試合レポート

二松学舎大附vs明桜

2017.08.14

二松学舎大附の好投手・市川、田中が活躍!

二松学舎大附vs明桜 | 高校野球ドットコム

二松学舎大附(東京)vs明桜(秋田)

 大会前の予想を見ると二松学舎大附がB評価、明桜がC評価というのが多く、私もそのくらいの評価だった。ならば明桜は積極的に仕掛けて、先制点を取りにいかなければならなかったのではないか。この試合の勝負を分けたのは序盤で、明桜ベンチは待球作戦を選択した。1回は4球、2回は3球、3回は4球、ストライクの見逃しがあり、3回までの見逃し率(全投球に占める見逃しのストライクの割合)は26.8%という高さ。通常、見逃し率は15~17%くらいが普通である(9イニングまでの見逃し率)。対する二松学舎大附は3回まで12.3%という低さ。積極的に好球必打の精神で2回には打者8人を送る波状攻撃で3点を取った。

 このイニングの二松学舎大附の攻撃を振り返ってみよう。先頭の4番、永井 敦士(3年)が初球を内野安打して出塁、バントで二進のあと6番秋広 涼太(3年)が1ストライクからの2球目をライト前に運んで先制点を奪うと、7番市川 睦(3年)が4球目をセンター方向への三塁打で1点追加、さらに9番永野 志弥(3年)が初球を打って右中間を破る三塁打を放って3点目を入れる。

 これらの4安打のうち、ストライクの見逃しは1球だけ、2安打は初球を打ったもので、1安打は2球目を打っているが、こういう積極的な攻撃は実力が下位に予想された明桜が取るべきだった。この序盤の戦い方で試合の流れは完全に二松学舎大附のほうに傾いた。

 二松学舎大附は4回には市川が2球目をライト方向に二塁打、永野がやはり2球目をライト前に運んで4点目を取り、5回には四球と投手のけん制エラーや内野のエラーが重なって1点を追加、6回には3本の二塁打などで3点を奪って勝負を決めた。

 二松学舎大附は走塁でも目立った。私が俊足の目安にする「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」をクリアしたのは5人8回。これは今大会、松商学園と並んで最多である。

 4回に放った二塁打のときの二塁到達で8.01秒を計測した4番永井はバッティングでも非力さを発揮した。先輩の鈴木 誠也(広島)にくらべミートポイントが捕手寄りで、その分見た印象が窮屈だが、5打数5安打でわかるように確実性を増している。今大会を代表する強打者と言っていいだろう。

 二松学舎大附の先発、市川は辛抱強いピッチングを展開した。ストレートの最速は139キロで、変化球はスライダー、カーブがあるが打者を圧倒するキレはない。目立ったのは気力。6回には1死二、三塁の場面で4番山口 航輝(2年)の打った打球が鋭く市川の足元を遅い、市川はこれをスパイクで受けると、素早くこれを捕球してホームに送球してホーム生還を狙う三塁走者をアウトにし、続く5番松本 大輝(3年)をレフトフライに打ち取り、ピンチを脱した。9回には田中 彗(3年)がマウンドに立ち、ストレートが最速140キロを計測、今大会の特徴である「複数の好投手」を二松学舎大附も証明した。

(文=小関 順二

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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