試合レポート

国士舘vs日大一

2017.04.07

国士舘・石井、自慢のストレートで11奪三振、1失点完投勝利!

国士舘vs日大一 | 高校野球ドットコム

完投勝利の石井 崚太 (国士舘)

 昨秋4強入りした国士舘。かつて甲子園に導いた永田監督が復帰し、強化を図っている。シード権を目指して臨んだ日大一戦は接戦となった。

 まず1回表、国士舘は二死一、二塁から5番金澤諒平(3年)が左前適時打を打ち、1点を先制。しかし2回裏、5番大塚巧己(3年)に甘く入ったスライダーを捉えられ、三塁打。6番中島大輔(3年)が歩いて、7番根本隆平(3年)に犠飛を打たれ、同点に追いつかれる。

 だが国士舘は、3回表、敵失からチャンスを作り、3番水野谷孝一郎(3年)がレフト線を破る適時二塁打で国士舘が再び勝ち越しに成功。

 この勝ち越し劇に、国士舘バッテリーは、落ち着きを取り戻し、3回以降から、リードする金澤は、国士舘先発の石井 崚太(2年)の持ち味を引き出すことを考えた。

 石井は左スリークォーターから強烈なインステップで踏み込んで投げる投手で、ナチュラルにシュート回転するストレートが持ち味。長所は球もちの良さで、内回りの軌道から打者よりでボールを離すことができるので、ストレートの球速は、常時120キロ後半~132キロ程度ながらも、打者からすれば球速表示以上のものを感じさせる投手だ。

 金澤は「最初、慎重に入りすぎたけど、石井のナチュラルにシュート回転するストレートに振り遅れ気味なのを見て、ストレート中心の配球で行きました」
3回以降からストレート中心の配球に変更。すると、日大一打線は石井のストレートに対し、ボールの下を振る空振りが多くなり、4回一死から5回にかけて5者連続三振を奪う快投を見せた。

 リードする金澤は攻守で石井を盛り立てる。3回裏には二度の盗塁阻止。「あれは本当に助かりました」と石井が語るように、肩でプレッシャーをかけたことで、石井はノビノビと自分のボールを思い通りに投げ込み、6回表には金澤が犠飛を放ち、3対1と点差を広げた。結果、石井は11奪三振、1失点完投勝利を挙げた。


 国士舘の石井の好投が光った試合だが、日大一の先発・下野湧雅(2年)の投球も光った。120キロ半ばながら、丁寧に外角、低めへ投げ分け、低めに落ちる変化球もしっかりと集めて、国士舘打線をフルスイングさせなかった。日大一の渡邉直樹監督は「秋からの成長点は、下野がどの試合でも粘り強く試合を作れるようになったことです。この試合でも自分の持ち味を発揮してくれましたし、3失点はエラー絡みの失点ですし、立派だったと思います」とエースの好投を評価した。

 5番大塚の評価はこの都大会3試合で高まった。とにかく強いスイングができる左打者で、間合いの取り方、安定したトップ、スイングスピードの速さ、体軸のブレの小ささと、都内強豪校の左打者にひけをとらないポテンシャルを持っている。国士舘の好左腕・石井に対してもひるむことなく、フルスイングを徹底できていた。そんな大塚は秋まで投手として投げる機会が多く、まだ打撃にも自信がなかったという。

 パワーアップのきっかけは、投手として球速・球威を増すためにウエイトトレーニング、食トレに励んだことが一因となっている。一冬超えて、スクワットは130キロまで持ち上げられるまでのパワーが身に付き、打者としてのパフォーマンスを飛躍的に伸ばした。
「秋まで中途半端なスイングが多かったですが、この春になってしっかりと振りきって強いスイングができるようになった」と語るように、立正大立正戦で本塁打を放つなど、自分の打撃に対して手ごたえを掴んでいる。

 渡邉監督は、「投手としてレベルアップしたい思いで真剣に冬のトレーニングに取り組んできた選手で、それが打撃面に良い影響を与えていると思います」とコメント。国士舘の捕手・金澤は「一打席目、打った瞬間、振れる打者だなと思いました。第1打席はスライダーを打たれたのですが、そのあとはストレートでうまく責めることができました」と語れば、投手・石井も、「結構ひやりとするようなファールを打たれましたけど、しっかりと攻めることができて良かったです」とかなり警戒をしていた。

 夏では投打で大暴れしたいと誓った大塚。この夏のブレイク候補として今から覚えておきたい逸材だ。

(取材・写真=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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