Interview

目指すは春夏連続甲子園出場!新世代トップクラス捕手・有馬諒(近江)が描くシナリオ

2018.10.19

 2年生ながら近江の正捕手として夏の甲子園8強入りに貢献した有馬諒。複数の投手の持ち味を活かす巧みなリードと強肩で世代最高捕手との呼び声も高い。新チームからは主将に就任し、4番捕手と文字通りチームの中心選手となっている。今回は有馬に捕手としての心構えや甲子園での戦いについて聞いてみた。

野球との出会い

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主将として先頭に立ってランニングをする有馬諒(近江)

――野球を始めたきっかけは何ですか?

有馬諒(以下、有馬):父が野球観戦が好きだったので、それで自分も興味を持ち始めました。小学1年生の秋に友人から地域の少年野球チームに誘われたのが始めたきっかけです。

――捕手を始めたのはいつからですか?

有馬:小学3年生から始めました。キャッチャーミットの形が他のグローブと違うところに魅力を感じていました。自分は人と違うことをするのが好きだったので、ポジションの希望を聞かれた時にキャッチャーと答えました。

――実際に捕手をやってみてどうでしたか 

有馬:小学生の頃は変化球がないので特にリード面はなく、肩には自信があってそれなりに投げられていたので、特に難しさを感じることなくノビノビやっていました。

――中学では硬式のクラブチーム(ヤング・奈良ウイング)に入ったのは何故ですか? 

有馬:甲子園に出るような強豪に行きたかったので、硬式に慣れて強豪校から声がかかるようになりたいと思っていたからです。

――中学時代の思い出は何かありましたか? 

有馬:自分は体で止めるのが苦手で、そういったところからキャッチャーの大事さと難しさを感じました。キャッチャーの難しさと楽しさを知る期間だったと思います。 

――捕手の楽しさを感じる時はどんな時ですか? 

有馬:盗塁を刺した時もそうですし、バッターが思ってもないボールで三振を奪うのはピッチャーの手柄ですけど、自分の中でもやりがいを感じます。 

――奈良県から近江高校に行こうと思った理由は何ですか? 

有馬:甲子園出場を第一目標に高校を選ぼうと思っていました。京山将弥(横浜DeNA)さん世代の甲子園を見て、点数は取られましたが、バッテリー中心に作っていく多賀(彰仁)監督の野球に魅力を感じて、自分の実力をここで試したいと思ったのがきっかけです。 

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近江高校の中心選手として甲子園へ

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有馬諒(近江)

――近江では1年春からベンチ入りしましたが、どこをアピールできたと思いますか? 

有馬:肩の強さはアピールできたと思います。最初はリードを見てもわからないので、ノックに入った時に肩の強さをアピールしたのが繋がったと思います。 

――1年秋は初めてレギュラーとして出場して近畿大会4強まで進みましたが、振り返ってみてどうでしたか? 

有馬:緊張することなく冷静に自分の最大限の実力を出せたのが結果に繋がったと思います。僕はどちらかというと緊張よりもワクワクするタイプです。 

――今年の春に早くも甲子園出場という目標を達成しましたが、実際にプレーしてみてどうでしたか? 

有馬:元々、打撃は得意ではないのに打撃で活躍できました。リード面でも金城登耶さんと林優樹をしっかりリードでき、自分の実力以上を出せたので、甲子園の凄さを実感した大会だと思います。 

――センバツで出た課題は何かありましたか? 

有馬:星稜奥川恭伸投手に対して完全に力負けしてしまったので、体重を一から増やすことを心掛けました。ピッチャーも最後に打たれたのは高めに浮いた球でしたし、一球の怖さを知ることができた大会でした。ピッチャー陣は体力が消耗するとボールが高めに浮く傾向があるので、体力を強化して失投してもボールが低くなるようにということを心掛けました。 

――夏も県大会を勝ち上がって甲子園に行くことができましたが、県大会の戦いはどうでしたか? 

有馬:初めて夏の大会にベンチ入りしましたが、言葉に表せない球場のオーラがやりにくさを感じました。自分を成長させてくれた大会だと思います。結果だけを見ると大勝しているかもしれませんが、内容ではしんどい試合が続いていたので、そこを勝ち切れたことで精神力がついたと思います。後半勝負になる試合はキャッチャーからしてかなり厳しいです。 

――夏の甲子園では初戦で智辯和歌山と対戦することになりましたが、決まった時はどう思いましたか? 

