試合レポート

大島北vs鹿児島中央

2015.03.25

9人チーム、執念でつかんだ勝利・大島北

榮浩平(大島北)

 大島北17、鹿児島中央19、両チーム合わせて36安打の打ち合いを大島北が制した。

 序盤は大島北が主導権を握っていたが、中盤以降は鹿児島中央が追い上げる。6回に下位打線の連打で1点差に詰め寄り、7回に6番・内村飛雄馬(3年)のセンター前タイムリーで同点に追いつく。

 大島北は、同点に追いつかれた8回表、二死一塁から3番・榮浩平(3年)のセンター前タイムリー、4番・且零士(3年)のセンターオーバー三塁打、5番・萩原慎平(2年)のセンター前タイムリーで4点を勝ち越した。

 その裏、鹿児島中央は4番・井上蓮太郎(2年)、5番・吉森翔平(3年)の連続タイムリーで再び同点に追いついた。9回表、2番・河野和広主将(3年)、3番・榮のタイムリーなどで再び3点を勝ち越した。その裏、1点差まで詰め寄られるも、エース榮を中心に粘り強く守り、逃げ切った。

「9人の子供たちの執念を感じました」。
大島北・山下将貴監督は思わず目頭を熱くさせていた。2度もリードを追いつかれる苦しい試合だったが、9人一丸の執念が勝利を手繰り寄せた。

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

 打ち勝つ。それがこのチームの持ち味だ。選手9人のギリギリだが、1年夏から公式戦を経験しており、1年秋には樟南から3点を奪った実績もある(試合レポート)。
「先手を取って流れに乗る」(山下監督)の狙い通り、序盤で5点を奪い、主導権を握った。

 だが鹿児島中央がジリジリと盛り返す。5回以降はエース榮がつかまり、打ち込まれた。攻撃でもバントミスや走塁ミスがあり、打線がかみ合わない。いつ気持ちが切れて、ワンサイドの展開になってもおかしくない流れだった。
それでも彼らの中にはいつも以上に負けられない執念があった。

「監督と1試合でも長く野球がしたい」(榮)。

 山下監督は転勤で県外に出るため、ベンチで指揮できるのは今大会が最後。
河野主将は「いつも以上にみんなが熱い気持ちで試合に臨んでいた」と言う。ミスが出れば気持ちが沈んで、下を向いてしまっていたナインが、互いのミスを厳しく指摘し合い、最後まで集中力を切らなかった。

 中盤以降、どこに投げても打ち込まれ、さすがに気持ちが萎えかけた榮は「味方が打ってくれたことが奮い立たせてくれた」。
2回はランニング本塁打、9回は勝ち越しタイムリー、5安打4打点で打線をけん引した河野主将は「自分が決めると責任を持って打席に立った。マウンドの榮は替わりがいなくて、何倍も大変。絶対に打線でサポートしたかった」。

 9人全員がミスはあっても互いにカバーし合い、一丸となって戦う姿勢を2時間23分、貫き通した。
彼らを指導し始めた頃、山下監督は「9人しかいない」とマイナスのことばかりを考えていた。だが今「こんなにも熱い気持ちのある選手が9人もいる」と頼もしく思えるようになったと、誇らしげに語っていた。

(文=政 純一郎

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・近畿地区】近畿一番乗りの抽選は17日の大阪、4府県が7月6日に開幕

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・北信越地区】新潟で21日に抽選会、7月5日の富山で組み合わせが出揃う

2024.06.07

明日夏の組み合わせ抽選! 今年の神奈川は「投手王国県」だ!東海大相模の198センチ左腕を筆頭に、ノーシードにも140キロ超え投手が続出【神奈川注目投手リスト】

2024.06.07

【夏の甲子園地方大会抽選日&開幕日一覧・東北地区】24日に宮城、秋田の抽選!7月6日の宮城が東北一番乗りで開幕

2024.06.07

大学日本代表候補42名が発表! 金丸(関大)・中村(愛知工大)・西川(青学大)のフル代表トリオや164キロ右腕らが選出! 今季不調の宗山(明大)は選出されず

2024.06.04

神村、鹿実の壁を破れ! 国分中央は「全力疾走・最大発声・真剣勝負」で鹿児島の頂点を狙う

2024.06.02

福岡に逸材現る! ケガから復帰後即144キロ! 沖学園2年生エース・川畑秀輔に注目だ!

2024.06.02

【鹿児島NHK選抜大会】神村学園が期待の2年生エース・早瀬の完投勝利で決勝進出!

2024.06.06

大阪桐蔭が選抜ベスト8の阿南光ら4チームと対戦!<招待試合>

2024.06.05

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在36地区が決定、徳島の第1シードは阿南光!第2シードに池田!<6月5日>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得