Interview

真っすぐで押し切れる強さを!さらなる飛躍を誓う伊藤大征(早稲田実)!

2018.11.03

 今年の早稲田実を引っ張るエース・伊藤大征。その右腕から繰り出す最速143キロのストレートとスライダー、そしてチェンジアップを軸にこの秋を勝ち上がってきた。しかし強打の東海大菅生の前に9回被安打6、四死球6、失点3で敗戦。快進撃は準決勝で止められた。この敗戦の裏には一体何があったのか。試合後に本人を直撃した。

敗戦をきっかけに全てにおいて見直したい

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伊藤大征(早稲田実業)

 「絶対に甲子園に出ろよ」
 前主将で今秋のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスに3位指名をされた、野村大樹からの一言だ。

 東海大菅生との準決勝に勝利すれば、あとは決勝のみ。甲子園が手に届くところまで勝ち上がってきたが、あと一歩が届かなかった。

 「東海大菅生さんの方が1枚上手でした」と伊藤が語ったように、序盤は苦しい試合運びになった。

 捕手である長谷川航大は、「いつもよりストレートが走らなかった」と伊藤のボールの状態を認識。その上で「変化球中心の配球でいこう」というプランが立った。これは伊藤も自身のボールを正確に把握し、そのリードも理解した上での投球だった。

 伊藤は「東海大菅生打線は左打者が多い。その左打者への得意意識がなかったですが、3番の小山翔暉が1番良い打者だということを頭に入れながらの投球でした。」と語るように、小山には1本のヒットも許さなかった。

 しかし誤算だったのは制球力だった。無駄な四球、そして甘いボールを痛打されてしまった。その結果が3回の3つの四球をきっかけにした2失点だった。
 「甘く入った球は見逃さないですし、一球で仕留められる」という長谷川が語る東海大菅生打線は、予想通りの破壊力だった。

[page_break:強きな発言から感じた自分の投球への自信]

強きな発言から感じた自分の投球への自信

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伊藤大征と長谷川航大バッテリー(早稲田実業)

 先に失点をしてしまった伊藤-長谷川バッテリーだったが、4回以降は立ち直りを見せる。
 「3点とられてからは自分のスタイルを見直して、真っすぐである程度押せた」と本来のストレート主体の強気な投球が復活。9回にダメ押しとなる1点を献上したものの、序盤の不安定な投球が姿を消した。

 だからこそ、「中盤くらいの投球が最初からできていれば違う試合展開だったと思う。」と悔しさを口にした伊藤。その上で今大会をこう振り返る。
 「全ての球種がまだまだコースであったり高さであったりと、狙ったところに投げられていない」と制球力を課題として挙げた。

 また「日によって、もっと言えばイニングによって調子のムラがありますので、コンディション作りや、体力作り。また精神力など全ての面で冬に見直したい」と、投球術だけではなく、全体的なベースアップを図る必要性を示唆した。

 この冬にやるべきことは多い。だが、既に光明は見えている。それは今日の敗戦だ。話を聞いている中でこんな一言が出てきた。
 「今日の相手先発(中村晃太朗)は捕手が構えたところにキッチリ投げ切れていた。タイプは違いますが、見習っていきたい」と、相手チームのエースの技術の高さを称賛しつつ、熱視線を送っていた。

 こうしたコメントを始め、マウンドだけではなく話を聞いているときから落ち着いた雰囲気とポーカーフェイスが印象的な伊藤大征。しかし、時折見せるグローブを叩くといった彼の気持ちを前面に出した行動は、心に秘めた熱い想いを垣間見せる。これも彼の武器であると言える。

 さらにもう1つの武器があると、このコメントから感じ取った。
 「相手がどうであれ自分の投球ができれば抑えられる、ということがあったので特に菅生だからという特別意識はしていなかったです」
こんな強気な発言をサラッと言ってしまう、自分の投球への自信。これも伊藤の武器ではないだろうか。

 内に秘めた熱い想いと自分に対する自信。この2つの武器を携えて来春、伊藤大征のバージョンアップした姿を見ることが楽しみで仕方ない。

文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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