試合レポート

下妻二vs古河三

2015.04.19

下妻二が11得点、7回コールドで県大会出場決定!1年生右腕・齋藤も公式戦デビュー

打者としても非凡さをみせた川辺将範(古河三)

 県西地区代表決定戦第3試合は、昨秋県大会に出場した古河三と、昨秋は地区予選代表決定戦で水海道一に敗れた下妻二というカード。
下妻二側の内野芝生席には多数の新入部員が確認できた。コーチによると、1年生は36人も入部し部員が倍増したという。シートノックの間、約50名のベンチ外部員による「さあ行きましょう」のかけ声と太鼓と笛の音が響き渡り、球場は一気に賑やかになった。

 先攻・古河三の先発は、2年生からエースを務める背番号1の大型左腕・川邊将範(3年、古河一中、184cm・81kg)だ。右足を上げた後センター方向へ捻転させるトルネード投法で、最速は目測で130キロといったところだ。
後攻・下妻二の先発は、背番号1の右腕・古谷祥汰(3年、石下中)が任された。ブルペンを見ると、古谷の球速帯は130キロから135キロといったところか。ステップ幅は狭く、小気味よく飛び跳ねるように投じる。

 1回裏、下妻二は先頭の1番・江崎真治(3年、千代川中)が右中間二塁打で出塁すると、送って一死三塁。続く3番・塚越純也(3年、千代川中)の三塁線を破るタイムリー二塁打で1点を先制する。さらに、4番・中川光輝(3年、大穂中)のレフト前ヒットで一死一、三塁とすると、5番・加園叶(3年、千代川中)のレフト前ヒットで1点を追加する。
古河三0-2下妻二

 先制を許した古河三は2回表、反撃に出る。4番・川邊がセンター前ヒットで出塁すると、5番・水上紘輔(3年、古河二中)もライト前ヒットで続き、無死一、二塁。続く6番・山田を迎えたときに、下妻二・古谷のセカンド牽制がボークとなり無死二、三塁とチャンスが広がる。山田は三振に倒れるが、一死二、三塁から7番・田村のセカンドゴロの間に三走・川辺が生還し1点を返す。
古河三1-2下妻二

 2回裏、下妻二は先頭の8番・古谷がライト前ヒットで出塁し、犠打と四球で無死一、二塁。ここで2番・宮山大樹(2年、桃山中、県西選抜)がセンター越え2点適時二塁打を放ち、3点差に広げる。
古河三1-4下妻二

 3回裏、下妻二は先頭の5番・加園がレフト前ヒットで出塁すると、2つの犠打で二死三塁とし、8番・古谷のレフト前タイムリーで1点を追加する。
古河三1-5下妻二

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下妻二先発・古谷祥汰

 4回表、古河三は先頭の3番・黒須亮(2年、古河三中)がショート内野安打で出塁すると、一死一塁として、5番・水上は左中間二塁打を放つ。ショートからの返球が逸れてバックネットまで到達したため、一走・黒須は一気に生還し1点を返す。打者走者・水上は三塁まで到達し一死三塁。続く6番・山田のレフト前ヒットでさらに1点を返す。山田は盗塁して一死二塁とチャンスを広げるが、後続は三振とショートゴロに倒れる。
古河三3-5下妻二

 2点差に迫られた下妻二は4回裏、先頭の1番・江崎が死球で出塁すると、犠打と四球で一死一、二塁とする。迎える4番・中川はセンター前ヒットで1点を追加。外野手からの返球が大きく逸れ、一走・塚越も生還し、打者走者の中川は三塁へ到達。一死三塁から、5番・加園は初球でスクイズを決めさらに1点を追加。この回3点を奪う。
古河三3-8下妻二

 5回表、下妻二は2番手に右腕・鈴木亮平(2年、守谷中)をマウンドへ送り、鈴木は古河三打線を3人で切って取る。

 5回裏、古河三は2番手に左腕・須藤佑介(2年、三和中)をマウンドへ送る。下妻二は先頭の7番・沼尻隼帝(2年、石下西、県西選抜)がショート内野安打で出塁すると、死球、犠打、死球、三振で二死満塁。ここで3番・塚越のライト前ヒットをライトが後逸して3点を追加する。
古河三3-11下妻二

 6回表、下妻二は3番手に背番号11の右腕・広瀬稜(3年、桃山中)がマウンドへ。広瀬は三者凡退に抑える。

 6回裏、下妻二は二死から7番・沼尻がセカンド内野安打で出塁し二盗。さらに自慢の足をアピールするかのごとく三盗を試みるが、ここは古河三の捕手・黒須に刺される。

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公式戦デビューとなった齋藤雄基(下妻二)

 7回表、下妻二は4番手に背番号20の右腕・齋藤雄基(1年、桃山中、オール茨城)をマウンドへ送る。1年生ながら春の地区予選で公式戦デビューを飾った齋藤は、堂々たるピッチングで古河三打線を三者凡退に抑え、7回コールドゲームが成立。下妻二が11対3で古河三を下し、県大会出場を決めた。

 下妻二は1回から5回まで、全ての先頭打者が出塁しホームを踏んだ。
古河三は、2回と4回に連打で得点したが、それ以外の5イニングは3人で終わり、攻撃の糸口がつかめなかった。

 11点を失いはしたが、古河三のエース・川邊将範は、コントロールの精度はそれほど高くはないようだが、恵まれた体格から馬力のある球を放る。長身の角度を最大限に生かすためにも、低めに集める投球を心がけて欲しい。また、打者としても非凡な対応力を持っておりパワーも魅力だ。ただ1人複数安打(うち二塁打1本)を放った5番・水上紘輔も、思い切りの良いスイングをしていた。

 昨秋、水海道一に1対5と打てずに敗北した下妻二打線は、毎回の12安打と冬場の取り組みが結実。昨春、昨夏とエースだった中川光輝は怪我もあり、4番打者として野手に専念。高校通算本塁打が20本を超える中川が打撃に集中することで、打線の厚みが増した。また、7番遊撃手の沼尻隼帝は俊足を生かして内野安打2本と渋い活躍を見せた。相手チームとしては、二死からスコアリングポジションにランナーを置いて沼尻を迎えたくない。

 投手陣に目をやると、右腕4投手の継投。3失点を喫した背番号1の古谷祥汰は落ちる球が確認できた。2番手の鈴木亮平、3番手の広瀬稜は、ときおり吠えながら力投し打者を圧倒した。4番手に登場した齋藤雄基は、オール茨城2014組として公式戦出場第1号となった。3人を5球で仕留め、ストライク先行で見事に起用に応える投球を披露。球威も前の3投手に引けをとらず、将来が非常に楽しみな投手であった。

(文=伊達 康

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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