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慶應義塾大・大久保秀昭監督が自身の指導者論を熱弁!

2017.12.03

慶應義塾大・大久保秀昭監督が自身の指導者論を熱弁! | 高校野球ドットコム
熱弁する大久保秀昭氏

慶應義塾大・大久保秀昭監督が自身の指導者論を熱弁!「選手をリスペクトし、チームファーストを信念に」

 12月2日、東京都高校野球連盟は海城高校講堂にて指導者研修会を開催した。

 今年、講師として参加したのは慶應義塾野球部監督の大久保秀昭氏だ。大久保は桐蔭学園出身。卒業後は慶応大に進学し、大学4年には主将に就任。大学ラストイヤーでは春秋連覇を達成。社会人・日本石油に進むと、都市対抗優勝2回経験、社会人ベストナイン4回獲得、1996年アトランタ五輪で銀メダルを獲得するなど、輝かしい実績を残した大久保氏は27歳の時にプロ入りを決意。27歳はプロ野球の新人としては高齢。リスクの高さを感じて、周囲はプロ入りを反対しながらも、大久保氏はプロに行くことを決めた。その理由として、大久保氏は「僕は将来、プロ野球選手になることと指導者になりたい2つの夢がありました。まだその頃は良い指導しても、所詮アマチュアの指導者は…という声があった。そういう声を見返したい思いがありましたし、いずれはプロ・アマの規定はもっと良くなると思って、プロ入りを決意しました。実際にプロでの指導者も経験させてもらいましたし、プロ入りをして本当に良かったと思います」と当時の状況を振り返った。

 1996年のドラフトで大阪近鉄バファローズから6位指名を受け、晴れてプロ野球選手になった大久保氏だが、怪我などもあり、4年間で目立った成績を残すことができず、2001年に現役引退。その後、2年間、近鉄の広報部を務めたが、この期間は「ずっと一軍を帯同できて、一軍の有名な監督さん、選手を間近に2年間見ることができ、野球の勉強がしっかり出来た2年間でした」と今の指導者生活の礎になった。

 そして2004年から湘南シーレックス(当時横浜ベイスターズのファーム組織の名称)で2年間打撃コーチを務め、2005年オフに新日本石油ENEOSの監督に就任。2008年には田澤純一投手(マイアミ・マーリンズ)を擁し、都市対抗初優勝。2012年、2013年には都市対抗連覇。2015年には母校・慶応義塾大の監督に就任した。2017年秋には7季ぶりのリーグ優勝を果たし、アマチュア界を代表する指導者と呼ばれるまでになった。

 大久保氏はこの講演で選手を指導する上で心掛けていること、技術指導の注意点、慶應義塾大でベンチ入りするための条件、プロテニス選手の錦織圭選手が通っていたことで有名になったIMGアカデミーを訪問し、最先端の指導メソッドを導入、さらには打撃指導ではメジャーリーガーの打撃フォームを参考にしているなど自身の指導論、指導理念、指導方針をプロジェクターを用いながら参加者へ説明した。

 また時には映像を用いながら、指導メソッドを分かりやすく伝える場面も。順序立てて説明する姿に武井克時理事長も「本当に指導者には参考になる指導者理論だったと思いますし、映像通して、野球のテキストを1ページから最後のページを見させていただいたような気分にさせられる素晴らしい内容だったと思います」と講演内容を絶賛した。

 大久保氏が指導で大事としているのは「プレイヤーズファースト」「チームファースト」の2つのワード。大久保氏は指導者として選手のことをリスペクトし、やるのは選手、チームを動かす選手と考え、自発的に行動できて、さらにチームのために何ができるかを考えて行動できる選手を育てることを信念としてきた。それが都市対抗の連覇、今年の慶応大の優勝に大きくつながった。

 そして大久保氏は、「野球に振り回されるのではなく、野球があったからこそ
自分の人生が豊かになったと思えるような指導していきたいと思います」と締めると会場から大きな拍手が包まれた。

 最後に武井理事長は大久保氏の謝辞として「まだ48歳と若いですので、これからもますます野球界のためにご活躍されて、若い世代を引っ張っていただければと思います。ありがとうございました」と大久保氏へエールを送った。

 毎年12月、著名な指導者をお招きする東京都高野連主催の指導者講習会。今年も盛況で幕を閉じた。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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