長く野球に携われる選手に!研究熱心で高い向上心を持つ清水昇(国学院大)【後編】
前編では清水昇投手の高校時代から国学院大に入学してからの経緯。そして大学から力の抜き方や球速アップの秘話を語ってもらった。後編の今回は、球速だけではなく、切れや変化球、さらにコントロールのことを語っていただきました。そして今夏の大学代表のエピソード、最後にドラフトへの想いにも迫りました。
戦国東都で最優秀防御率獲得右腕!帝京高で学んだ高校時代 清水昇(国学院大)【前編】
イメージとチェックの重要性
キャッチボールをする清水昇(国学院大)
球速は今年の8月に自己最速151キロをマークしたが、球速だけでなくキレを出すためにキャッチボールも工夫している。
「徐々に距離を伸ばしていって50mくらいの距離から助走なしで低い球を投げるようにしています。距離を遠くするとボールが少し浮いたとかシュート回転したとか、わずかな乱れもすぐに分かるので一球一球、フォームを確認しながら投げることができます。そうやって長い距離を良い回転のボールで投げ、距離を短くしてからも同じ意識で腕を振れば伸びのある真っすぐを投げる感覚が身に付くと思います。ただ、50m以上の遠投になると、フォームが崩れてしまうので自分はやっていません」
変化球も高校と大学で中心にする球種が変わった。
「高校時代の決め球はフォークだったのですが、真っすぐと球速差がありすぎると、バランスを崩しながらも軽く当てられてヒットになってしまうことが多かったんです。だから、とにかくスピードに差が付かないように、ボールを抜かずに投げていました。大学に入ってからはツーシームを使い始めています。
高校の頃から練習はしていたのですが今ひとつだったんですけれど、東都ではツーシームが良いピッチャーが多くて、目の前で見ているうちにイメージが掴めてきたんです。やっぱり自分の感性で気付くことがあると習得しやすいところがあるんですよね。だから、アドバイスをもらった時も、自分は野球ノートに書き込むのですが、アドバイスの言葉をそのまま書くのではなく、自分の言葉で解釈して、自分なりの擬音なんかも使って書く。そうすると、イメージが作りやすいんです。」
また、制球が安定しているのも清水投手の長所だ。
「ピッチング練習では、まずコースのラインに合わせて投げるように意識しています。アウトローへ投げるにしても、その一点だけを狙っているとわずかなズレも許せなくなるので、最初は高低を気にせずにアウトコースへきちんと投げる。それができるようになったら、ラインを変えずにボールを低めに集めるようにする。そうやって段階を踏んでいくのが良い方法だと思います。
あとは自分の良い時のフォームと、悪い時のフォームを知ることが大切です。その両方が分かっていれば試合中でも修正することができるので、ピッチング練習をしているところを動画で撮影してもらって、自分でチェックしながら研究するようにしています。」
長く野球に携わる選手になる!
ガッツポーズをとる清水昇投手
こうして実力を上げていった清水投手。昨秋の東洋大戦では、自身のベストピッチと語る好投で5安打完封。三振も11個を奪い、梅津晃大投手との投げ合いを制して1対0で勝利。今春は防御率1.75で最優秀防御率のタイトルを獲得した。
「この春はキャッチャーの配球が良く、野手陣にも助けられたので、自分ももっと成長しなければと感じました。ただ、タイトルを獲れたのは自信になりますし、後輩にも良い手本が見せられたと思います。」
さらに、今夏は侍ジャパン大学代表にも選出された。
「これまで敵チームとして戦ってきた東都の選手や東京六大学の選手を間近で見て『みんな練習への意欲が高いな』と感じましたし、いろんな投手にどの球種をどんなふうに投げているのか聞いて回りました。そして、生田(勉/亜大)監督には『マウンドで結果を気にしすぎているように見える。気にしすぎたら結果は出ないよ』と言われました。だから、今は結果を考えず、自分の思うように伸び伸びと投げるようにしています。」
8月には侍ジャパン高校代表と対戦したが、「甲子園が終わったばかりだったこともあって、グラウンドに入った瞬間にアウェーな感じはしました(笑)。ただ、高校生には負けられないので、みんな気合いが入っていましたね。試合では1イニングだけの登板でほとんどストレートしか投げなかったのですが、振り負けていなかったので高校生のレベルも高かったです。」
そして、清水投手の誕生日である10月15日から10日後の25日にはドラフト会議が控える。「プロに入ることができたら、長く野球に携わっていけるような選手になりたいです。まだまだ、知らないことの方が多いですが、これからどんどん野球に関する知識を増やしていけたらと思います。」
研究熱心で、なおかつ向上心の高い清水投手。プロで息の長い活躍をするためにもドラフトでの上位指名を目指し、秋季リーグで最後のアピールを続けている。
文=大平明
注目記事
・プロ野球2018ドラフト特設サイト