愛工大名電は37年前の工藤公康以来となるの夏2勝なるか?
第100回全国高校野球選手権大会 第7日目に愛工大名電(西愛知)が三重白山(三重)を10対0で下した。
30年ぶりの勝利を果たした愛工大名電
夏は30年ぶりの勝利
この勝利は夏の甲子園に限ると、同校にとって実に30年ぶりの勝利でもあった。愛知の「私学4強」にも名を連ね、古くから強豪校と知られる愛工大名電だが、平成に入り初めての勝利でもあるのだ。
その30年の間には2004年春のセンバツ準優勝、翌2005年春のセンバツ初優勝といった実績があることからもわかるとおり、けっして低迷していたわけではない。
有力な選手が集まらなかったわけでもない。イチロー(マリナーズ会長付特別補佐)をはじめ堂上直倫(中日)、谷口雄也(日本ハム)、東克樹(DeNA)とプロ野球界にも多くの選手を送り込んでいることからもそれはわかるだろう。
夏2勝以上は37年前の工藤公康まで遡る
愛工大名電の過去を振り返ると30年前の第70回大会では初戦を勝ち抜いたものの、次戦で沖縄水産(沖縄)に敗れており1勝しかできなかった。2勝以上を挙げたのは名古屋電気時代の1981年(63回大会)まで遡る。
この年の同校はエースに工藤公康(現ソフトバンク監督)、遊撃手に中村稔(元日本ハム)、捕手に山本幸二(元巨人)、二塁手には1学下となる高橋雅裕(現BC群馬コーチ)と4人のプロ野球選手が在籍していたまさに強豪だった。
工藤は初戦の長崎西戦(長崎)でノーヒットノーランの快投を演じると、その勢いのままに準決勝まで勝ち進む。そこまでの工藤は延長12回サヨナラ勝ちとなった北陽戦(大阪)含め、3試合、30イニングをひとりで投げ抜き失点はわずかに「1」と圧倒的な存在感を見せていた。
その工藤に土をつけたのが、金村義明(元近鉄)擁する報徳学園(兵庫)だった。この試合も工藤は9回3失点と好投を見せたが、味方打線が金村を打ち崩すことができず1対3で敗退してしまったのだ。これが同校にとって夏の甲子園における最高成績である。
今大会で30年ぶりの1勝を挙げた同校は、37年ぶりの2勝目を挙げることができるだろうか。次戦の相手は、運命なのか工藤が敗れた報徳学園だ。後輩たちは37年前の壁を乗り越えることができるだろうか。
愛工大名電の熱戦に期待したい。
(文:勝田 聡)