試合レポート

佼成学園vs東海大高輪台

2017.11.01

佼成学園、松下の満塁弾で東海大高輪台を突き放す

佼成学園vs東海大高輪台 | 高校野球ドットコム
満塁本塁打の4番・松下 豪佑(佼成学園)

 もともとエース候補であった左腕の中村 陸人の故障でエースの座を担った青木 翼の成長で準々決勝まで勝ち上がった佼成学園が、夏の東東京大会準優勝の東海大高輪台に挑んだ一戦。この両校は、2年前の秋季都大会準々決勝でも対戦している。

 1回表佼成学園は、1番・笹渕 勇武が四球。2番・幸田一真のバントが内野安打になったものの、三塁を狙った笹渕はアウト。初回のこのプレーをはじめとして、この試合佼成学園は、走塁でのミスが目立ち、試合の流れを持って来ることができなかった。

 それに対して東海大高輪台は1回裏、敵失で出塁した1番・宮下 歩は、2番・久保航平の二ゴロで併殺になったものの、続く3番・瀬戸 涼太郎、4番・伊東 翼が四球で歩き、5番・佐藤 豪紀、6番・三浦 諒大と安打が続き2点を先制した。

 東海大高輪台の先発、左腕の西原 秀俊にすれば、大きな先制であったはずだが、西原は膝に故障を抱え、2回で降板。3回からは田代樹が登板した。

 佼成学園は5回表に田代を攻略する。この回先頭の8番・青木が二塁打を放ち、エース自らチャンスを切り開く。1番・笹渕は四球で一、二塁とし、3番・岸川 智哉はライト奥深くに達する三塁打で2人が還り、同点に追いついた。

 佼成学園の青木は、初回こそ2点を失ったものの、2回以降は立ち直り、走者を出しても落ち着いた投球で追加点を許さない。

 一方東海大高輪台は、7回から1回戦、2回戦で先発した梅澤 昂大、8回からは杉崎 夏輝と細かく投手をつないで対抗する。


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2安打の佐藤 豪紀(東海大高輪台)

 佼成学園も8回からは、好投していた青木に代えて、中村 陸人を投入した。6月の練習試合で肘を痛め、夏の大会はほとんど投げず、この秋も登板させないでいた。「本人もうずうずしていたと思います」と佼成学園藤田 直毅監督は語る。まさに満を持しての登板である。走り込みを行うなどして登板の日に備えてきた中村は、8回裏をわずか10球で三者凡退に抑える。この投球が、佼成学園の攻撃の流れをもたらした。

 9回表佼成学園は、この回先頭の6番・平澤 飛龍がセンターオーバーの二塁打を放つと、四球2つで一死満塁とし、1番・笹渕の中前安打でまず1点を勝ち越す。ここで東海大高輪台は投手を1年生の藤原 弘也に交代。1年生には過酷な場面であったのか、2番・幸田の右犠飛で佼成学園がさらに1点を追加し、3番・岸川も四球でなおも満塁。ここで4番の松下 豪佑が当たった瞬間に分かる、ライトへの特大の満塁本塁打で勝負を決定付けた。

「打ったのは、インコースの真っ直ぐでした。打った瞬間に入ると思いました。満塁ホームランは初めてです」と試合後、松下は語る。松下は、4番の重圧からか、大会序盤は調子が決して良くなかった。「(1回戦の)堀越戦のあたりは、自分が何とかしないと、と思っていましたが、そういう気持ちは捨てて、1人1人がつなげばいいと思うようにしました」と松下。

 佼成学園は、強豪・東海大高輪台を8-2で破ったものの、走塁のミスも多く、先発・青木の投球は良かったが、中盤までは決して褒められる内容の試合ではなかった。しかし、8回に登板した、もともとのエース候補であった中村が8回、9回を3人ずつで抑え、佼成学園の藤田監督も、「もう大丈夫です」と言う、投球をみせた。そして4番・松下の満塁本塁打。試合の終盤になって佼成学園も役者が揃い、なかなか強いという印象を残して準決勝に挑む。

 敗れた東海大高輪台は、捕手の木下 優成など、選手個々の能力は高い。この夏の準優勝で、接戦でも戦い抜けるようになってきた。しかし、エース・西原の故障、それに主砲の伊東に当たりが出ないなど、チームの柱が本調子でないとやはり苦しい。それでも、東東京の有力校であることは確かであり、春以降に向けて、チーム力を上げていくことを期待したい。

(文=大島 裕史)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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