試合レポート

豊橋南vs三谷水産

2016.07.10

大差にはなったものの、ひたむきさを示した三谷水産

 学校の事情や状況によって、必ずしも同じ条件で話す戦いになることもあるのも高校野球だ。実習の授業もあって、全員が揃ってグラウンドに集まって練習できないだけではなく、遠洋航海に出れば何日もチームから離れなくてはならないこともあるという三谷水産(みやすいさん)。それだけでも大きなハンデとなる。

 これに対して豊橋南は、東三河では陸上部の強豪として知られているだけに、野球部はやや遠慮がちにグラウンドを使用しているという。それでも、ある程度部員も集まってきており、チーム作りとしてはやりやすいであろう。

 ところで、豊橋南の藤城 賢監督は前任が三谷水産だった。そして、三谷水産時代に、今の三谷水産が使用している胸に漢字で「三水」と書かれた、かつて甲子園を席巻した沖縄水産に酷似したデザインのユニフォームを考案した人でもある。ちなみに、現在の豊橋南の頭のmを大きく表記して筆記体で「minami」と書かれた、愛工大名電を多少意識したようなユニフォームも藤代監督が考案している。こうした、ユニフォームに関する拘りを監督が示しているのもまた、高校野球の楽しさとも言えよう。

 試合は、先攻の豊橋南が立ち上がりから5人連続四球で2押し出し。さらに2番手として三塁からマウンドに立った背番号4の金澤君に対しても、棚橋君の安打で得点し、失策も連続的に重なって、打者15人の猛攻となって、とどめは3番杉浦君の右中間三塁打でこの回10点が入った。

 正直これで試合の行方は決してしまったかの感もあった。豊橋南はさらに、2回にも菅谷君の右越二塁打や4番渡邉 七瀬君の三塁線二塁打などで3点。3回にも二死一二塁から菅谷君の今度は左中間を破る三塁打で2点を追加。5回にもさらに打者10人で6点を追加して何と21点を奪い大勝した。

 これだけ点差がついてしまうと、どうしても内容としても間延びした感じになってしまうのも否めない。片方の攻撃時間だけがやたら長いというのも、見ている側としては疲れるかもしれない。だけど、それを払しょくするかのように、三谷水産の選手たちはひたむきにプレーしていっていた。その姿勢がよかった。だから、これだけの大差になりながらも、さまざまなハンデのある中で取り組んできた三谷水産を称える拍手がスタンドを包んだのは清々しかった。こういうこともまた、高校野球の素晴らしさと言っていいだろう。

 (文=手束 仁

豊橋南vs三谷水産 | 高校野球ドットコム
注目記事
第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.05.12

【春季新潟県大会】プロ注目右腕・茨木佑太が完封!元プロの芝草監督は素材、メンタル面も絶賛!

2024.05.12

プロ注目の200cm右腕・菊地ハルン(千葉学芸)がセンバツ出場校との交流戦でまさかの7失点…夏までの課題は?

2024.05.12

【春季京都大会】センバツベンチ外の西村がサヨナラ打!新戦力の台頭目立つ京都外大西が4強進出

2024.05.12

【奈良】天理が決勝最多18得点で圧勝!13年ぶりに春の頂点に<春季大会>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.07

【鹿児島】神村学園は昨秋4強の鶴丸と初戦で対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.07

【山陰】益田東と米子松蔭、鳥取城北が石見智翠館と対戦<春季大会組み合わせ>

2024.05.07

【北海道】函館大有斗、武修館などが初戦を突破<春季全道大会支部予選>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>