試合レポート

専大松戸vs木更津総合

2015.07.24

決勝まで完走できる準備は整った専大松戸 木更津総合に完勝!

 準決勝の大一番。選抜出場の木更津総合と春季大会優勝の専大松戸。今年の千葉県を代表する強豪校同士の対決ということもあって、試合前から大勢の観客が詰めかけていた。木更津総合の先発は鈴木健矢(3年)、専大松戸の先発は原嵩(3年)とエース同士の対戦ということもあって、投手戦が予想された。

 しかし2回裏、専大松戸は6番猪爪大地(3年)の2ランで2点を先制する。こういうところで一発が出るのが今年の専大松戸の強さだ。

 4回表、木更津総合は二死二塁から4番檜村篤史(3年)が右前適時打を放ち、1点を返す。檜村は5月のインタビューで、右方向へ打ち返す練習を重ねていると話してくれた。まさに今回の一打はそれが実践された試合であった。

だが専大松戸は6回裏、4番原の二塁打をきっかけに、一死三塁からバッテリーミスで1点を追加する。鈴木はこの回で降板。7回裏から早川隆久(2年)が登板する。大会前の取材で、五島監督は、早川のことをこう評していた。
「2008年のエース・田中優(明大)と比べると、変化球のキレ味では劣るところはありますが、将来性では田中を上回るものを持っていると思います」
早川は開きが小さいフォームから繰り出す常時135キロ~130キロ後半の速球で、三者連続三振を奪う投球を見せた。コントロール、キレともに完璧。来年のドラフト候補として追いかけてみたいと思わせるものがあった。

 今日の専大松戸の原の立ち上がりを見ると、それほど調子が良くないように思えた。球速は常時135キロ~140キロで、変化球もスライダー、カーブがやや抜け気味である。だが、イニングを追うごとに角度の良いストレートが決まり、そしてスライダー、カーブもコントロール良く決まる。

 マウンド上の原の様子を見るとだいぶ落ち着いて投げているように感じる。


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 失点した4回以降、無失点に抑え、そして9回表、一死から檜村に打席が回った。原はこれまで檜村に対し、全力投球をしており、140キロを超えたのは檜村 篤史の時。原は、140キロ、141キロと押していき、最後は143キロのストレートで空振り三振に切っており、二死。ここは本気を出す場面だろうというところで、しっかりとマックスのストレートを投げるのだから素晴らしい。

 最後はライトへ飛球。これをライトの伊藤がスライディングキャッチで試合終了。
 2年連続で決勝進出を決めた。昨年の戦いぶりを振り返ると、決勝までペース配分を意識して戦っている。というのは、エースの原嵩を酷使をせずに投げることができていること。この試合、原は初めて9回完投勝利。それも9回に最速143キロを計測するように、与力が感じられる。去年は投打ともに高いパフォーマンスを示しながらも、何か息切れした感があった専大松戸。満身創痍で、決勝戦をピークに持っていけなかったことが課題として残っていたが、今日の戦いぶりを見て甲子園まで完走できる準備ができているように感じた。また中1日空くのも、専大松戸にとってプラスである。

 習志野との決勝戦を迎えるが、相手を意識せず、いかに自分たちの野球を徹することができるか。習志野に勝ったチームというのはとにかく自滅をしない。冷静な試合運びができる。絶対に諦めない。試合序盤で一気に押し切る。そういう野球ができていた。

 26日の決勝こそ専大松戸ナインの精神力が問われる一戦になるのは間違いない。

 敗れた木更津総合は、選抜出場したチームと比べてメンバーが大きく入れ替わっていた。1、2年生が多く、それでもプレッシャーのかかる夏の舞台で、堂々とした野球ができていた。夏へ向けてのチーム作りはしっかりしていて、その中でレギュラーを獲得した1、2年生たちを中心とした木更津総合は、この秋も、千葉県の先頭に立つチームとして注目されそうだ。

(文=河嶋宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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