坂出vs尽誠学園
坂出、鮮やか「足攻」で夏の王者・尽誠学園に快勝!
横井 啓太(坂出)
「鮮やか」。その三文字に尽きる坂出の初回であった。最速135キロをマークした尽誠学園の先発左腕・谷口 海来(2年)から1番の東田 裕貴(1年)が中前打。2番・西川 哲哉(2年)の犠打後の全力疾走が失策を誘い、さらに3番・細川 寛大(1年)も死球でたちまち無死満塁。
そこから横井 啓太(2年)の左前適時打で谷口を下し、2番手左腕の元根 哲輝(2年)からも暴投と法兼 圭佑(2年)の右犠飛で計3点。この間わずか19球である。
ただ、これこそが坂出が狙っていた形であった。「1番の東田が出塁するかがポイントだったが、初回はつないでいこうとした」と初回について話した29歳の上原 達也監督は、もう1つの勝因について触れた。
「ウチは50メートル6秒台の選手がほとんどいないけど、走塁面での準備やスタートのタイミングは練習でずっとやってきました」
その成果は随所に見られた。初回、暴投で西川が本塁突入した2点目も、犠牲フライで細川が生還した3点目もタイミングは紙一重。鍛えた走塁でもぎ取ったもの。さらに8回表のダメ押し点は先頭打者で二塁打を放った細川がワンバウンドのタイミングを見図って素早いスタートで三進(記録は暴投)。それが一死後、法兼の右犠飛につながったものである。
逆に尽誠学園にとってはこれらが痛恨に。2番手左腕の元根 哲輝(2年)が最速134キロを出したストレートとスライダーを駆使し9回を10奪三振1失点に抑え、3番・主将の中原 輝也(2年)も二塁打2本。甲子園でも作新学院の今井 達也(3年)から2打数2安打の実力を実証した反面、走塁で坂出に主導権を握られたこと。
さらに週刊少年マガジン連載中「ダイヤのA」作者・寺嶋 裕二さんの出身中学卒らしく、頭脳的に高低を使ってきた坂出先発・西山 諒祐(2年)に「ストレートを待って詰まってしまう」(松井 義輝監督)ところからの修正が最後まで図れなかったことが、夏春連続甲子園への道がほぼ絶たれる要因となってしまった。
しかしながら、ここは坂出の戦いが素晴らしかったというべきだろう。まずは県大会初優勝し、四国大会で[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]に登場した3年前の再現目指して。彼らは走塁と頭脳を駆使して「あと1つ」を取りにいく。
(文=寺下友徳)
注目記事
・2016年秋季大会特設ページ