星稜vs近江
星稜・奥川と近江・林が白熱の投手戦を披露
星稜のエース・奥川恭伸
1年前の激闘再び。
昨年のセンバツ3回戦で延長10回の大接戦を演じた星稜と近江が練習試合で激闘。星稜・奥川恭伸(新3年)、近江・林優樹(新3年)の両エースが投げ合うということもあり、プロのスカウトや報道陣が大勢駆けつけた。
星稜は神宮大会準優勝の実績があり、センバツでは優勝候補の本命に挙げられている。近江も近畿大会初戦で敗れてセンバツを逃したが、総合力の高さはセンバツ出場校に見劣りしない。星稜の林和成監督はちょうど1週間後に初戦の履正社戦を控えていることもあり、「今日はセンバツ1回戦だと思って試合をしよう」と選手たちに声をかけていたという。
試合は大方の予想通り、投手戦となった。近江の林は得意とするチェンジアップとストレートの緩急をうまく使い分け、星稜打線を翻弄する。一方の奥川は「フォークが定まらなかった」(山瀬慎之助捕手・新3年)とストレートとスライダーが中心の投球となったが、力のあるストレートは健在。アクセル全開とはいかないものの、「7割くらいだと思っていたが8~9割くらいにはなった」(林監督)と徐々に状態は上げており、近江打線を圧倒する。
均衡が破れたのは4回表。この回先頭の4番・内山壮真(新2年)が、1ボールから甘く入ったスライダーを逃さず振り抜き、左中間へのソロ本塁打を放つ。
近江のエース・林優樹
失投で1点を許した林だが、与えた点はこの1点だけ。神宮大会準優勝の星稜打線をわずか3安打に抑え込み、昨夏の甲子園で見せた快投をこの日も披露してくれた。
奥川は予定していた7回を投げ切り無失点の好投。被安打5、四死球0、奪三振5という完璧に近い投球内容だった。奥川は「最後の回は疲れを感じていたんですけど、7回を投げ切れたことは順調に来ていると思います」と手応えを感じていた。
奥川に対して5安打無得点に抑えられた近江だが、2安打を打って存在感を示したのが4番の有馬諒(新3年)。守備力に定評のある選手だが、打撃力も順調に向上している。第1打席、第2打席と奥川の変化球を上手くレフト前に上手く運ぶ対応力があり、打者としても今後が楽しみだ。
星稜は8回裏から萩原吟哉(新2年)が登板。萩原に対して近江は一死から1番の土田龍空(新2年)が右中間を破る二塁打で出塁する。続く2番・見市智哉(新3年)のショートゴロで二死三塁として打席に昨夏の甲子園で大会最高打率の.769をマークした住谷湧也(新3年)を迎えた。ここで住谷はセカンドへの内野安打を放ち、土田が生還。ようやく同点に追いついた。
試合はそのまま1対1の引き分けで終了。1年前に熱戦を繰り広げた両校はこの日も高レベルなゲームを見せてくれた。星稜は奥川を中心に守りが安定している。打線は3安打1得点と振るわなかったが、その前の法隆寺国際戦では4回で16得点を奪っており、総合力は高い。センバツの優勝候補になるのは間違いないだろう。
林監督は「奥川は投げるたびに良くなってきていると思います。ヒットは出ませんでしたけど、良い凡退もありましたし、内容は悪くなかったと思います。大会前にこういうゲームができて良かったです」と試合を振り返った。
初戦で対戦する履正社は強敵だが、その前に力のあるチームと対戦できたことは間違いなくプラスとなるだろう。
近江も奥川を打ち崩せなかったが、バッテリーを中心にレベルの高いチームであることを実証した。センバツに出場できないのがもったいないと思わせるには十分の試合はできただろう。打力がさらに向上すれば昨夏以上の成績も十分に見込める。夏は甲子園に戻ってくることができるだろうか。
(文=馬場 遼)