試合レポート

川之江vs小松

2015.08.20

「状況」に惑わされず、崩れないメンタル

121球2失点完投の糸川 亮太(川之江)

「これまではしょうもないミスがなかったが、今日それがあったことはむしろよかった。このミスを練習で自覚しながら秋に臨みたい」

 勝った川之江・友近 拓也監督がこのように試合回顧したように、愛媛小松「2」・川之江「3」が記された失策以上に次の塁や得点を簡単に相手に与えてしまうような判断・プレーミスが双方に見られたこの一戦。

 試合は1対2で迎えた6回裏一死一・二塁から5番・江口 敏生(2年・三塁手・168センチ62キロ・右投右打・伊予三島リトルシニア出身)の中越二塁打、さらに四球を挟み8番・伊勢 泰人(2年・捕手・172センチ63キロ・右投右打・生駒リトルシニア<奈良>出身)の右前打で2点ずつを加えた川之江に凱歌が上がったが、愛媛小松・宇佐美 秀文監督いわく「四国地区でなく他地区のレベルが上がっている」評価をいい意味で覆すことは両チーム共にできなかった。

 その中でも1人「成長」を感じた選手がいる。121球8安打2失点・自責点0で完投勝利を収めた川之江糸川 亮太(2年・169センチ63キロ・右投右打・川之江ボーイズ出身)だ。この夏まではスピードに頼りすぎ制球を乱す場面が多かった糸川だが、この試合ではスピードより制球を重視し、フォーク・スライダー・カーブといった縦方向への変化球を多用。三者凡退は最終回のみながら、与えた四死球1で失点を最小限に食い止めた。

「カッカしてはいけないことがようやく解り始めた段階ですね。まだまだこれからです」

 高校時代は花咲徳栄(埼玉)のエース。そこから社会人野球・ローソン(現在は廃部)に進み、2002年・阪神タイガースドラフト9巡目指名・3年間日本野球の最高峰を経験した左腕投手。昨年4月から川之江の外部コーチに就任した新井 智コーチの評価はまだ辛口だが、この「状況」に惑わされず崩れないメンタルが、甲子園へのベースになることは言うまでもないこと。そして甲子園を見れば、それが勝利への近道になることも明らかだ。

(文=寺下 友徳


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!愛媛県の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