Interview

東北楽天ゴールデンイーグルス 嶋 基宏選手「正捕手を守り抜くために意識していること」

2015.03.05

 一昨年の日本一が記憶に新しい、東北楽天ゴールデンイーグルス。チームの正捕手として、投手をリードし、チームを牽引する嶋 基宏選手。正捕手となれば、1シーズンに100試合以上もマスクを被らなければならない。1シーズン守り抜くためには、体力、技術、気力のすべてが伴わないと定着できない過酷なポジションである。

 今回、嶋選手に、球界を代表する捕手に成長するまでの過程とともに、オフシーズンのコンディショニングに関して、一流選手の体調管理や食事面で気を付けていることまで、たっぷりと伺った。

2010年に正捕手を獲得した背景

嶋 基宏選手
(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 国學院大からプロ入りし、1年目から当時の野村 克也監督に見出され、125試合に出場。しかし2年目(08年)は85試合、3年目(09年)は106試合と完全な正捕手として定着には至らなかった。そんな中、一緒に自主トレーニングをした先輩捕手から「そんな細い体じゃダメだぞ」と言われ、ウエイトトレーニングを本格的に取り入れることに。

 また打撃面では、当時のマーティ・ブラウン監督や打撃コーチのアドバイスも大きく、バッティングの幅が広がった時期でもあった。その中で学んだのが、とにかく考えて打つことだ。

「練習から、今こういうフォームで打ったからこういう打球が飛んだんだとか、そういうことを一球ずつ考えて打つこと。練習の時は、常にそう考えています。試合でも、こういう時は塁に出る、こういう時はランナーを帰す、というように考えることですね。練習量と質の両立が大切だと思います」

 そういった取り組みが少しずつ実を結び、2010年に初めて規定打席到達に達し、打率3割(.315)を達成。またゴールデングラブ賞も獲得し、攻守ともに充実したシーズンを送った。

 打撃面の成長が正捕手定着の要因にもなったが、ここで嶋選手の守備にも触れていこう。
嶋選手の最大の特長である素早い二塁送球だ。素早いスローイングのために意識することとはなにか。

「足の運びですね。とくに右足のステップです。内野手もそうですけど、右足が浮いていたらステップができないので、いかに右足を投げたい方向にすばやくステップさせるか。それは、キャッチボールのときから意識して習慣化しています」

 次にショートバウンドについてはボールを最後まで見ることが大切だ。

「僕は元々キャッチャーじゃないので上手ではないです。しかし、気をつけることとして、1番は、しっかりと最後までボールを見ることですね。ワンバンするとこまでボールをしっかり見ることが大切だと思います」

 また嶋選手は今季から主将に就任。チームを引っ張る立場である。そこで一番意識することとは?

「声ですね。やっぱり色々な指示を出さなければいけないので、声に力がないとダメです。試合中もやはり、声が大事です。自分は背中で引っ張るタイプではないので、しっかり声を出すことを意識しています」

 今年はチーム全体を見渡して引っ張っていくつもりだ。

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[page_break:1年間正捕手を守り抜くために体調管理で意識していること]

1年間正捕手を守り抜くために体調管理で意識していること

 さらに、全試合出場するために体調管理にも気を配った。当たり前のことだが、食事管理として1日3食きちんと食べることを徹底している。

「どんなに忙しい時でも朝ご飯はしっかり食べる。とくに朝は、満腹までは行かない程度に、しっかり炭水化物を食べています。そして、昼はそんなにお腹に溜まらないものを食べています。また絶対、一日の食事のうち、最低でも一食は野菜をしっかり摂るようにしています」

 試合の合間に補給する飲み物にもこだわりを持っている。

「昔は水分補給に水を飲んでいたのですが、今は考えて水分、ミネラル、糖分をきちんと摂れるドリンクを飲んでいます。それをここ一年くらい選んで飲むようにしていますね。プレーの質を高く保つためにも必要な選択です」

嶋 基宏選手
(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 とはいえ、シーズンは144試合。疲労はどうしても溜まってしまう。夏場、とくに蒸し暑い球場で試合をすると、体重が3、4キロ落ちることもあった。

「そのため、疲労回復には、十分睡眠時間をとることにも気を遣っています。睡眠時間は8時間くらいですかね」
食事と睡眠のバランスをしっかりと保ち、正捕手として1年間守り通すことができたのだ。

 またシーズン中とオフ中は、気をつけることが違う。今、体づくりに関して気をつけていることは何か。

「今(取材当時)はキャンプで、運動量が多いので、食事に加えてプロテインを飲むなどして、痩せないように気を遣っています。すぐに痩せてしまう体質なので。筋肉を落としたくないので、吸収の速いホエイプロテインが入っているものを飲んでます。また、タンパク質の含有量の多いものがいいですね。ザバスのホエイプロテインGPが気に入っています。せっかくトレーニングをして体を鍛えているので、それを修復する意味でもプロテインは欠かせませんね」

 では、嶋選手は、どういうタイミングで飲んでいるのだろうか。

「一日一回。キャンプ中は練習後、試合の時は試合後ですね。僕の場合、プロテインで満腹になってしまうので、一日一回と決めています。僕は食事も大切にしたいので、食事で補えない栄養をプロテインで摂るというような形です。」

 あくまでプロテインは補助。やはりベースとなる「食べること」を大事にしているのだ。

「僕は体作りにおいて食事は、バランス良くとっていれば大丈夫だと考えています。偏食をしすぎるのはダメですね。若いうちは若さで体が動きますが、将来に亘って野球を続けたいのであれば、高校生の頃から長い目でみて食事をしっかりと考えていくのが良いと思います」

 そう話してくれた嶋選手。最後に、10代プレーヤーたちに素敵なメッセージを頂いた。

「野球をやっている中で、大小にかかわらず色々な後悔が必ずあると思います。あのとき、食事に気をつけていればよかったとか、そういう小さいことでも。ですので、何か取り組んでみようと思ったことは、しっかりすべて取り組む。思ったことを行動に移すことが大切です。後悔のないようにしてもらいたいです」

 嶋選手、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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