東海大高輪台vs都立葛飾野
東海大高輪台、3投手の継投で、健闘の都立葛飾野を振り切る
梅澤昂大(東海大高輪台)
ここ数日降り続く雨の影響で、17日の江戸川区球場は、第1、第2試合は中止。第3試合のみ行われた。
第3試合は、夏の東東京大会準優勝の東海大高輪台に、都立葛飾野が挑んだ一戦。東海大高輪台には、捕手の木下優成や主将の伊東翼など、夏のメンバーが何人か残っているのに対し、中心打者のブライト健太や最速が140キロを超える茨木亮丸をはじめ、夏のメンバーがほとんど抜けた都立葛飾野は、文字通りの新チーム。東海大高輪台の圧倒的な優位は否めなかった。試合は6対2で東海大高輪台が勝利したが、むしろ都立葛飾野の健闘が光った試合だった。
東海大高輪台は背番号10の梅澤昂大、都立葛飾野は背番号1の有馬丈一朗と、両校とも1回戦と同じ投手が先発した。
1回表都立葛飾野の1番・梅澤雅弥は、二失で一気に三塁まで進み無死三塁としたが、ここは東海大高輪台の先発・梅澤昂大が踏ん張る。
その裏東海大高輪台は二死一、二塁から5番・久保航平の中前安打で1点を先制する。ここまでは東海大高輪台は順調な滑り出しだった。
しかし2回表東海大高輪台の梅澤は一死後、2人続けて四球を出し、都立葛飾野の8番・山本嵩晃の左前安打で同点になる。
東海大高輪台はその裏、二死一、三塁のチャンスを生かせず、3回裏は四球と安打2本で無死満塁としたが、6番・伊東翼が併殺に倒れるなどして、得点ができない。
「チャンスに1本打てませんでした。しっかりスイングして、強い打球を打たないと」と伊東が言うように、打撃がやや湿り気味。こういう状態で都立葛飾野に得点が入れば、流れは都立葛飾野に向かうところだが、ここは東海大高輪台が持ちこたえる。
有馬丈一朗(都立葛飾野)
そして4回裏、一死一塁から1番・宮下歩のセンターへの二塁打で1点。さらに2番・佐藤豪紀が四球で出た後、盗塁もあり一死二、三塁とし、3番・瀬戸涼太郎の中前安打で2人が還る。さらに身長181㎝、体重93キロの巨漢の4番・山田大晴がきっちり送り、5番・久保の適時打で、さらに1点を追加する。
東海大高輪台には、4番・山田、6番・伊東と一発のある大型選手がいるが、「打順は関係なく、送る場面では送らせます」と宮嶌孝一監督が言うように、結構手堅い野球をする。
4点リードを奪われた都立葛飾野であるが、5回表、安打2本と四球で一死満塁の反撃のチャンスをつかむ。ここで、6番・小田稔也は右飛。やや浅かったものの、三塁走者が還れない打球ではなかったと思うが、三塁走者は自重する。
「あそこは、還ってきたほしかった」と、都立葛飾野の海洲安希央監督は語る。二死になった後、7番・有馬の右前安打で1点を返したものの、もう1、2点ほしい場面であった。
東海大高輪台は、7回裏には四球の5番・久保を伊東が送り、7番・加藤涼介が左前安打で還すという手堅い攻撃で1点を追加した。逆に言えば、東海大高輪台にこうした手堅い野球をさせたのは、都立葛飾野の健闘の証でもある。
とはいえ都立葛飾野は、6回以降は得点を入れることができない。東海大高輪台は投手を6回から梅澤に代えて、田代樹、9回には杉崎夏輝を投入して逃げ切った。夏の準優勝の立役者である左腕の西原秀俊は、ブルペンでは投球していたが、マウンドには上がらなかった。
この秋の東海大高輪台は、「投手は6人くらいいて、継投でいくしかありません」と、宮嶌孝一監督が言うように、投手をつないでいくようだ。そうした中で光ったのが、夏も試合に出ていた1年生捕手の木下。縦の変化球を投げる投手が多く、ワンバウンドする投球も多々あったが、1球そらしただけで、後は体でしっかり止めて、傷口が広がるのを未然に防いだ。
東海大高輪台はこのところ、中間試験に体育祭、文化祭と学校行事が続き、打ち込みなどが不足しているようだ。それにこの悪天候続きである。東海大高輪台らしい豪快な勝ち方はできていないが、それでも、しっかり試合をものにするのは、このチームの成長といえるかもしれない。
一方都立葛飾野は守りもしっかりしており、4回を除けば、五分の展開をした。
「勝ちたかったという気持ちはあります。その一方で、かなわない相手ではなかったし、いけるという思いもあります」と、都立葛飾野の海洲監督は、手応えを感じた。後は、「有馬以外のピッチャーを一本立ちさせることです」と海洲監督は、春以降に向けての課題を語った。
(文=大島 裕史)
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