Interview

脈々と受け継がれる八戸学院光星の右のエース像 後藤丈海(八戸学院光星)

2018.11.09

 9日に開幕した明治神宮大会。開幕戦となった八戸学院光星vs東邦の一戦は八戸学院光星が快勝。今回はエースの後藤丈海の投球に迫っていこう。

八戸学院光星らしい右のエースというのはナンだ?

脈々と受け継がれる八戸学院光星の右のエース像 後藤丈海(八戸学院光星) | 高校野球ドットコム
後藤丈海(八戸学院光星)

  八戸学院光星のエース・後藤 丈海の投球を目にした多くの方が、八戸学院光星らしい右投手という声が相次いだ。では八戸学院光星らしい右投手は何か?まとめてみるとこうなるだろう。

・160センチ後半~170センチ前半の中背
・右スリークォーター
・スライダーなど横系統の変化球が決め球
・1.1秒のクイック、牽制など投球以外の技術が高い

 横の変化が中心だが、投球に穴がないのが八戸学院光星の右のエースである。思えば、2011年のエース・秋田教良、2012年の主力投手・城間竜兵、2015年のエース・中川優櫻井一樹、今夏のエース・福山 優希は上記に該当する投手である。170センチ71キロの後藤もその系統を引き継ぐ存在として、常時130キロ~136キロの直球、120キロ前後のカット系のスライダー、110キロ前後のチェンジアップをコーナーへ投げ分け、さらにクイックも鋭い投手である。
 「東北大会で使えることが分かったので、東北大会から神宮大会までの期間で磨いてきました」

 この日は右打者の外角だけではなく、内角にもスライダーを投げた。スライダーを駆使する理由は1学年上のエースだった福山の存在がある。

 「福山さんは140キロを超えるストレートがあって、力で打ち取ることができた。しかし、僕は福山さんのような力のあるストレートを投げることができないので、低めの制球力やスライダーの使い方を大事にしています」

 だからこそ強打の東邦打線は普段から心掛けているピッチングを実践することがテーマだった。

 「東邦は1番から9番までバッターが良いスイングをしていました。ですので、自分の持ち味である低めにボールを集めることを一番意識しました」

[page_break理想像は2015年のエース・中川優]

理想像は2015年のエース・中川優

脈々と受け継がれる八戸学院光星の右のエース像 後藤丈海(八戸学院光星) | 高校野球ドットコム
後藤丈海(八戸学院光星)

 低めに出し入れをしながら、ピッチングを組み立てていき、「低めに集める投球ができた」と本人も手ごたえを感じるピッチングであった。
また東邦打線を抑えるために意識しているのは間合いの取り方だ。
「打者はチャンスだと集中してくるので、間を取って気をそらせます。走るタイミングとかは勘づくので牽制とかで間を取って、スタートを遅らせます」
 東邦の間合いにさせなかった。最も苦しかった7回裏。このピンチもコーチからの言葉を胸に刻み、腕を振った。

「背番号1が一番いい投手だとコーチからは言われてきたので、それに恥じないピッチングをしようと思っていました。自分がマウンドに立ったたら勝たないといけないので、恥じない投球を常に考えています」

 そういうピッチングが9回表に追加点につながったのだろう。9回表、本塁打を放った武岡龍世は「後藤が頑張っていたので、流れを明け渡すことなく戦えることができたと思います」とエースの力投をたたえた。

 試合を振り返って後藤は
 「東邦は勢いがあるときに自分が弱気になったら飲み込まれるので打者に対して強気にいくことを意識していました。それができてよかったです」と淡々と自分のピッチングを振り返った。

 今回は山田 怜卓がけがのためベンチを外れている。だからこそ最後まで投げ切るつもりは強い。そしてあこがれるエース像は2015年のエース・中川優だ。

 「中川さんは打たせて取る投球がすごいと思っていますし、自分はそのレベルを目指していきたいと思っています」

 八戸学院光星に同タイプの投手が生まれ活躍する理由。それは相手打者と対等に勝負するために、自分の強みと弱みを理解し、その上で、自分が何で勝負すべきか。それを理解している投手こそ生き残り、八戸学院光星のエースとなっていく。甲子園出場が宿命づけられる八戸学院光星にとって、伝統的に実戦力が高い投手が生まれるのは必然なのだ。

取材=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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