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「投球数制限」本当に部員数の少ない高校や、投手1人の高校は不利になるの?

2019.02.26

「投球数制限」本当に部員数の少ない高校や、投手1人の高校は不利になるの? | 高校野球ドットコム

 今回の投球数制限に関するニュースの中で出てくるワードの一つが、「部員数の少ない高校や、投手1人の高校は不利になる」というものです。

 部員数の少なさに関しては、高校の入学者の数や野球部希望の選手の数にもよるので、公立校などは、野球部希望者に多く受験してもらうということ以外は、飛躍的な解決法はないというのが考え方の一つです。

 しかし「投手1人」というワードについては、果たして今、どれくらいそういう高校があるのかという点で???(クエスチョン)も浮かんできます。

 日本高等学校野球連盟(日本高野連)は今から25年以上前の1993年冬、各都道府県高等学校野球連盟を通じて全国の加盟校に、複数投手制の推奨することと、翌1994年から甲子園大会でのベンチ入り人数を15人から16人に増員することを通達しました。ベンチ入り人数は1978年に14人から15人に増やされており、16人にした後、2003年から現在の18人となりました。

 奇しくも1993年夏は兵庫代表の育英が3人の投手をうまく使い分けて優勝。その前年の1992年夏は千葉代表の拓大紅陵が4人の投手を駆使して準優勝と複数投手制推奨への布石と暗示になっています。

 以降、1人の投手で勝ち上がるチームもありましたが、全国的に各高校の指導者が複数投手育成に力を注ぎ、2人以上投手がいるチームが確実に増えました。

 甲子園大会をサンプルにすると、昨夏は出場56校中53校が地方大会で2人以上の複数投手を起用しています。結果的に、残る3校が勝ち上がり、秋田代表の金足農業に吉田輝星投手がいたため、大きな話題になってしまいました。

 でもほとんどの高校が複数投手を育成するために努力しているというのは事実です。1人で勝ち上がった3校も、結果的にそうなっただけで、他に投手がいないということではなく、他の投手を使える場面を逸した、あるいは使えなかったということが言えます。ですので、絶対的エースがいるから目立ってしまうのは致し方ないものの、吉田投手のことばかりで今回のことを論ずるのは酷な部分もあるのではないかと私は考えています。あくまでも考え方の一つで、正解は一つではないですが・・・

 今春の選抜大会出場校を見ても、32校中31校は秋の公式戦で2人以上の複数投手を起用しました。もちろん起用法は様々で、絶対的エースのいるチームも存在します。でも2人以上の複数投手制を実践し、起用しているというデータはあるのです。

 地方大会を取材していても、部員数が少なく(9人から15人程度)、絶対的エースに頼らざるえないチームでも、ブルペンでは他の投手が準備する光景がほとんどです。2人目の投手がブルペンでまったく準備しないという試合は、ほとんど見なくなりました。

 各高校、各指導者、そして選手の2人以上の複数投手育成に対する努力の姿勢は讃えるべきなのではないでしょうか。

 次に、複数投手が何人いるのかという焦点もあります。それはまた次の機会に考えてみたいと思います。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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