戦国千葉2017が幕開け！木更津総合、専大松戸、東海大市原望洋の三強を追う実力校たち

菅野雄太郎（千葉経大附）

　つなぎの野球、複数投手陣で勝ち上がった検見川。しかし初戦は関宿・流山と千葉商大付の勝者と苦しい組み合わせ。千葉商大付は、左腕・染谷康友の成長がカギ。基本的に守り勝つチームだが、ここにきて打線が強化されるようになると楽しみな布陣となる。このブロックではノーシードで、千葉英和と船橋芝山の対戦がいきなり実現。お互い打撃力が高く、激しい戦いが期待できそうだ。またCシードの千葉黎明は東京学館船橋、東葉、志学館など強豪がそろっている。

　Cシードの市立柏は一宮商とあずさ第一の勝者と対戦。3回戦で木更津総合に敗れ、投手陣の実力向上が課題となった市立柏。夏へ向けて投手陣の底上げを果たし、夏を戦っていきたい。同ブロックには上位打線に力がある昭和秀英、敬愛学園。Bシードの成田は、千葉北と千城台の勝者と対戦。切れのあるストレートを投げ込む小田託未と小宮裕涼のバッテリーを中心に守り勝つチーム。夏へ向けて打線が強化されると面白い。

　Bシードの習志野は犢橋と大網の勝者と対戦。習志野は右のスラッガー・吉野海都を軸にした打線は超強力。投手陣は石川水都、関口諒など完成度の高い投手を多く揃え、守備力も高く、今年の千葉県の勢力図から考えれば頂点を狙えるチームである。だが、春は逆転負けを喫したように、終盤での戦い方が課題となっている。それを乗り越えることが頂点を狙うカギとなるだろう。同ブロックの注目は、拓大紅陵だ。今年の代は、まだ芳しい実績を残していない。だが、高校通算30本塁打のスラッガー・度会基輝を中心とした破壊力ある打線と、守備を固め、頂点を目指す。

そして千葉商と銚子商と県内を代表する商業高校同士の対決が実現。千葉商は昨秋から宮崎 友裕が投げてきた。この春は代表決定戦で敗れてしまったが、秋では春4強の検見川に対し、2対3と接戦を演じているチームでり、実力校である。対する銚子商も中学時代、U-15代表だった宮内竜志が攻守の要。投手力、守備力を高め、夏に挑んでいきたい。

　このブロックのノーシードの学校は粒揃いで、千葉商と銚子商の勝者は中央学院。昨秋以降、守備力強化、走塁強化に力を入れてきたが、この春は木更津総合に力負け。エースで主軸を打つ大谷拓海に頼り過ぎないチーム作りを進めてきたが、やはり大谷が投打で成長を見せない限り、上位進出は難しい。最後の夏に想いをぶつける3年生と主力選手として自覚を見せた大谷がうまく融合して、戦いができれば、頂点を狙えるチームになるはずだ。また潜在能力が高い右腕・白山 直哉擁する横芝敬愛も、全学年の力を結集して、上位進出を果たしたい。さらにCシードの日体大柏も袖ヶ浦と小見川の勝者と対戦と、いきなり厳しいカードとなる。日体大柏は強打者のチョ ソハンの打棒が本領発揮になるか。

　Aシードの千葉敬愛は、エース右腕・新原渉吾を中心に複数投手陣で勝ち抜くチーム。また打線も、上位下位と切れ目なく、一気につながれば大量点も期待できる。また試合運びがうまく、後半に強いのが特徴だ。Cシードの四街道は市立銚子と千葉沼南の勝者と対戦する厳しいカードとなった。同ブロックで注目なのが、144キロ右腕・菅野雄太郎擁する千葉経大附、好投手・吉崎 圭亮擁する千葉日大一。どちらも春は不本意な結果に終わっただけに浮上を狙う。

