試合レポート

正則vs都立南葛飾

2016.03.20

正則、9回に3点差をひっくり返す逆転勝利!都立南葛飾・須永郁弥は好投も最後に力尽く

正則vs都立南葛飾 | 高校野球ドットコム

サヨナラの一打を放った片山(正則)

 3月20日、雨で順延となっていた[stadium]岩倉高校西東京運動場[/stadium]での第20ブロック1回戦2試合が行われた。
春分の日らしく日差しは明るい春のものであったが風が強く、打球処理など注意が必要な中での第1試合は、正則都立南葛飾の対戦。

 正則先発・熊谷は、失点こそ免れるものの四球でランナーを背負う苦しい立ち上がりとなる。
一方の都立南葛飾先発・須永 郁弥は1、2回を三者凡退に切って取る好スタート。3回に先頭の7番・高木に内野安打を打たれるも後続を抑える危なげのない投球を見せる。

 そんな須永の好投に応えたい都立南葛飾打線は、4回に奮起する。四球と内野安打で満塁のチャンスを作り出すと、7番・橋川 龍が押し出しの四球を選び先制。
続く8番・中村 陸の打席、正則はここで投手を河野に交代させる。グラウンドの空気が落ち着かない中、カウント2ボール1ストライクからの4球目で三塁ランナーの川村 大輔がスタート。中村はバットに当てスクイズを成功させる。さらに中村がアウトになる間に二塁ランナーの須永もホームへと向かう好走塁を見せ、2ランスクイズ成功。その後も変わった河野にプレッシャーを与えパスボールで1点を追加し、この回4点を奪う。

 その裏、ここまで須永に抑え込まれていた正則だったが先頭の2番・片野が右中間を破る三塁打で出塁。4番・関根のセカンドのグラブを弾く内野安打で1点を返し、望みをつなぐ。

 点を取り返したあとの5回表、ピッチャー河野は都立南葛飾のクリーンナップを三者三振に切って取り、自分自身にもチームにも喝を入れる。試合はその後膠着状態に。


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好投を見せた先発・須永(都立南葛飾)

 正則は7、8回とスコアリングポジションにランナーを送り込むが、都立南葛飾・須永にあと1本を打たせてもらえない。

 そして3点差のまま迎えた最終回、先頭打者が倒れ応援席が静かになりかけた正則だったが、ここから驚異の粘りを見せる。
6番・富山がレフトへのヒットで出塁すると、高木は四球、続く木村はヒットで続き、一死満塁に。さすがに疲労の色が濃くなってきた須永を責め立て、ここでバッターは河野。じっと我慢をし続けた投球同様打席でも冷静にボールを見極め、押し出しの四球を選び、2点差。1番・野村も押し出しの四球を選び、ついに1点差に詰め寄る。
9回裏1点差、一死満塁。しびれるような場面で打席に立ったのは、4回に三塁打を放った2番・片山だった。片山は須永が放った初球を迷うことなくはじき返す。打球はセンターの頭上を越える2点タイムリーとなり、正則が3点差をひっくり返すサヨナラ勝利を収めることとなった。

 試合後、正則の岸本監督は「負け試合でしたね」と苦笑いを浮かべた。
「(都立南葛飾先発)須永投手のレベルが高くてとにかく打てない。終盤になってようやくストレートに合ってきてはいましたが…最後はもう選手たちを信じて、とにかくつなごうねと。そうしたらよく単打で繋げてくれました。気持ちを出してくれましたね」
そう選手を称えながら、明日戦うことになったブロック決勝に向けて「気ひとつひとつ、きっちりやっていこうというだけですね」と緒を締めなおすことも忘れなかった。
同会場で3月21日に行われるブロック決勝の相手は都立立川となった。逆転勝利の勢いをそのままぶつけることが出来るか、注目だ。

(取材・写真=青木 有実子

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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