松井 秀喜氏、恒例の野球教室をNYで開催!子供たちへのメッセージも!
松井 秀喜氏、恒例の野球教室をNYで開催!子供たちへのメッセージも!
9月30日、もう恒例となった松井 秀喜氏の野球教室がニューヨークで催された。記念すべき通算10回目のクリニックは、当初はヤンキースタジアムでの挙行が予定された。しかし、当日のヤンキースの試合時間が早まったため、旧ヤンキースタジアム(ヘリテイジ・フィールド)での開催に変更。「Matsui 55 Baseball Foundation」とヤンキースとの共催という形で、ヤンキースの地元ブロンクスのリトルリーガー33人の子供たちが参加して行われた。
43歳となった松井だが、現役時代とそれほど変わらない身体で精力的にフィールドを歩き回った。まずはフィールディングのドリルを行うと、その後にメインの打撃指導に移行。そこでは“確実に当てる”“強く打つ”という2つのポイントを強調し、11〜13歳の子供たちに自らの持論を説いていった。
「自分から打ちにいってはいけない。強く打とうとして前に出てはいけない。ボールを長く見れば確実性が上がる。体重を後ろに残し、ボールにぶつける」
そんなメッセージを少年たちに伝えると、自らフリーバッティングの打撃投手を務めた。軽く外野の頭を越す打球を放つものがいれば、バットに当てるのがやっとの子供まで、参加した少年たちの実力はまちまち。松井は1球ずつを丁寧に投げ、ときに短いアドバイスを授けた。
フリーバッティングが終わると、自らバットを握った松井が打撃のデモンストレーションを披露。子供たち、集まったメディア、通りすがりの見物人まで、多くの人々が見守る中、松井は6スイングのうちの3本をライトのフェンス越しに運んで見せた。貫禄を感じさせるパフォーマンスを誇示し、松井も思わず嬉しそうな笑顔を見せていた。
「素晴らしい思い出になっただけでなく、松井のスムーズなスイングを見れたことは子供たちにとって大きかったはずです。私は“打球を遠くに飛ばすためにパワーは必要はないよ。大事なのは適切なメカニックとタイミングなんだ”と言い聞かせてきました。松井が力の抜けたスイングでライトフェンスを軽々と越したのをみて、それが理解できたんじゃないでしょうか。依然としてあれだけ遠くに飛ばせるのは、しっかりとしたフォームで打っているからです」
参加したリトルリーグチームの代表を務めるガブリエル・バルカセル氏はそう語り、満面の笑みだった。松井がヤンキースの一員としてワールドシリーズでMVPを獲得したのは8年前のこと。参加した少年たちは当時3〜5歳だったわけで、現役時代の勇姿は知らないだろう。それでもデモンストレーション時のスイングを見れば、元名選手の力は見て取れたはず。長年の練習の蓄積ゆえに依然として崩れのない松井のスイングは、少年たちの心に焼き付いただろうか。
最後のQ&Aセッション、サイン会、記念撮影会まで含め、出席した子供たちが常に楽しそうだったのも印象的だった。元メジャーリーガーとのつかの間の交流。未来のスーパースターを目指す少年たちにとって、新たなモチベーションとなったのは間違いないだろう。
野球教室の様子
※ページ下部に写真ギャラリーあり
――旧ヤンキースタジアムの跡地での野球教室には感慨深いものがあったのではないですか?
松井 秀喜(以下 松井):(旧スタジアムの)面影はほぼないですけど、同じ場所でできたのは良かったです。
――自身が活躍した場所で子供たちに指導することになりました。
松井:私というより、子供たち。今日来てくれた子供たちに良い思い出になれば。それが僕の喜びなんで。
――バッティングも披露されました。
松井:思ったより打てましたね。明日が怖いです、ちょっとね。
――日本でも大リーグでもプレーオフが始まりますが、子供たちには試合を見てどういうところを見て、感じて欲しいですか?
松井:それは(特に)ないですね。感じたまま感じてもらえれば良い。
――子供たちへのメッセージがあれば。
松井:野球を好きでいてくれたらそれでいい。それが一番、大事な部分だと思うので。そういう気持ちであり続ければこれからも頑張っていける。
――こういった野球教室では気持ちというものを伝えたい?
松井:(それは)もちろんありますよ。受け取る選手たちがどう受け取るかですけど。日本の子供たちと同じ言葉をかけてもどう取るかは違うと思うので。(どう感じるかには)けっこう興味がありますけどね。答えを聞いたことがないからわからないけど。
――野球教室の回数を重ねて、手応えは?
松井:毎回ね、違う子供たち、違うレベルの子供たちが来るからその都度違う。来て楽しかったと、もっと野球を好きになって、次へのエネルギーになればいい。
――今回はラテン系の子供たちがほとんどでしたが、反応の違いは感じましたか?
松井:日本的にいう、我々が教わった基本というのがあるけど、そういうものがない。やっぱり教わることが違う。どっちがいい悪いじゃなくて、それは興味深い。これがアメリカ人の子供ならまた違うんだろうし、違いが感じられるという意味では興味深い。いい悪いはないですよ。
――日本は基本的な部分をまず叩き込むということですか?
松井:私の時はそうでした。今は知らないですけど。
――こっちはもっと好きにやらせる?
松井:普段教えているところを見たことないんでわからないですけど、そういう部分を多少感じます。自分の思うようにプレーするっていうね。
――松井 秀喜氏、貴重なお話をありがとうございました!
(文=杉浦 大介)