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東海大北海道【前編】限られた時間の中で才能を開花させたドラフト候補・水野滉也

2016.08.18

 他人と同じことをしていては、レギュラーは奪えない。みんなと同じチーム練習だけをやっていたのでは、自分のレベルアップも図れない。そこで重要になってくるのが個人練習。自らの弱点を補い、長所を伸ばすための個人練習の質と量が、そのカギを握る。

 東海大北海道では、準硬式野球部、東海大札幌高とグラウンドを共有しているため、練習時間の制約があるにもかかわらず、今春の全日本大学選手権ではベスト8入り。選手たちが限られた時間をいかに有効利用しているのかを投手の2本柱である水野 滉也(4年・札幌日大)、山根 大幸(4年・花巻東)、さらには1年から4番を任されてきた伊藤 諄(4年・東海大四)の3人に聞いてみた。

ドラフト候補・水野滉也投手を成長させたトレーニング法

水野 滉也選手(東海大北海道)

≪水野 滉也≫

 東海大北海道のシーズン中の主な1週間の練習の流れは、高校と時間を調整しながら月、火曜日のいずれかにオフを入れ、水曜日は午前8時30分から12時、木曜日が午後6時から午後8時30分、金曜日は午後4時から8時30分までがグラウンドを使用できる時間となる。土、日曜日は自校のグラウンドか、相手の方に出向いてのオープン戦が組まれることが多い。そんな限られた練習時間の中で、水野は1年春からマウンドに立ち、いきなり3勝(1敗)をマークして新人賞に輝いた。

 その後も順調に成長していったが、3年になってスランプに陥った。「はっきり言って1、2年の頃は練習していませんでしたね。ただ、決められたメニューをこなしていくだけでした」というツケが球速、コントロール、変化球のキレなどすべてに現れた。

 3年春のリーグ戦では、先発わずか1試合。チームに連れて行ってもらった大学選手権では、2回戦の早大戦に先発したが、2回0/3、5安打2四球2失点でKOされ、チームは0対12で5回コールド負けを喫した。「マウンドに立ってみないと、調子がどうなのか分からない状態でした。さすがにこのままじゃダメだと…」と、取り組み始めたのがウエイトトレーニング。ただやみくもに筋力をつけるのではなく、自分の体を思い通りに動かすために、1つひとつのトレーニングの意味をしっかりと理解した上で、ブレない体幹を目指し鍛え上げてきた。

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[page_break:水野投手が実践するウエイトトレーニング法・ポイントを紹介!]

水野投手が実践するウエイトトレーニング法・ポイントを紹介!

【1】デッドリフト(ワイドスタンス)

1.足を肩幅よりやや広めにセット。右手を順手、左手を逆手に持ち、背中を真っ直ぐに伸ばすことを意識する。
2.背中を真っ直ぐに伸ばしたまま、ひざを使って持ち上げていく。
3.ひざをしっかり伸ばして、体が真っ直ぐにする。
ワイドスタンスにすることによって、内転筋に力が入りやすくなる。

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  • 肩幅を広めに

  • 右手を順手、左手を逆手に持ち

  • 背中を真っ直ぐに伸ばす

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肩幅を広めに

右手を順手、左手を逆手に持ち

背中を真っ直ぐに伸ばす

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【2】スクワット

 オフシーズンはMAX200キロ×1、170~180キロ×7を3セットなど、重いウエイトを上げる。シーズン中は筋力維持の目的から、90~120キロとやや軽めのウエイトを7×3セット程度。

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【3】サイドステップ

 ウエイトのバーを肩に担ぐようにして、リズミカルにサイドステップを繰り返す。股関節、ひざ関節、足関節を意識しながら動いているときも、踏ん張るときも、体が傾かないようにする。

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  • ウエストのバーを肩に担ぐように

  • リズミカルにステップ

  • 股関節を意識しながら

  • ひざ関節、足関節することも忘れず

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ウエストのバーを肩に担ぐように

リズミカルにステップ

股関節を意識しながら

ひざ関節、足関節することも忘れず

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【4】シャドーピッチング

 ウエイトトレーニングをしたあとは、投球フォームのチェック。フォームを細かく分解して、ひじの高さや体重移動などを確認しながらゆっくりと行う。

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  • 足を上げた時のバランスも意識

  • テイクバック

  • 肘の高さを意識

  • 体重移動も意識

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足を上げた時のバランスも意識

テイクバック

肘の高さを意識

体重移動も意識

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 地味なトレーニングだが、コツコツと続けたことによって今春のリーグ戦は6試合に登板して5勝無敗。防御率0.21という完ぺきな投球を披露し、エースとしてチームを優勝へと導いた。「本格的にウエイトトレーニングに取り組んで、まだ1年も経っていないんですが、明らかにフォームが安定したという感じです。去年まではストレートでファウルを取れなかったのが、取れるようにもなりました」と、球速も5キロ以上アップして、MAX147キロをマーク。全日本大学選手権ベスト8進出の立役者となり、日米大学野球代表にも選出された。

 トレーニング以外にも、体のことに興味を持つようになり、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を積極的に摂取して疲労を残さないように努めている。「昔は投げてもアイシングすらしていませんでした。でもやっぱりケアは大事ですよね。全日本にも行かせてもらって、意識の高い選手たちをみていると、一層そう思いました。必要な筋力をつけることもケガをしないことにつながります」と、今秋のドラフト候補生は大学最後のシーズンに向けて万全の準備をしている。

 後編では、山根選手や伊藤選手の取り組む個人練習を紹介していきます。

(取材・文=京田 剛


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【8月特集】「夏休み個人練習メニュー」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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