試合レポート

日本文理vs新潟明訓

2017.06.03

見事な集中打!日本文理コールドで決勝進出!!

日本文理vs新潟明訓 | 高校野球ドットコム
松木一真(日本文理)

 準々決勝から1週間。雨で流れた前日とは打って変わって快晴の[stadium]長岡悠久山球場[/stadium]では、第136回北信越地区高等学校野球新潟県大会を勝ち上がった4校が集結。第一試合には、秋王者の日本文理新潟明訓が登場。新潟の高校野球界をリードしてきた2強の対戦に、外野席を開放するほど多くの観客が集まる注目度の高い一戦となった。

 試合が動いたのは2回表、日本文理は、新潟明訓先発の田邉 隼也(2年)を攻め、一死一、二塁のチャンスを作ると、7番キャプテンの笠原 遥也(3年)がライト前へ運び先制。続く8番・牧田 龍之介(3年)もライト前へ運び、1点を追加。一度火がつくと止まらない今年の日本文理打線は、続く9番先発投手の新谷 晴(3年)が犠飛でつなぎ、3点目。

 新潟明訓はここで先発・田邉からエース・大薮 和馬(3年)にスイッチするが、代わった大薮も制球に苦しみ、2つの四球で満塁のピンチを招く。ここで日本文理3番の川村 啓真(3年)がライト線を破るタイムリーツーベースを放ち3者生還。この回、一挙6点をあげる。

 反撃したい新潟明訓はその裏、日本文理先発の新谷を攻め、2つの四死球と5番・石川 諒(3年)で無死満塁のチャンスを作る。だがここは新谷の前に、併殺崩れの間の1点に抑えられてしまう。その後、日本文理・新谷、新潟明訓・大薮の好投が続き、スコアボードに0が並ぶ。新潟明訓は5回裏にこの回先頭の8番・高橋賢太がツーベースで出塁するが、けん制死でチャンスをつぶしてしまう。

 日本文理は6回、ここまで好投の新谷からエース・稲垣 豪人(3年)へスイッチ。稲垣は三振2つを奪う好リリーフで新潟明訓に付け入る隙を与えない。すると、直後の7回、日本文理は2番・寺杣 直泰(3年)のツーベースを皮切りに、5番・先川 大智(3年)、6番・長谷川 大(3年)、8番・牧田のタイムリーで3点を追加し、勝負あり。

 その裏、0に抑えればコールドゲームという中で日本文理・稲垣は、リミッターを解除したかのように140km/h台を連発。最後のバッターを見逃し三振に切って取り、ゲームセット。9対1、7回コールドで日本文理が決勝に駒を進めた。

[page_break:エキサイティングチーム 日本文理]

エキサイティングチーム 日本文理

 試合終了直後、バックネット裏で観戦していた私の近くで見ていたおそらく高校野球観戦暦の長い玄人と思われるおじさんがボソッと一言つぶやいた。

「やっぱり強いチームは、ここぞのときの集中力が違う」

 今年の日本文理はそんなおじさんの言葉を見事に体現している。緒戦となった新発田農戦でも、1対7という劣勢の状況から、相手のミスに乗じてじわじわと追い上げ、逆転した七回には集中打で一挙6得点。この試合もキーポイントとなった二回の攻撃で一挙6点。しかも、3点を先制し、なおも二死一塁という追加点の可能性が低い状況から、1番、2番がしっかり四球を選び、3番・川村が長打で走者を返し、大量得点につなげている。一方その裏、新潟明訓が無死満塁で1点だったことを考えると、このチャンスでの明暗が勝敗に直結したように見受けられた。

 高校野球において、無死満塁で得点が入らないことはそんなに珍しいことではない。だが上位に勝ち進めば進むほど、強豪と呼ばれる高校は、そういったチャンスで着実に、かつ何点でも取ってくる抜け目ない攻撃を仕掛けてくる。それを可能にしているのが普段の練習での緊張感なのだろう。

 抜群の集中力でビッグイニングを作り、玄人の高校野球ファンもうならせる日本文理打線。今年の夏の新潟県予選もまた、このチームを中心に展開していきそうだ。

(写真・文=町井 敬史)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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