試合レポート

山梨学院vs札幌第一

2019.03.25

山梨学院、日体大の速球投手の対戦経験を活かし、24得点の大爆発!

 24安打3本塁打24得点と札幌第一を圧倒した山梨学院。その突破口を切り開いたのが、菅野秀斗だろう。いきなり125キロのストレートを振りぬき、ライトスタンドへ。先制ホームラン。これで一気に活気づいた山梨学院は初回に8安打10得点。最後は3番野村健太の3ランで10点目を入れた。

 その後も菅野は安打を重ねた。第2打席は左前安打、第3打席は左前安打、第4打席は中前安打、第5打席は左前安打とボールに逆らわない打撃が目立った。菅野はオープンスタンス気味に構えた。打撃開花のきっかけは小倉清一郎コーチの指導が大きかった。これまでも小倉氏の指導をすぐに鵜呑みにせず、自分の感覚を大事にフォームを築き上げた菅野。3月頃にもらったアドバイスが「前よりのポイント」で捉えることだ。

 これまでチームの指導で引き付けて打ち返す打法を実践していたが、この教えは飛距離を伸ばしたい菅野にとっても大きなアドバイスで、「本塁打を打てたのも前でボールを捉えることができたからだと思います」と振り返った。

 一方、野村健太。野村がこれまでテーマにしていたのは構え遅れをしないこと。グリップの位置を低くして、スクエアスタンスで構える。スムーズにトップに入ることができており、この試合も外角の高めのゾーンを見逃す事なく、長打にできていた。ただ野村は自分の打撃フォームに満足しておらず、凡退した打席については「ヒッチをしてしまい、構え遅れをしてしまいました」と反省している様子だった。ホームラン2本を打っているとはいえ、「今日は狙い球を打てたのですが、いざ狙い球が外れても、甘いボールがきたとき、反応できるかというと不安があります」とさらに高いレベルを求める野村。こういう姿勢が驚異的なペースで本塁打を積み重ねることができるのだろう。

 菅野も野村も共通して語っていたのは3月8日の日体大とのオープン戦の経験が今の打撃に生きているということを話してくれた。

菅野は「あの試合で自分の打撃は右手の手首の返しが早いことに気づきました。グリップからバットを出すことで良い感覚で打ち返すことができました」と瞬時に自分の打撃フォームを修正できる野球センスは卓抜している。野村は「速球を打つうえで、目を慣らすことができたので、収穫があった試合でした」と振り返る。

 また多くの選手が目慣らしにかなり良かったと語っている。なんといっても、
川畑 大地乙訓)、矢澤宏太藤嶺藤沢)、早稲田 玲生宇部鴻城)と高校時代から好投手として鳴らしてきた投手と対戦できたことは大きな財産となった。特に矢澤との対決は衝撃を受けたようだ。矢澤は常時140キロ中盤・最速147キロ、130キロ前後の高速スライダーを投げ込む速球派左腕。今年の高校生で言えば及川雅貴クラスだ。そんな矢澤に対し山梨学院の選手たちはこう感じている。
「僕が今まで対戦してきた投手の中で一番速かったです」(中堅手・渡邉 嵩馬
「速かったです。スライダーが消えて見えました」(三塁手・高垣 広大
「僕が今まで対戦した投手の中でも一番速かったです」(遊撃手・小吹 悠人
一度、高いレベルを知るとその後、楽になる。多くの選手が日体大の投手と比べたら、高校生の投手の対応はやりやすいと感じている。彼らのコメントを聞いて、大学生とオープン戦を行う意義はかなり大きいと実感できるだろう。

 山梨学院がクレバーなのは絶え間なく得点を重ねたこと。その攻撃内容も強引な打撃にならず、センター方向へ打ち返す打撃を徹底。これは吉田監督の方針で大差になると、大振りで打撃フォームを崩しやすい経験が多かったため、それを防ぐために行っているという。

 次戦以降も見据えながら、試合運びを行う山梨学院の打撃に隙は見当たらない。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.05.07

【熊本】九州学院が文徳を破って22年ぶり3回目の優勝<RKK旗>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.02

春の神奈川準決勝・東海大相模vs.横浜の黄金カード実現! 戦力徹底分析、試合展開大胆予想!

2024.05.02

【茨城】常総学院、鹿島学園、水戸一、つくば秀英が4強入り<春季県大会>

2024.05.02

激戦必至の春季千葉準決勝!関東大会出場をかけた2試合の見所を徹底紹介!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>