オリックス・バファローズ 安達 了一選手【前編】 「『つなぎ役』の流儀」
今季は重量打線を持ち味とするオリックス・バファローズ。その中で「2番・遊撃手」として渋いつなぎ役を果たしているのが、社会人の名門・東芝から入団4年目の安達 了一選手である。
そんな安達選手が悲願のリーグ優勝のために、自分の果たすべき役割をどのように考えているのか?つなぎ役の「流儀」が今、語られる。
プロ入り後の守備変化と「グラブを握らない」意識を
――実は安達選手が社会人・東芝時代に守備をしていた姿も見させて頂いたこともあるのですが、久しぶりに守備を見せて頂いて、オリックス・バファローズに入ってから様々なことを考え、変えてきたことを改めて感じました。そこでお聞きしたいのですが、安達選手はプロに入ってからどのように守備を考え、変えてきたのでしょうか?
安達 了一選手(オリックス・バファローズ)
安達 そうですね……。入団してすぐは(当時コーチだった)森脇監督、その後は(内野守備走塁コーチの)真喜志(康永)さんに朝から晩までボールを転がして頂いたり、ノックを打って頂いたり。そうやって数をこなす中で同じことを繰り返しアドバイスされ、その意味がだいぶ解るようになったので、モノになってきたと思います。
――捕球の仕方や投げ方も変化しました。特に捕球から送球までの時間が大きく短縮されていますが、そこにはどのようなアドバイスがあったのですか?
安達 とにかく「捕らないことには投げられない」ので、「捕ってから」は意識しています。
――と言いつつも、捕球から送球への持ち替えなどの短さは社会人時代と明らかに違います。
安達 自分ではそんなに意識したことはないのですが……。とにかく「捕ってから投げる」ですね。
――逆に「捕る」ことに気を遣うことによって、送球の安定性にもつながっている。
安達 それが一番だと思います。
――その捕球を支えるグラブについてですが、自分で気を遣っている部分はどこでしょうか?
安達 捕球の時に面を見せる。それだけを意識しています。
――グラブの大きさも平均サイズですか?
安達 それでも今年、少し大きくしたんですよ。
――大きくした理由は?
安達 自分でもこれまでが小さすぎる感じを受けていたので大きくしたんです。今はこれでちょうどいい大きさになった感じがありますね。
[page_break:「飛ばないイメージで」ステップする]「飛ばないイメージで」ステップする
安達 了一選手(オリックス・バファローズ)
――遊撃手としてはそのグラブで捕球する際「どこに入れる」意識ですか?
安達 芯に入りますが僕の場合、基本的にグラブは握らないんです。グラブを開いたまま最後だけ握る感じ。シングルハンド捕球の際は握りますけど、待って捕球する時などは「握る」イメージはないです。
――その「グラブを握らない」イメージになったのはいつごろからですか?
安達 オリックス・バファローズに入ってからですね。社会人でもその意識はしていたのですが、あまり実際にはできず、先ほど言った数をこなす中でだいぶ判るようになった感じです。
――送球時の安定性について気を付けていることがあれば、教えてください。
安達 「捕ってから」なのはもちろん、僕は送球で大事なのはステップだと思っているので、そこを意識して相手にめがけて投げるようにしています。
――オリックス・バファローズでステップワークについて学んだことはありますか?
安達 僕は送球の時に飛んで、ステップしてしまう癖があるので、そこを飛ばないイメージでステップすることを学びました。
――その「ステップ」を取るのに重要となるスパイクについてですが……。
安達 スウェット(生地)には気を遣ってもらっています。自分の足は横が広いので、普通の革だと小指とかが痛くなってしまうんです。内野手は動きも多いですし、そうすると脚にもよくないので。しかも軽いんですよ。
「グラブを開いたまま最後だけ握る」「飛ばないイメージでステップする」プロの修羅場を経験した安達選手ならではの、奥深い言葉の数々。後編では走塁面や高校球児の誰もがぶち当たる悩み「バスター&ラン」の極意についても明かしてもらいます。
(インタビュー・寺下 友徳)