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羽生結弦選手のコメント力を学ぼう

2018.02.18

羽生結弦選手のコメント力を学ぼう | 高校野球ドットコム

 連日熱戦のピョンチャン(平昌)オリンピックは後半に入ります。

 昨日(17日)はフィギュアスケート男子シングルで羽生結弦選手が金メダル、宇野昌磨選手が銀メダルを獲得しました。おめでとうございます。

 そこで今回は金メダルの羽生選手の演技直後とメダルセレモニー直後のインタビューをまとめてみます。

<演技直後>

インタビュアーの質問――羽生選手です。おめでとうございます。
羽生選手「ありがとうございます。」

――乗り越えましたね
羽生選手「なんとか。」

――どんな気持ちか聞かせてください。
羽生選手「とにかく、本当にたくさんの方々がサポートしてくださって、なんとかこうやって。まず滑ることができたので、この会場で滑ることができてホッとしているのと、後は、もう本当に自分がやりきれたなと思うくらいの演技ができたことがまず良かったのじゃないかなと思います。」

――演技直後のアーと吠えた。あそこに色んなものが凝縮しているように見えましたけど。
羽生選手「とにかく右足が頑張ってくれたなと思いましたし、ケガのことについても、もちろんケガのせいで練習できなかった所だとか、そういう所も含めて色々たくさんの方に心配をかけたと思います。そういった意味では今まで以上の強い応援があったと思いますし、そういうサポートがあったので、そういうものに本当に恵まれていたなと思います。」

――直後に右足を少し触っていましたよね。あれ、痛みですか?それとも?
羽生選手「もう感謝の気持ちだけです。」

――この姿というのは、こちらピョンチャンに入る前にどれくらいイメージできていたのでしょうか。怖さだったり不安だったり闘っていたんじゃないですか
羽生選手「まず構成がまだ定かじゃないくて、構成どうですかと質問されていたのですが、自分自身でもどういう風にしたらベストなのかわからなくて色々悩んでもいたのですが、だからこそちょっとフリーの方はイメージし難かった所もあったりして。ただこうやって最終的に集中して飛びたかったジャンプは飛べているので、とにかく良かったと思います。」

――ルッツよく堪えましたよね。
羽生選手「もう右足に感謝しかないです。」

――これでまたこれからの4年間オリンピックチャンピオンになります。思いと、あと皆さんにもぜひメッセージを伝えていただけますか
羽生選手「そうですね。本当にここまで来るのにたくさんの方々に支えられながら生きてきました。スケートだけじゃなくて、こうやって羽生結弦としてたくさんの方々に育てていただいたことを感謝しています。ありがとうございます。」

――本当におめでとうございます。
羽生選手「ありがとうございました。」

<メダルセレモニー直後>

――あらためておめでとうございます。
羽生選手「ありがとうございます。」

――君が代を噛みしめているようにも見えました。どうでしたか。
羽生選手「そうですね。やっぱり首に(金メダルが)かかっている重みがあると実感もまた違って、本当に頑張ってきて良かったなと思えています。」

――表彰台から眺める景色、どんなことを感じていましたか。
羽生選手「とにかくやっぱり、自分自身で真ん中に上げた国旗というのは、これで2回目ですが感慨深いものがすごくありました。」

――この4年間もそうですし、直前にも色んなアクシデントあったと思います。もし可能ならば、この2カ月、3カ月の心の葛藤を教えてもらえますか。
羽生選手「そうですね。やはりスケートが、(今)滑れるか滑れないかじゃなくて、これから滑れるのか滑れないのか本当にスケートをやめなきゃいけないのかくらいまで考えていたので、非常に苦しい時期ではありました。ただ、やっぱりこうやって、んー、生きていて良かったなと思える瞬間の一つです。」

――日本の皆さんも笑顔が広がっていると思います。日本の皆さん、それから応援してくださる皆さんにも最後にあらためて一言お願いします。
羽生選手「皆さまのおかげで、こうやって多分自分の人生史上一番、本当に一番幸せな瞬間を過ごさせていただいています。本当にありがとうございます。これからもどうか応援、そして日本勢の応援もよろしくお願いします。ありがとうございました。」

――ありがとうございます。
羽生選手「ありがとうございました。」

 こうやってあらためてインタビューを見てみると、球児や指導者にとっても学べることがあるのではないでしょうか。例えば羽生選手が度々口にしていたケガをしている「右足に感謝」「右足が頑張ってくれた」という言葉、野球選手でも肩、肘、腰、膝、足首など色んな所にケガを抱えている方が多いと思います。ただ中々ケガをしている箇所に対して「感謝」や「頑張ってくれた」という言葉は出てこないように思います。ケガを抱えた選手は、まずはケガが治った時、その箇所に対して野球ができることの感謝を語りかけてほしいと思います。

 また、最後に自分の応援だけでなく、「日本勢の応援もお願いします」と言った点はさすがの一言ですよね。これも中々言えません。

 高校球児の皆さんもぜひ、羽生選手のようなコメント力を少しでも身につけられるように努力してみてください。そして、監督などの指導者の方もそれだけのコメント力を生徒がつけられるようにぜひ指導してあげてください。例えば取材の時だけでなく、普段の会話からコメント力(言葉の力)をつけられるように持っていく工夫。これは部内の雰囲気作りにも当てはまるのではないでしょうか。監督や指導者の問いかけに、「はい」か「いいえ」でしか答えられないイエスマンのような選手ではなく、問いかけに対して常に自分の言葉で会話できる選手の育成をぜひ心がけてほしいと思います。

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(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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