストライクから打ちに打者が少なかった富岡西には三振が多くなったことで、球数もリンクしましたが、この終盤3イニング35球という数字が石川投手の成長のきっかけになったように感じます。実際、中盤までの球数と相手打線の特徴を考えると180球を超えてもおかしくない展開でした。
2回戦と準々決勝では打線が得点差を広げたことで、石川投手が終盤にサードのポジションに回り、体力を温存することもできました。これも大きかったように思います。
【試合の中で投手の肩肘腰などの負担を軽くする=打線がたくさん得点して点差を広げてあげる】というのも、投手の負担軽減には大事なことです。この2試合でもしキツイ展開になっていたら、また準決勝と決勝の状況は変わったかもしれません。
明石商業の中森俊介投手との投げ合いとなった準決勝。厳しい展開のように見えましたが、富岡西戦を経て成長の兆しを見せていたことが、この投げ合いでの球数にも表れています。100を超えたのは7回途中。相手打線の特徴や戦術など試合ごとで違いはありますが、5回途中で100を超えた富岡西戦との差は表を見てもわかると思います。
そして決勝の97球完封。ここには1回に自らが先制本塁打を放って気持ちよく投げられたというのが好投の要因の一つでしょう。
1回戦の163球を見た方は、97球で1試合を投げ切る想像ができなかったかもしれません。でもこれが1人の投手の成長ということなのです。
163球を投げたけど、終盤3イニングを35球でまとめた。こういった投手の成長の部分にも着目してほしいと思います。
(文=松倉雄太)