試合レポート

阪南大高vs履正社

2015.10.11

中河の好投で阪南大高が近畿大会出場決定

エースで4番、キャプテンとしてもチームを引っ張る寺島 成輝(履正社)

 大阪から近畿大会への出場枠は3。選抜出場の可能性を残すためには負けられない一戦で、阪南大高の片岡 定治監督が先発マウンドに送ったのは今大会、主にリリーフを務めていたエースの中河 成(2年)だった。1年秋からベンチ入りするなど能力的には主力であることには間違いない。しかし、簡単に四球を与えるなど粘りのピッチングが出来ないことも多く、お灸をすえる意味でこの夏はベンチメンバーから外された。

「悔しかった」という中河は練習でも率先して動くようになるなど信頼を勝ち取り、新チームでは背番号1。初回に2つの四球でピンチを招くが後続を打ち取り無失点。2回は振り逃げと送りバントで、3回はエラーと送りバントで一死二塁と得点圏にランナーを背負うがここも凌ぐ。

 寝る間を惜しんで履正社のビデオを何度も見たという貝塚 茂夫コーチの「序盤は近いところを攻めて、困った時は遠いとこへ」というアドバイスもあり、5回一死から履正社の9番・若林 健治(2年)にヒットを打たれるまでノーヒットピッチング。捕手の的場 功起(2年)も「いつもより力抜いてしっかり投げられた」と手応えを感じていた。

 しかし8回、唯一のヒットを放っている若林健をショートゴロに打ち取った後に2つの四球を与えてしまう。準決勝大阪商大堺戦では0対0の8回一死から決勝点を奪われ敗れていた。
阪南大高にとって鬼門のイニング、二死一、二塁で打席に迎えるは履正社の4番・寺島 成輝(2年)。寺島は1年時から注目されていた大型左腕で新チームではエースはもちろんのこと4番・キャプテンとしてもチームを引っ張り、貝塚コーチも要注意人物としてマークしていた打者だ。初球から積極的にバットを出すと当たり損ないの打球が捕手と投手の間に転がり、当たりが悪すぎて内野安打に。二死満塁となったが前の回の守備からレフトに入っていた岡田 瑛人(2年)をレフトフライに打ち取りピンチ脱出。


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2015年秋季大会

2安打完封のエース中河 成(阪南大高)

 この日最大のピンチを切り抜けるとその裏、二死二塁から2番・中川 裕生(2年)がレフト前にヒットを放つ。寺島 成輝を相手に連打するのは容易ではないため二走・前田 月弥(2年)は当然本塁突入。レフト・岡田のバックホームは三塁側に少し逸れ、キャッチャー・井町 大生(2年)の懸命のタッチもわずかに届かず。援護を受けた中河は9回も無失点に抑え勝利すると整列時に「嬉しすぎて。サイコーです」と2安打完封に思わず涙。

 履正社の寺島も6回から7回にかけて阪南大高のクリーンアップをストレートで三者連続三振に打ち取るなどさすがのピッチングを披露した場面もあったが本調子とは言いがたい内容で、良くも悪くも荒々しさ、躍動感が感じられなかった。

 寺島対策として140キロ超えのマシンで練習してきた阪南大高打線は6安打を放ち、バントも投手の中河が失敗しただけでそれ以外の3度のバントは1球もファールにすることもなく全て成功。この勝利で阪南大高は18年ぶりに近畿大会出場が決定。
「中河がよく投げてくれた。夢のようですわ」と声を弾ませた片岡監督、今週末からテスト期間となるが嬉しい贅沢な悩みが出来た。偶然にも当時の会場も今年と同じく滋賀県の[stadium]皇子山球場[/stadium]。不思議な縁を感じさせる球場で高名変更後初の甲子園出場を目指す。

(文=小中 翔太


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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