試合レポート

大島vs国分中央

2015.04.01

守備から攻撃のリズム「理想通りの展開」・大島

今大会初先発となった渡 秀太(大島)

 序盤は鹿児島大島・渡秀太(2年)、国分中央前田準(3年)、両先発の好投で両者無得点。鹿児島大島は4回、2失策も絡んで二死一三塁とし、5番・泉成海(3年)のセーフティーバントが内野安打になって先制。5回は2番・中田優(3年)のライトオーバー三塁打で2点を加えた。

 国分中央は6回、犠牲フライで1点を返すも勢いづいた鹿児島大島が止まらない。7回に打者一巡で7安打を集中し、一気にコールド勝ちを決めた。
4試合連続無失策の堅い守備で流れを呼び込み、攻撃のリズムを作る。今年の鹿児島大島が掲げる「理想通りの展開」(渡邉恵尋監督)で難敵・国分中央を寄り切った。

 攻守がガッチリとかみ合い、チームカラーが随所に発揮された。今大会初先発の2年生左腕・渡が好投し、先に守りが乱れることなく、序盤を乗り切った。一巡目はパーフェクトに抑えられた打線が4回、相手のミスを皮切りに目を覚ます。

 2つのエラーが絡んで一三塁。二死だったが、渡邉監督は5番・泉にセーフティーバントのサインを送る。朝方まで降った雨の影響でグラウンドがぬかるんでおり「(サインは)予想していた。きっちり一塁側に転がせば、足には自信があった」と泉。初球を狙い通り一塁側に転がし、50メートル6秒フラットの俊足で内野安打を稼ぎ、先制点を呼び込んだ。

 5回も足を使って好機を作り、2番・中田の長打で2点を追加。完全に勢いづいた7回は5連打を含む7安打を集中し、今大会4試合目で初のコールド勝ちだった。

センバツで決勝に進んだ東海大四と試合をしたことが、自信になっている」と渡邉監督。
大会前、奄美合宿に来ていた東海大四と練習試合をした。0―3で敗れたが、自分たちの堅守が甲子園出場校にも通じる自信をつけた。

 鹿児島に滞在中、空いた時間で東海大四の試合をテレビで応援しながら、「自分たちに足りないもの」を学ぼうとした選手もいた。「交代で出た外野手がいきなりファインプレーした。控えの選手でも守備に集中していることが勉強になった」と中田は言う。
[stadium]甲子園[/stadium]と鹿児島、場所は離れているが「東海大四よりも長く勝ち残ろう」がチームの合言葉になった。

 春に22年ぶりの4強入りした一昨年のチーム、センバツ出場を果たした前チームはどちらも強打が持ち味だった。今チームは真逆の堅守が身上。その野球で先輩たちと肩を並べる4強にたどり着いたが、「目標は先輩を越えること」(白井翔吾主将・3年)とナインに慢心はない。勝利の喜びに浮かれることなく、先輩たちの誰もが果たしていない「決勝進出」へと、照準を切り替えていた。

(文=政 純一郎

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得