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【三重展望】後編 強打の津田学園、全国トップクラスの投手陣を誇る菰野が頂点を狙う

2018.07.12

 7月13日から開幕する第100回三重大会。今年は三重が選抜ベスト4と躍進を遂げ、さらに実力校も多くひしめく大会だ。そんな三重大会の見どころを前編・後編の2回にわたって紹介。後編の今回は津田学園菰野の両ブロックの見どころを紹介していく。

Cゾーン 昨夏覇者・津田学園は今年も打線が強力

【三重展望】後編 強打の津田学園、全国トップクラスの投手陣を誇る菰野が頂点を狙う | 高校野球ドットコム
大須賀 健祐 (海星)

 昨夏の覇者であり今春の覇者でもある津田学園は野手陣を中心に昨夏のベンチ入りメンバーが多く残り連覇を十分狙える実力がある。宮野勇世上下大地を中心とした打線は破壊力充分で三重県一と言って良いだろう。

 
 

 同じ桑員地区のライバル校いなべ総合が技で勝負するチームなら津田学園は力でねじ伏せるチームだ。昨夏の甲子園を経験したサウスポーの河村信吾投手が軸になる投手陣の踏ん張りと春季東海大会のような試合展開になった際にどう立て直すかが克服できれば連覇が見えてくる。

 

 三重海星は侍ジャパンU-15代表に選ばれた実績を持つ大須賀健祐選手が投打の柱でありキャプテンとしてチームを引っ張って行く。

 

 投打とも一時期不調であったが、暑くなるとともに復調、春までの大須賀選手と侮っていると痛い目にあう。下級生の頃から大須賀とエースの座を争って来た井崎虹太、大須賀と同じく左腕で同じ三重海星中学の後輩に当たる中川健翔、140キロを超える球速の川瀬翔理と投手陣のレベルは高い。

 捕手の重丸大地は大須賀と小学生からバッテリーを組むだけあり息の合ったところを見せる。肝心な場面での牽制死や盗塁死が無くなれば20年ぶりの甲子園に手が届く実力校だ。

 三重海星と3回戦での対戦が予想されるのが津商だ。昨夏も両校は対戦し津商に軍配が上がっているが、果たして今年はどうなるのか、ほぼ互角と思われ試合の流れを先に掴んだ方が勝ち進むと予想される。

 2015年夏甲子園出場の津商は双子バッテリーとして話題になった服部恭平14560は小学生低学年からバッテリーを組み息のあったところを見せる。この双子バッテリーへの負担をいかに減らせるかが勝ち進む上での鍵となるだろう。

 捕手の14560がマウンドに上がることもあるが、その時の捕手、控え投手陣の強化次第では頂点を極めることも出来る。

[page_break: Dゾーン 全国トップクラスの投手陣を誇る菰野は打線を仕上げ、10年ぶりの頂点へ]

Dゾーン 全国トップクラスの投手陣を誇る菰野は打線を仕上げ、10年ぶりの頂点へ

【三重展望】後編 強打の津田学園、全国トップクラスの投手陣を誇る菰野が頂点を狙う | 高校野球ドットコム
田中 法彦(菰野)

 第3シード菰野はマックス150キロの田中法彦投手、U18日本代表候補に選ばれているMAX148キロの岡林勇希投手(2年)の右腕2人を軸にスリークォーターから140キロ近いキレの良い球を繰り出す森浦秀俊、故障から復帰し先月はMAX143キロを記録した河内頼は打者としても非凡なものを見せ一発長打の魅力もある。他にはこれも故障から復帰した山口勝玄と来シーズンは岡林との左右のエースを期待される奥田域太の両左腕と質量ともに投手陣は全国トップクラスと言って良いだろう。

