山村学園vs富士見
トミージョン手術から復活した142キロ右腕・矢口皓太(山村学園)!
最速142キロを計測した矢口晧太
パワーアップを遂げての復活だ。
山村学園の先発は矢口皓太(3年・174センチ74キロ・右投げ右打ち)。背番号10をつけた矢口だが、1球目から驚くような速球を投げ込む。なんといきなり140キロを計測。その後も、常時135キロ~140キロ前後を計測し、初回は最速142キロを5球を計測。速球能力は本物だといえるだろう。フォームも、体全体を使っていて、力強い。左足を高く上げてから、真っすぐ踏み出していき、左腕のグラブを高々と掲げてから、真っ向から振り下ろす姿は躍動感を感じさせる。身のこなしを見ていても軽快で、地肩の強さ、背筋力の強さを実感させる選手だ。
その矢口、実は1年冬にトミージョン手術を受けていた投手だった。投球練習中、右ひじが断裂。1年間、投げられない時期が続いたが、それでも矢口は地道なリハビリ、トレーニングを経て復帰したのであった。ストレートにはこだわりがあると話す通り、140キロ台の速球を連発した矢口だが、制球力に課題を抱えており、1回表、一死満塁のピンチを招き、内野ゴロの間に1点を先制される。
だが山村学園は、1回裏、二死二塁から敵失ですぐに同点に追いつく。2回表、埼玉富士見が矢口を攻め立て、一死二、三塁から内野ゴロの間に1点で勝ち越しに成功した。
1点を追う山村学園は、2回裏に一死一、三塁から内野ゴロの間に1点を勝ち越すと、3回裏にはスクイズで勝ち越しに成功。4回裏には、1番野邨の適時打、5回裏には木内の適時打、6回裏には、適時打。7回裏には寺嶋の2点適時打、2番大室の適時打と、7イニング連続で点を記録した。この攻撃について主将の金子は、「今年は去年のような一発長打が打てる選手がいないので、犠打、盗塁を絡めて、もぎ取っていくスタイルになると思います」と話すようにこの試合では5犠打を決めたがノーミスで走者を進めた。ただ一冬でしっかりと体を作ってきたように、各選手、打球が鋭い。しっかりと打力面も鍛えられている。
矢口は回を追うごとに安定し、7回を投げて、被安打3、3奪三振、3失点。課題は6四球を記録した制球力。矢口は「ストレートは好調時ほどではなかったですし、制球力については、この春から公式戦初登板でしたので、緊張でうまく投げられなかったかもしれません。ただだんだん慣れてきたので制球力は高めていけるかなと思います」とコメント。コンスタントに140キロ台を計測する投手はそうはいない。一躍、県内トップクラスの速球投手としてアピールを見せた。
山村学園は計5投手の継投リレーで埼玉富士見を破り、県大会出場を決めた。相手の埼玉富士見は、常にベンチが盛り上がり、全力プレーを徹する好チーム。打線も上位打線を中心に振れる打者がおり、活気があった。そういう相手を破って県大会出場を決めたのは、山村学園にとって、収穫が残る試合だっただろう。
怪我から復活した矢口を揃え、一段と戦力が増した山村学園。昨年のベスト4超えを目指して、26日開幕の県大会に臨んでいく。
(取材・写真=河嶋宗一)
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