確認を大事にして、選手の動きを変えよう!
確認を大事にする

ミーティング中の選手たち(写真はイメージ)
試合の中で選手は様々な確認をします。この確認行為を充実させることによって選手の動きが変わり、結果も変わります。しかし、各チームの確認を知ると「それでは成果から遠ざかる」と思います。
確認をしないチームはないと思いますが、私がサポートしているチームの確認はどのように行われているか紹介します。
例えば、先頭打者が凡打してベンチに戻るときにネクストにいる打者に自分の感覚を伝えます。
「ストレートは走っている」
「結構思ったよりも速く感じる」
「スライダーはかなり切れているぞ」
「カーブの落差は大きいぞ」
ベンチの選手には長い言葉で伝えられますが、ネクストにいる打者には10秒前後の時間で伝えなければいけません。この確認行為、上記の言葉で終わっているチームがほとんどです。状況だけ伝えるのは、マイナスの流れに行く可能性が高くなります。
ストレートが速い、変化球が切れているという情報で力みが発生する打者もいます。スライダーが切れているという情報で、投手寄りの肩が(右打者であれば左肩)開く打者もいます。
情報だけじゃなく、「+意識するべきこと」を仲間に伝えることが重要です。情報と意識するべきことを確認共有することで、プレーする選手の動きは確実に変わります。
ストレートが速い投手に対しては、「思ったよりも速く感じるので、早めにトップを作って柔らかく待った方がいいな。お前ならできるよ」
情報 + 意識するべきこと + プラスの応援
プラスの応援までできれば最高です。自分はできなくて凡打したけど、これから打席に入る打者に対して背中を押すような言葉で送り出したいものです。
スライダーの曲がりが良い投手には、「曲がりが大きいから(情報)、自分の身体に近いところから曲がる球だけがストライクだぞ(意識するべきこと)。逆方向打ちが得意なお前なら打てる!(応援)」
どんな言葉を直前でかけて仲間をサポートするのか。何も考えずに打席に入れば投手とのカチンコ勝負になります。打者は、いかに過去の情報(自分の前の打席、仲間の打席)を自分に入れられるかどうか。
自分有利で勝負する

具体的な情報をしっかり確認しよう
弱者の戦いの基本です。情報を取り入れながら自分の身体をプラスに動かしたいものです。
ベンチに戻れば、もっと具体的にチームとして「これ」を共有して投手攻略をします。目前の投手は、いつも同じではなく、状況によって変化してくるので都度確認を大事にしないと、「打つ手が遅れる」ことになります。打者の確認行為を充実させれば結果はおのずと変わってきます。
指導者はこのような細かいことを把握していない場合が多く、選手が良かれと思って情報を共有していることが、動けなくしている場合もあるのです。
守備はどうなのでしょうか。ピンチのときに選手同士声を掛け合いながらプレーしますが、マウンド上で選手が集まるときや、集まらなくても隣同士の選手との確認は2つを意識せよと言います。
<精神的なこと>
ピンチなのですから、消極的ではピンチが大きくなっていきます。相手が勢いよく襲いかかってくるのですから、それ以上の闘志(強気)を持ちながら積極的な心で待ち構えることが大切です。周囲との確認を怠れば知らず知らずのうちに腰が引けているものです。仲間同士で士気を高めることはピンチだからこそ重要なのです。
<具体的なこと>
精神論だけじゃなく、何をどのようにという確認も大事です。内野手がショートバウンドで合わせられるように爪先体重で構えるという動きの具体的なこと、こういう打球では攻めて、こういう打球では「ひとつアウト」の感覚で守ろうという確認をします。
指導者から「確認をしなさい」と言われて確認をするのでは成果が出せません。一種のマニュアルのようになっては本来の確認の狙いから遠ざかります。「しなければいけない」という状態では、選手の動きはよくならないのです。
■ピンチを切り抜けるために必要だから確認をする
■良いプレーをするために確認をする
そうです。勝つために必要だから自然に言葉の掛け合いが起こるのが、ミスの少ないチームです。守備で大切なのは「ちょっと先を考える」ことです。予測することによって、確認するべき内容も変わってきます。
準備を充実させると、プレーの質が変わってきます。
どうしても本番になると緊張のあまり選手間の会話が少なくなります。この時点でもう負ける流れになっています。だからといって意味のない大きな声を出しまくっても効果は薄い。必要な会話(確認)を試合中に何度もすることによって、落ち着いて「何か」に集中できるようになります。能力を発揮するためには、集中度合いをアップさせることです。
攻撃における、打者が打者にする確認。走者としての確認。守備における、守備者がする確認、バッテリーがする確認。これらを細かく充実させることが、勝てるチームを作り上げることになります。
バッテリー間の確認は、試合の中で一番重要だと考えます。捕手は何を投手と確認していくのか、高校野球は捕手が何度もマウンドにいってバッテリー2人だけであればタイムをかけることはできます。
決めてからプレーする!

事前の準備を大切にしよう
それでうまくいかなかったら仕方がないと諦めるだけです。確認行為を怠って、「あのときに言葉をかけていれば」と嘆くのは後悔です。試合中に後悔するようでは、強者に一気に押し切られることでしょう。
私の指導は、ミスをしたときにミスをした選手ではなく、周囲の選手に指摘します。「動けなかったのは周囲の責任である」と言います。
動けなかった ⇒ 動かせられなかった
動かすためには言葉がけを大切にするべきです。当然、技術的なこともミスの原因では大きなものですが、事前の準備を大切にする弱者が増えれば、強者と対等に戦うことも可能になるのです。
夏大会の予選が全国でまだまだ続いています。このコラムを選手が読んで、少しでも確認について考えて取り入れてくれればと願います。新チームになったチームも、スタートで確認を大事にチーム作りしてほしいです。
(文=遠藤 友彦)
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