Column

高知県立高知海洋高等学校(高知)

2016.06.08


練習風景(県立高知海洋高等学校)

夏はベストメンバーで戦える唯一の大会

 高知県立高知海洋高等学校は、高知県土佐市宇佐町福島にある県立の水産高校です。年間を通じて様々な航海実習が行われ、2年生になると2ヶ月半の遠洋航海実習があり、ハワイ沖でマグロ漁をするのが恒例行事になっています。校庭には野球部専用のグラウンドがあり、放課後は16時から19時半まで、毎日練習に励んでいます。

 シーズンオフはほぼ毎日、下半身強化のために近くの神社の三百数段を走り込むのが名物練習となっており、シーズン中でも雨明けのグラウンド不良の日などはそこでトレーニングをしているそうです。2年生捕手の安部選手は、これまでオーバーフェンスの本塁打が0であったが、今シーズンはすでに2本を放ち、チーム本塁打も秋まで0だったのが、今シーズン4本出ており、練習の成果が出ていると言えます。

 現在の部員数は 3年生3人、2年生6人、1年生4人、全13人で活動。「少ない部員数ですが、みんな仲が良く、毎日頑張って練習に取り組んでいます。」と、主将を務める森澤 登我選手がチームについて紹介してくれました。「例年に比べ、攻撃力があり、長打力もついてきました。1、2年生が多く出るので、これからに期待ができるチームです。」

遠洋航海実習の様子(県立高知海洋高等学校)

 また、チームのキーマンについては、「高橋 太一はチーム1の体重ですが、ベース間を走ると一番速いんです。長打力も一番ですし、冬の航海実習で成長したと思います。山本 涼雅秋の大会は、遠洋航海実習のため、出場できなかったのですが、自分だけが公式戦での勝利を体験していないということで、(そのときはハワイ沖でマグロの操業をしていた)夏は燃えています。投手として復活してほしいと思っています。また、2年生投手で、この冬の練習で成長したエネルギッシュな選手、江湖 輝とチームのムードメーカーである藤岡 雄もうちのキーマンです。」と、夏の大会での活躍を期待していました。

 「秋季大会の公式戦で初勝利を挙げましたが、その後の2回戦、強豪明徳義塾に0対30という記録的大敗を記してしまいました。春の大会では強豪校に対して、2年生投手の江湖が好投していたのに、守備が乱れ台無しにしてしまいました。しかし、複数の投手が、成長してきたのは収穫です。ヒット数は互角だったが、あと一本が出ずに完封されたので、勝負強さが課題です。」と新チームがスタートしてからを振り返る森澤主将。

 最後の夏はどのような夏にしたいか伺うと、「本校は年間通じて、色々な航海実習があるため、ベストメンバーで戦えるのは夏の選手権しかありません。悔いの残らない試合をして、初戦を突破して勝ち上がっていきたいと思います。」と決意を固めました。

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一試合一試合が高校生活最後の試合だと思い戦う

神社の三百数段を走り込む名物練習(県立高知海洋高等学校)

 ここからは高知海洋の副主将高橋 太一選手と3年生の内野手山本 涼雅選手にお話を伺いました。

Q. 高校野球のどんなところに楽しさを感じますか?

高橋 太一(以下「高橋」):雰囲気や状況、一つのミスや間違った判断で勝敗がきまること。接戦での終盤はすごく興奮して、その雰囲気がなんといっても楽しい!
山本 涼雅(以下「山本」):僕は高校野球の熱くなれるところが好きです。

Q. 今年の夏も思いっきり楽しんでください!大会ではどんなところに注目して見てほしいですか?

高橋:僕の走塁です。特に次の塁を狙う姿勢。一塁駆け込みのスビード、盗塁、タッチアップなどに注目して見てください。
山本:夏は是非、登板して勝ち投手になりたいので、僕の登板を見守ってほしいです。

Q.盗塁と投球は特に注目ですね!お二人が引退までに対戦したいと思う高校はどこですか?

高橋:新チームになりたての県選抜大会予選で、接戦の末負けてしまった悔しさがあるので、高知東工とはもう一度対戦したです。今のチームの実力で戦って、リベンジをしたい。
山本:僕は室戸です。自分の地元の高校であり、中学時代のチームメートも多いので、是非対戦して、そして勝ちたいです。

Q. チームメートの成長も楽しみですね。最後の夏は、どんな夏にしたいですか?

高橋:一試合一試合が高校生活最後の試合だと思い戦う。自分たちの力を出し切って、悔いのない試合にしたい!
山本:僕、個人のことで言えば、秋季大会は遠洋航海実習の為出ていません。他の高校生よりひと大会少なく、自分だけが秋季大会の初戦突破を体験していないのですが、後悔はしていません。野球ができなかった2ヶ月半で精神的に成長したところを見せたいと思います!

 高橋 太一選手、山本 涼雅選手ありがとうございました。1日でも長い夏にしてください。

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[page_break:野球ができる幸せを噛み締めて戦え]

野球ができる幸せを噛み締めて戦え

柳本 朋幸監督に質問!

Q. 夏の大会へ向けて燃える、今年の高知海洋チームについて教えてください。

遠洋航海実習の様子(県立高知海洋高等学校)

 生徒も話したと思いますが、本校は年間を通じて航海実習があり、2年時には2ヶ月半の遠洋航海実習があり、ハワイ沖でマグロ漁をします。今年の3年生も、9月から山本、1月から主将の森澤、副主将の高橋が行きました。

 毎年のことなので、戦力ダウンは仕方ないことなのですが、その選手が、いない間は誰かがカバーをして、そして、皆がそろった夏の選手権予選は、さらにパワーアップしたチームになろうということを生徒には言いきかせています。そして、野球ができない期間から復帰したとき、精神的に成長しますので、決して、本校野球部にとってはマイナスのことではありません。「ハワイ沖で野球人として成長してこい!」ということで送り出しています。

 今年も新人戦、秋季春季ともに善戦はしましたが、すべて、投手は違います。実習で抜けた投手を別の投手がカバーしています。夏の本番では、これらの継投も考えており、明らかに戦力は上がっています。あとは精神力です。「野球ができる幸せ」を噛み締め、本番では暴れてもらいたいと思っています。

 他にはできない鍛え方で成長した選手たち、期待が出来ますね。柳本 朋幸監督、ありがとうございました!そして、高知海洋野球部の皆さんありがとうございました!


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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