有馬:センバツ準優勝している総合力の高いチームだと思っていましたが、負ける気はなかったです。 

――相手打線の分析はしましたか? 

有馬:けっこうしましたね。最小失点に抑えられるかは自分にかかっていると思っていたので、かなり自分の中でも研究したつもりです。うちの林はチェンジアップが使いにくいので左打者を苦手としていましたが、林晃汰選手に対しては思い切ってチェンジアップを使おうと思いました。それがいい結果に繋がったと思います。 

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有馬諒(近江)

――この夏は投手4人で戦いましたが、それぞれのよさを活かすために心掛けたことはありますか? 

有馬:それぞれの持ち味を生かすために練習試合から練習してきたつもりだったので、相手や場所は関係なく練習のまますることを心掛けました。 

――4人の投手はそれぞれどんな性格ですか? 

有馬:金城さんと佐合大輔さんは強気なタイプという認識で松岡裕樹さんと林は自分が引っ張っていくという認識です。タイプが似ていてもかける言葉は考えながらコミュニケーションを取るようにしています。 

――甲子園では盗塁阻止や牽制で走者を刺すプレーが目立ちましたが、スローイングで意識していることはありますか? 

有馬:夏の県大会で二塁に暴投を投げることがあったので、強い速いボールよりも正確に投げることを意識しました。自分は上半身だけで投げてしまう癖があるので足から始動するスローイングを意識しています。 

――キャッチングはワンバウンド処理で意識していることはありますか? 

有馬:キャッチングではキャッチャーミットを止めることを意識しています。体で止めるにあたってはピッチャーのこれからの投球にも関わってくると思うので、腕に当たろうとも前に止めることを意識しています。 

――リード面でも高く評価されていますが、心掛けていることや日頃から勉強していることはありますか? 

有馬:相手打者の特徴やピッチャーの持ち味を掛け合わせて自分の頭の中でシナリオを描きながら試合に臨んでいるので、特に参考にしている選手はないです。 

[page_break甲子園での経験を高校野球最後の1年に捧げる]

甲子園での経験を高校野球最後の1年に捧げる

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有馬諒(近江)

――準々決勝での負けはどのように消化していますか? 

有馬:自分の中では負けるべくして負けたと思っています。8回、9回のチャンスをものにできなかった自分たちの弱さもありますし、最後にあの場面で自分と林が球場の雰囲気に呑まれてしまったのは、まだまだ自分たちに甘いところがあったと思うので、ほんの少し相手が上回ったのかなと思います。 

――あの試合で大きな教訓を得られたと思いますが、新チームで主将になり、どんなことに取り組んでいますか? 

有馬:金足農業さんは楽しんで野球をしていたと思うので、そういうところは見習わないといけないなと思いました。あの負けから一球の大事さや球場の雰囲気もあるということを学べました。人生であれ以上のアウェーを味わうことはなかなかないので、いろいろ学ぶことはあったと思います。それを新チームで伝えていけたらと思っています。 

――現在は主将で4番捕手の重責を担っていますが、そこはどう考えていますか? 

有馬:自分がやるしかないと思っています。しんどいからという言い訳は通じないのでキャッチャーとしての仕事をしつつ、打線では中軸を打つのでしっかり分けて考えるのを大切にしたいと思います。 

――高校野球も残り1年もありませんが、来年の夏までにはどうなっていたいですか? 

有馬:キャプテンをやらせてもらっているので周りから信用、信頼されるキャプテン、4番、キャッチャーに近づけるようになっていればいいと思います。 

――将来はプロ入りも考えていますか? 

有馬:考えていないです。甲子園を最高目標にやってきた部分があったので、まさか自分がこんな風になるとは思っていませんでした。ちょっと予定外という感じです。大学もまだあまり考えていませんし、プロもまだ考えていないです。甲子園は2回行きましたが、1回行くともう1回行きたくなるような場所なので、あと2回行けるチャンスは全て行きたいです。先のことは後から考えても遅くはないと思いますし、まずは目先のところに集中したいかなと思います。 

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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