 春まではやや打線が弱く秋の三重高戦のように4番の田中と全く勝負してもらえないと得点能力が極端に落ち、貧打に泣いた試合も多かったが、例年に比べ打撃練習に多くの時間を割いた成果が5月後半から出始め現状では田中と勝負してもらえなくても逆にただでワンベースありがとうとベンチが盛り上げれるほど他の打者が打てるようになっている。特に9番・伊藤輝、1番・伊藤拓哉、2番・河端秀年と続く3人は裏のクリーンナップと呼ばれ、3番には春以降成長著しい川上泰平が入り4番田中に回るまでに得点が入っているケースが多い。

 

 投手陣が安定し課題だった打撃も目を瞠るほど向上し、特にこれといった穴のない内外野の守備陣だがあえてウィークポイントを上げるとすればライバルのいなべ総合とは逆で捕手であり、捕手陣の強化が実るか否かで10年ぶりの選手権出場が決まるだろう。

 

 伊勢は163センチと小柄な2年生左腕のエース・中川翔太は昨夏からマウンドを経験し、投打の中心。低めへの制球が良く打たせて取る。打線は西本圭佑に長打がある。全体的に粘り強く繋ぐ打線が持ち味。

 

 伊勢と初戦で対戦する鈴鹿にも190cmの大型右腕・前川怜とキレ味の良い投球をする岡祐斗とWエースが存在感を示し投手戦を期待できる。両校はこの試合で勢いをつけ菰野戦に臨みたい。

 

 三重白山は東 拓司監督が就任して以来県大会の常連校となった。捕手の辻宏樹はキャプテンで4番打者であり、チームの大黒柱。その辻を中心とした打線は強力であり投手陣のでき次第では昨夏の3回戦進出を超える事も十分有り得る。サイドスローからオーバースローにフォームを改造し球威の増したのエース・杉山晴都にも注目したい。

[page_break: 三重県で唯一、夏の甲子園で優勝している四日市も注目]

三重県で唯一、夏の甲子園で優勝している四日市も注目

【三重展望】後編 強打の津田学園、全国トップクラスの投手陣を誇る菰野が頂点を狙う | 高校野球ドットコム
岡林 勇希投手(菰野)

 

 現在の三重県では三重いなべ総合菰野が注目されるが、実は夏の甲子園で優勝しているのは、四日市高校なのである。昭和30年(1955年)の第37回大会で全国制覇の栄冠に輝いた四日市は『日本一の文武両道』をスローガンに掲げる三重県一の進学校であり、野球部からも昨年は東大2名・京大1名、今春は難関医学部に3名の合格者を出しており21世紀枠候補として推薦された事もある。

 四日市高校が独自に設けている難関大学合格率を野球部は毎年上回っておりひたむきに野球と勉学に取り組み次のステップへ進むことが出来ている。

 練習時間は限られており、その中で効率よく練習することを目的とし、一切の無駄がない練習によって実力をつけている。そんな今年の四日市の中心選手はベンチワークが長けた主将・佐藤公泰(三塁)。横山監督から「佐藤抜きにはチームは考えられない」と横山監督から全幅の信頼を得ている。ゲームキャプテンの青木悠真(捕手)は強肩強打の捕手で多彩な投手陣を操り相手を翻弄。打っては一発長打で試合の流れを変えられる選手。また攻守の軸・岩田航輔(遊撃)は京大志望の選手。

 

 100回記念大会と言うことで、三重県で唯一の全国制覇を成し遂げている四日市高校への取材は例年とは比べ物にならないほど多くあり監督始め選手たちはあらためて母校、先輩たちが築いてきたものの偉大さに感銘を受け、母校の誇りを胸に100回大会に臨む。

 

 ベスト4以降は熱戦が期待されるが、紙一重の差でシード4校がベスト4進出を果たすと予想。三重県は秋と春のシードポイントを合計しているので、総合力に優れ安定して実力を出し切れたチームがシード校に選ばれがちなのもシード校を推すひとつの理由である。

決勝はいなべ総合三重の勝者が菰野と対戦し、栄冠に輝くのはいなべ総合三重の勝者と予想する。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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