Column

夏に適した飲み物を考える

2015.06.30

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 いよいよ夏本番。地方大会が始まっている沖縄を始め、各地区とも組み合わせが決まったり、試合予定が近づいたりということで選手の皆さんも大会に向けての準備に余念がないことと思います。
さて今回は夏に向けてコンディションを整えるために重要となってくる水分補給、中でも何を飲めばいいのかというところに注目して考えてみたいと思います。

暑い日に冷たいものをとるとバテる?

 暑くなるとどうしても冷たいものを飲みたくなりますが、冷たすぎる飲み物は胃腸を冷やしてしまい、消化能力が低下してしまうと言われています。特に運動前や運動中などに氷などの入った飲み物をとると、胃腸への負担が大きくなってしまい、身体が何となく重くて動けないということにもなりかねません。練習や試合前などは冷たい飲み物ではなく、なるべく常温に近いものをとるようにしましょう。

 ただし糖分の入っている飲み物を常温で長い間置いておくと、悪くなってしまうため、あらかじめクーラーボックスなどで保管しておき、必要に応じて飲むようにすると過度に冷えるのを防ぐことができます。

炭酸飲料はうまく活用する

炭酸飲料はうまく活用したい

「炭酸飲料は飲まない」という選手やチームもあることでしょう。炭酸飲料は冷たくてのどごしが良く、おいしいものが多いのでついつい飲んでしまいたくなりますが、糖分がかなり多く含まれており、飲む量やタイミングに注意が必要です。

 炭酸飲料は基本的に冷やして飲むものですが、冷たいと甘さを感じにくくなる傾向があり、糖分が多く含まれていても分からないことがあります。糖分補給として運動前などにある程度飲むことはさほど問題にはなりませんが、飲みすぎると糖分過多になってしまうこと、またお腹がふくれる膨満感などがプレーに影響しないよう気をつけましょう。

 炭酸飲料は少量であれば胃腸を刺激し、食欲を増進させる効果があります(大量に飲むと炭酸の影響でお腹が張って食べられなくなる)。夏ばて気味でなかなか食べる量が増えないと感じる選手は、コップ一杯程度の炭酸飲料(できれば糖分を含まない炭酸水がベスト)を飲み、その後食事をとるように工夫してみましょう。また試合後、食事の時間に影響しない範囲であれば炭酸飲料を飲む機会があってもよいと思います。一日がんばったごほうびですね。

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第97回全国高等学校野球選手権大会

僕らの熱い夏 2015
[page_break:カフェインを含まない飲み物 / スポーツドリンクは薄めて飲みたい]

カフェインを含まない飲み物

 練習中にチームで準備する飲み物がお茶というところは少なくありません。しかしお茶にはカフェイン(植物の葉、幹、種などに含まれる植物由来の天然成分)を含む種類のものがあります。カフェインには利尿作用、覚醒作用、リラックス効果などがあるといわれており、カフェインを含む飲み物を大量に飲んでしまうと、トイレが近くなってしまうということが起こります。眠気覚ましとしてコーヒーを飲むことで目が覚めたり、紅茶を飲んでホッと一息ついたりするのはこのカフェインの作用によるものなのです。

 カフェインを含む飲み物として代表的なものは緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒーなど。逆にカフェインを含まない飲み物としては麦茶、ほうじ茶、ミネラルウォーター、スポーツドリンクなどが挙げられます。水分補給ということを考えて飲み物をとるのであれば、なるべくカフェインの入ってないものを選ぶようにしましょう。

スポーツドリンクは薄めて飲みたい

チームで水分補給の重要性を考えてみよう

 スポーツドリンクは文字通りスポーツ時に適した水分補給用の飲み物です。熱中症対策として、水分補給はもちろんミネラル分を含む塩分も補給しなければなりませんが、水分と塩分をわけて準備するのは手間がかかりますよね。スポーツドリンクはこれを一度にとることを可能にした便利な飲み物、ということになります。また糖分が含まれており、練習や試合前などには糖質の補給としても役立ちます。

 ただし飲みすぎると糖分過多になってしまうのは炭酸飲料と同じです。炭酸飲料ほど多くの糖分が含まれるわけではありませんが、飲みやすさを優先させると糖分を多くとり過ぎてしまうことになります。体内への吸収がすみやかに行われる糖分濃度は2~3%程度のものといわれていますが、一般的なスポーツドリンクは糖分濃度5~6%程度のものが多いため、スポーツドリンクを水で2~3倍に薄めたものがオススメです。粉末タイプのものを準備して多めの水で作るようにすると手軽にできますよね。

 一口に水分補給といっても何を飲めばいいのかと迷うことも多いと思います。身体のコンディションや場面場面に応じて、自分に合った飲み物を選んで飲むようにしてみてくださいね。

【夏に適した飲み物を考える】
・冷たすぎる飲み物は胃腸に負担がかかるため、ぬるめのものがよい
・炭酸飲料は多くの糖質を含むため飲みすぎには気をつけよう
・カフェインの利尿作用を考慮し、水分補給ではなるべくカフェインレスのものを選ぶ
・麦茶、ほうじ茶、水、スポーツドリンクはカフェインを含まない
・スポーツドリンクは身体へのすみやかな吸収を考えると水で2~3倍に薄める

(文=西村 典子

次回コラム公開は7月1日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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