試合レポート

東邦vs愛工大名電

2016.07.30

東邦・藤嶋が気迫のピッチングで愛工大名電を下し、東邦が2年ぶり17回目の甲子園へ!

 7月30日、[stadium]岡崎市民球場[/stadium]でノーシード・愛工大名電対シード・東邦の決勝が行われた。愛工大名電は3年ぶり12回目、東邦は2年ぶり17回目の甲子園出場をかけて激突した。最も熱く、過酷な愛知大会で190チームの頂点に立つのは、ノーシードから中京大中京などの強豪を破ってきた愛工大名電なのか投打のエース・藤嶋 健人を率いる東邦なのか名門同士の一戦に期待が膨らむ。

 両先発は、愛工大名電藤村 哲之東邦・藤嶋のエース対決。

 先に打ち崩したのは東邦
1回裏、一死から東邦の2番鈴木 光稀が際どいボールを見極めフォアボールで出塁。3番松山 仁彦のところで東邦はエンドランを仕掛ける。松山の打った打球は、左中間を抜くツーベースとなり一塁ランナー鈴木が一気に生還。東邦が1点を先制する。

 東邦がさらに追加点を挙げていく。
2回裏、二死一塁の場面で打席に立つのは9番鈴木 理央。小柄な体型ながら鈴木が振り抜いた打球はレフトへぐんぐん伸びていき、レフトポール近くのスタンドに飛び込むツーランホームランで2点を追加し3対0と序盤から差を広げていく。

 愛工大名電打線は東邦のエース藤嶋を攻略しようとセーフティバントを果敢に行っていくがなかなか決まらず、点に繋げていくことが出来ない。藤嶋も素早いフィールディングで愛工大名電の緻密な野球にチャンスを作らせず、5回を56球、被安打2として投げ切る。

 4回にも1点を与えてしまった愛工大名電は6回表に反撃に出る。
ワンアウトから1番中村 太紀が俊足を活かしたセーフティバントを遂に成功させ出塁する。続くイチロー2世と呼ばれている1年生バッター2番の柳本 優飛は三遊間を抜ける当りでエンドランを決めていき、柳本はすかさず盗塁を決め一死二、三塁のチャンス。迎えるは3番秋山 海都。秋山は三塁線に絶妙なセーフティスクイズを決め、愛工大名電が得意のバント野球で1点を返していく。尚も二死三塁のチャンスで1点でも多く取っておきたい愛工大名電であったが、東邦・藤嶋に後続を抑えられ1点に止まる。

 その裏、愛工大名電・藤村の疲れが見えてきた所に付け込み、すぐさま東邦が差を広げていく。
東邦は2番鈴木、3番松山、4番藤嶋の連続四死球などでツーアウト満塁のチャンスを作る。このチャンスで5番小西 慶治は初球から強気なバッティングでレフト前への2点タイムリーヒットを放ち、6対1として6回を終了する。


 東邦の流れで試合が進む中、愛工大名電打線が東邦・藤嶋を責め立てていく。
先頭の5番山崎 基輝がフォアボールを選び出塁。6番安田はツーストライクから粘りのバッティングでセンター前へのヒット。続く7番松本はバントを決行。このバントが相手エラーを誘い出しノーアウト満塁の絶好のチャンスを作る。

 ここで愛工大名電ベンチは動く。8番エースの藤村に代えて、代打・向井 悠人を打席に送る。しかし、向井は東邦・藤嶋の140キロのストレートに手を出すことが出来ず、見逃しの三振。東邦・藤嶋もこれにはマウンドで吠え、気合を見せつけていく。9番石井 幸大も内角に切れ込むスライダーで空振り三振。ここで打順は戻り、1番中村。しかし中村が打った打球は無常にもライトフライ。愛工大名電にとってこの上ないチャンスであったが、東邦・藤嶋が立ちふさがり愛工大名電に点差を縮めさせない。

 東邦は、7回からマウンドに上がっている愛工大名電横山 瑞樹の代わり端を捉えていき、さらに1点を追加していく。

 7対1と大差を広げられた、8回表。この夏に向けて、毎日ティーバッティングを1000本振り込み、必死に練習を重ねてきた愛工大名電。何としても追いつき、逆転をしていくぞと選手、スタンドの声援がさらに増していく。

 8回表の先頭は、イチロー2世の2番柳本がセンター前で出塁。3番秋山が打った打球は高いバウンドの内野ゴロでランナーは進塁し一死二塁。ここで4番高橋 優斗は外の変化球に手が出ず見逃し三振で、東邦・藤嶋が立ちはだかる。しかし5番山崎がツーストライクに追い込まれながらもしぶとくセンター前に飛ぶ適時打で1点返し、7対2。もっと縮めておきたいところではあったが藤嶋のナックルカーブを織り交ぜた投球に後続が続くことが出来ない。

 迎えた最終回。愛工大名電の攻撃。
意地を見せたい愛工大名電打線であったが、東邦・藤嶋が最終回に141キロの計測を見せ、最終回もピシャリと抑えた。

東邦愛工大名電を7対2で下し、2年ぶり17回目の甲子園出場を決めた。

東邦が190チームの頂点に立ったが、この試合で特に輝いていたのはやはり東邦・エースの藤嶋。140キロ近くのストレートと鋭く曲がるスライダー、変化が読めないナックルカーブ。その球種達がこの試合では光っていた。また、藤嶋だけではなく東邦打線もチャンスできっちり1点を返していく野球が愛知大会優勝を実現させたと感じた。甲子園でも投打の要・藤嶋を中心に愛知代表として暴れてもらいたい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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