試合レポート

東海大高輪台vs明大明治

2017.10.07

圧勝ムードから一転。夏準優勝・東海大高輪台が苦しみながらも2回戦へ

東海大高輪台vs明大明治 | 高校野球ドットコム
2点適時三塁打を放った久保(東海大高輪台)

 前日から朝にかけての雨の影響で、第1試合は中止となった[stadium]江戸川区球場[/stadium]。雨は上がっているものの、グラウンド状態が悪く試合開始が心配されたが第2試合は懸命な整備によって行われることとなった。

 今夏、東東京大会準優勝の東海大高輪台明大明治が1回戦で激突。今大会は序盤から好カード目白押し。このカードもその1つと言っていいだろう。試合は好カードにふさわしく、最後まで目の離せない展開となった。

 初回から試合は大きく動く。東海大高輪台は1番・宮下 歩(2年)が左中間二塁打で攻撃の口火を切ると、3番・佐藤 豪紀(2年)の右前適時打であっさりと1点を先制。さらに、4番・瀬戸 涼太郎(2年)の中越え二塁打と四球で満塁とし、6番・久保 航平の左前適時打と内野ゴロで2点を追加。そして9番・梅澤 昂大(2年)にも2点右前適時打が生まれ、明大明治のエース・井澤 蒼依(2年)から打者10人の猛攻で5点を奪った。

 追いつきたい明大明治はその裏。東海大高輪台の先発・梅澤の不安定な立ち上がりを攻める。四球と2番・高木 眞太郎(2年)の中前安打でチャンスを広げ、3番・植村 太亮(1年)の中前適時打で1点を返した。

 直後の2回。東海大高輪台は簡単と二死となるも、4番・瀬戸と5番・伊東 翼(2年)が連続内野安打で出塁。そして6番・久保が右越え三塁打を放ち二者が生還。貴重な追加点を奪った。打った久保は試合後「チャンスだったので思い切って行けました。嬉しかったです」と打席を振り返った。さらに3回にも1点を追加し、リードを7点とした東海大高輪台。このまま試合が進んでいくと思われた。


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好投した2番手・原(明大明治)

 しかしここから完全な明大明治ペースとなった。3回裏、先頭の1番・梶野 琢磨(2年)が敵失で出塁。2番・高木がバントヒットでチャンスを広げ、バッテリーミスで1点を返した。その後二死二、三塁となり6番・能登 亮太(2年)がしぶとく右前に落としさらに2点を返した。また代打・田部井 明日翔にも適時打が生まれこの回打者一巡で4点を返した。

 明大明治は2番手・原 尚矢(2年)が好リリーフ。東海大高輪台打線を0に抑え、さらに流れを引き寄せていく。原の好投に、東海大高輪台宮嶌 孝一監督も「本当に良いところに投げられました。ウチの打者の特徴を見ながら、最大限に力を発揮していたと思います」と試合後語るほどの好投であった。

 原の好投に息を吹き返した明大明治打線は、6回に二死から2番・高木が二塁打で出塁。そして3番・植村がこの試合2本目の適時打を放ち2点差に詰め寄った。
さらに8回。1番・梶野が二塁打でチャンスメイク。二死後、またも3番・植村に打席が回る。打球は一塁手の正面へ。3アウトチェンジかと思われたが、一塁手の前で大きく跳ねてついに1点差とした。

 いよいよ迎えた最終回。なんとか追加点を奪っておきたい東海大高輪台は簡単に二死となってしまう。しかし2番・三浦 諒大(1年)と3番・佐藤が安打を放ちチャンスを作る。ここで4番・瀬戸が強烈な中前安打を放ち、三浦が生還。「あの1点が大きかった」と明大明治寺土 博昭監督も悔やむほどの、大きな大きな1点が入った。

 そして最後は7回から登板した3番手・杉崎 夏輝(2年)が満塁のピンチを招くも、最後の打者を中飛に打ち取りゲームセット。壮絶なゲームを東海大高輪台が苦しみながらものにし、2回戦に駒を進めた。


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最後の打者を打ち取り笑顔を見せた杉崎(東海大高輪台)

 試合後、宮嶌監督は「初戦ということで、苦しい展開になるとは思っていましたけどこのような苦しみになるとは思っていなかったです」と苦笑いを浮かべながら試合を振り返った。加えて「いい薬になったと思います。夏の大会だと今日のような試合は取り返しつかない場合がありますけど、秋の大会でよかったです」とホッとした表情も見せた。

 また、リリーフで登板した田代 樹(1年)と杉崎の活躍を宮嶌監督は讃えた。「田代は1週間前にメンバー登録のした選手。杉崎は夏に本格的に投手を始めた急造投手です。経験がないうえに、相手に流れが行っている中で粘り強く投げてくれました」と話した。

 敗れた明大明治だが、粘りの野球は見事であった。寺土監督も「打線は想像以上に打ってくれた。序盤浮足立ってしまい、ミスが続いてしまった」と敗因を語った。
点差が開いた中で選手たちに「こんなところで負けていいのか?」と寺土監督は問いかけたという。「敗れはしましたが、今後につながる負けだったと思います。この負けを生かせるように練習に励みたい」と先を見据えた。

 そして勝利した東海大高輪台。次戦に向けて宮嶌監督・伊東主将は口を揃えて「1週間空くので、しっかりと練習に取り組んで自分たちを見つめ直したい」と語った。また宮嶌監督曰く、準優勝をした3年生よりも、投手力は劣るが野球に対しての向き合い方は格段に良いという。立場を理解しながら、自分たちで練習に取り組むことのできる強さがある。一戦一戦成長し続けた先に、夏はあと1つ届かなかった頂点も見えてくるのではないのだろうか。

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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