川上鳳之（専大松戸）

　春優勝の専大松戸は国分と流山南の勝者と対戦。専大松戸はエース川上 鳳之は最速146キロを計測する速球派右腕。指先にしっかりと力が伝わった回転数が高いストレートは、絶品で、今年の千葉を代表する山下輝、金久保優斗にはない球質の良さである。専大松戸は左腕・濱名竜之介の故障が痛く、戻ってこれるのか不透明だが、川上以外の投手が使える目途が立つのか。大会前までの練習試合までやりくりすることになるだろう。川上を救える投手が出てくることを期待したい。そして打線では大型一塁手・今里凌を軸に打者陣の能力は高く、さらに守備力も高い。関東大会では守備が乱れがちだったが、それでも投打の能力の高さは十分。2年ぶりの優勝を狙える戦力を十分に有している。さて、同ブロックではCシードで打線に勢いがある柏南、投手力が高い西武台千葉、流通経済大柏、東京学館、昨秋ベスト16の暁星国際が面白い。ただその4校と当たるのは早くても、5回戦。それを考えると専大松戸は、試しながら使える組合せに恵まれたといえる。

　逆に柏南にとってはかなりきつい組み合わせで、ノーシードの学校がベスト16入りする可能性は十分に高い。

　東海大市原望洋は、初戦で、九十九里と我孫子の勝者と対戦。エース・金久保優斗以外の投手を育てようとしてきた。この春は金久保は未登板。しかし県大会2試合で終わったことは、どうも不安材料として残る。打線は、長打力が出てきた藤本誠啓、U-18代表候補に名を連ねた鯨井 祥敬、長打力のある荒川 太一など打力がある選手を揃えてきた。初戦で勝ち上がるチームはどちらも、実力はあり、金久保以外の投手を試すには、打線の奮起が重要となりそう。

　同ブロックのシードは千葉敬徳。右サイドの速球派・伊藤陸人、強打の捕手・菅井 紀美靖を投打の柱に加え、上位打線だけではなく、下位打線にもオーバーフェンスを打てる打者が揃い、守備力も高いチーム。同ブロックでは東海大浦安が怖い。こちらも同じく長打力があり、130キロ台の直球、スライダーのコンビネーションで勝負する山本 隼輔がキーマン。打線全体のレベルが高く、十分に上位進出が可能なチームだ。

　木更津総合でコーチだった滝田優司監督のもと、力をつけてきた市原中央は、船橋古和釜と君津の勝者と対戦。ノーシードには、昨夏準優勝の市立船橋。秋以降、思うようなパフォーマンスが発揮できていない140キロ右腕・渕上泰樹が復活を果たすか。1回戦に勝利すると八千代松陰と対戦。八千代松陰は走攻守すべてにおいてレベルが高く、いきなり激しい戦いが期待できそうだ。

峯村貴希（木更津総合）

　木更津総合は、流山おおたかの森と君津青葉の勝者と対戦。流山おおたかの森は柏市内のローカル大会では実績を残しており、柏地区の学校の指導者の評判も高く、侮れないチームだ。木更津総合は全国トップクラスの大型左腕・山下輝、高校生ナンバーワンショートになれる可能性を秘めた峯村貴希の2人がラストサマーを迎えた。

　山下はいつでも安定感あるピッチングができるか、峯村は勝負強い一打と力強い打撃が求められる。投手陣では山下以外の投手も軒並み130キロ台を超え、打線は強打の捕手・芦名望、広角に打ち分ける山中稜真、大化けを期待したいスラッガー・野尻幸輝、1年生サードの小池柊稀などレギュラー陣の潜在能力は、昨夏甲子園ベスト8のチームと比べても高いだけに勝負強い姿を見せていきたいところだ。同ブロックでは東京学館浦安に注目。経験豊富な左腕・谷澤太朗を軸に守り勝つチーム。この夏も上位進出を目指す。

　千葉県は7月12日に開幕して、7月25日に決勝戦を迎えるという日本でもトップクラスのタイトなスケジュールで、行われる。それだけに連戦に耐えうるスタミナ、コンディション管理も重要となりそうだ。

　昨年も数々のドラマがあったが、今年も大会が進む中で、人々の心を揺さぶるようなドラマが起こることを期待したい。

（文・河嶋 宗一）

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