都立雪谷vs都立府中東

先発し好投を見せた森本歩(都立雪谷)

　4月4日、[stadium]明治神宮第二球場[/stadium]で平成27年春季東京都大会2回戦2試合が行われた。降っていた雨はやんだものの、肌寒い空気の中第一試合に登場したのは、都立雪谷と都立府中東。シードの都立雪谷は、この試合が春の初陣。対する都立府中東は一次予選を大差で勝ち上がり、1回戦でも都立光丘を相手に9対0と完封で7回コールド勝ちを収めている攻撃力のあるチームだ。

　都立雪谷の先発・森本歩は上々の立ち上がり。初回を2つの三振と内野ゴロで三者凡退に打ち取り、チームにリズムを作り出す。
するとその裏、都立雪谷は都立府中東先発・沢田悠樹の立ち上がりを攻め、ヒットと四球で二死満塁のチャンスを作り出す。ここで6番・登坂侑生が放ったのは、レフトの頭上を越える走者一掃となるタイムリー二塁打。さらに7番・亀井晃成もヒットで続き、外野がもたつく間に登坂が生還。都立雪谷が4点を先制し、チームの底力を見せつける。

　都立府中東も2回裏の都立雪谷の攻撃を3人で終わらせると、3回表にチャンスを作り出す。二死ながら1番の勝又穂孝がヒットで出塁。続く2番・山田一登の当たりはふわりと上がり、必死で追うセンターのグラブの手前に落ちるヒットとなり二死一、三塁。一塁走者が盗塁。捕手・神子堅吾が矢のような送球を見せた所で三塁走者がスタート、本塁を狙う。だが都立雪谷内野陣は落ち着いていた。すかさず二塁からボールが返り、本塁タッチアウト。都立雪谷がディレードスチールを阻止し、ピンチを脱した。
「都立府中東は、色々と仕掛けることが出来るチーム。それを、動いても簡単には通用しないぞ、と思わせられたのが大きかった。」
と試合後に相原健志監督が語ったように、ターニングポイントとでも言うべき大きなプレーだった。

仕掛けていきたい都立府中東だったが…

　都立雪谷は直後の3回裏、同じく二死一、三塁からお返しにとディレードスチールを決め、追加点を奪う。これで都立府中東守備陣の声が止まった。
都立雪谷はこの3回、7番・亀井晃成のタイムリーで1点を追加。4回には3番・畠山仁吾、4番・神子、5番・樋口勝也のタイムリー3連打などで5点を追加し、試合の行方を決定づける。

　11対0で迎えた5回表。このままだとコールドゲームが成立する状況で、都立府中東はコールドを阻止しようと攻撃を繰り出す。
8番・三浦達則が四球を選び出塁。続く打者は倒れるものの、代打・間中祥太もヒットで続き一死一、三塁とする。続く2番・山田が放ったのは、レフトへのフライ。三塁走者は当然タッチアップ。犠牲フライかと思われたが、都立雪谷レフト・亀井からのストライクの返球で本塁タッチアウト。都立雪谷が都立府中東を封じ込め、11対0で勝利した。

　トーナメントの初戦をコールド勝利という「良い形」で切り抜けた都立雪谷。
相原監督は
「一次予選から勝ち上がってきた勢いのあるチーム。難しい試合になると思っていたが、緊張感がある中で勝てたのは大きい。この試合は森本の立ち上がりが良かった。秋季大会の二松学舎大附戦では1アウトも取れないで終わったんだけど、成長が見られましたね。」
と、勝利にホッとした様子を見せるとともに、悔しさをバネに練習を積んできた森本の好投に目を細めた。

　次の相手は聖パウロ学園。4月6日、同じく[stadium]明治神宮第二球場[/stadium]での試合となる。
「今年も仕掛けられるときには仕掛けていく。『動く』という事は一人ではできない。チームプレーになってくるから、難しい部分もある。でもそうやって人数をかけていくと、点の取り方って色々あるんです。そうなってくると、見ていてももちろん、やっていても野球がますます野球が楽しくなってくる。そうして勝っていけたらいいですね。」
そう、相原監督が楽しそうに語る。都立雪谷の野球が、今年も動き出した。

（取材・文＝青木有実子）