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【平成26年度指導者講習会】智弁和歌山・高嶋仁監督が指導者としての在り方を熱弁!

2014.12.07

【平成26年度指導者講習会】智弁和歌山・高嶋仁監督が指導者としての在り方を熱弁! | 高校野球ドットコム

 ▲東京都の指導者へ熱く語る高嶋仁氏

智弁和歌山・高嶋仁監督が指導者としての在り方を熱弁!

 12月6日、東京都高校野球連盟は海城高校講堂にて指導者研修会を開催した。今年は智弁和歌山の高嶋仁監督を招き、講演が行われた。東京都の指導者を中心に450人ほどが集まった今回の講演会。

 高嶋監督は、これまで東京都と対戦した思い出を話した。智弁学園、智弁和歌山時代を通じて東京勢と7回対戦している。通算6勝1敗。その試合でのエピソードを話した。その中でも最もやりにくかかったのが、1999年の都立城東だという。

「1999年の都立城東とやったときは、本当にやりにくかった。甲子園の観客はみんな都立城東を応援している。都立城東の選手がヒットを打てば、大歓声。智弁和歌山の選手が打っても、全く反応しない。5対2で勝ちましたが、甲子園の観客を敵に回したらこれほど怖いモノなのかと感じた試合でしたね」

 

 高嶋監督は指導者になるきっかけと指導者として大事な事を話した。

 指導者になるきっかけは高校時代(長崎海星)のこと。2年生の夏に初めて甲子園に出場した時の感動をきっかけに、指導者になることを決めた。智弁学園にはコーチとして赴任した。当時の奈良県は天理、奈良郡山、御所実が甲子園出場を競っていた時代。そこに勝つためには倍の練習をしなければならないと思った高嶋監督は相当厳しい練習を課したという。

 智弁学園に赴任して、3年目に監督に就任したが、ある日、選手たちが練習をボイコットしたという。この時に、高嶋監督は地元に戻るつもりだったが、部長に止められ、選手たちと話し合った。高嶋監督は「選手時代に甲子園に行った感動をお前たちに伝えたい。だから厳しい練習をしているんやといったら、キャプテンの子が『監督の言いたいことは分かった。明日からついていく』といってくれたんです。この時、感じたのは厳しい練習をしても、指導者の一方通行じゃいけないんだなと。ここから厳しい練習をしながらも、選手と心を交わすことを意識しました」
その3年目の秋に近畿大会に出場し、1勝を挙げ、1976年春に選抜初出場を果たした。そして選抜での開会式で選手が入場行進する姿を見て号泣した高嶋監督。再びこの感動を得るために、猛練習を積み、智弁学園時代は夏1回、春2回の出場を果たし、1980年に智弁和歌山に赴任する。


【平成26年度指導者講習会】智弁和歌山・高嶋仁監督が指導者としての在り方を熱弁! | 高校野球ドットコム

 ▲高嶋仁氏

  当時の智弁和歌山はまるで同好会のようなチームだった。いきなり厳しい練習を課せば、次の日、誰もグラウンドに来ない状態。そんなスタートからだった。甲子園を目指すためには、自分たちが何を足りないのかを感じて、自ら本気で練習が出来るチームになること。そのために高嶋監督は強いチームと練習を組んだが、和歌山県はどこも相手をしなかった。そのため他県の強豪と練習試合を行った。0対30、0対20と大敗が続いた。その間、選手は悔し涙を続けながらプレーをしていた。高嶋監督はこれで伸びると感じた。

「指導者が選手に指導するときに大事なのが『悔しさ』を感じられるか。彼らはこう思ったはずです。同じ高校生なのに、なんでこんなに差があるのか、なんでこんなに速いボールが投げられ、こんなに打球を飛ばすことができるのかと感じたはずです。そこから私が言わなくても、前向きに練習に取り組むようになりましたね」

 こうして練習試合も徐々に得点差が縮まっていき、少しずつ力を付けていった。そしてある夏の大会の初戦で優勝候補に挙げられた学校を5対2で破り、この勝利をきっかけに智弁和歌山は強豪校に育つ。智弁和歌山、智弁学園の指導者としての経験を通じて、高校球児を指導する大切なことは、自ら練習を取り組む選手になるのか。

「高校球児で、上手い、下手はあまり関係なく、いかにやるか、やらないかだと思います。エリート選手が集まる学校はほんの一握り。そんなチームに勝つにはやはり相手チームを上回る練習が大切なんです。また日本一のチーム、投手を想定して練習をすること。僕がいつも打撃練習で、160キロに設定するのもそういう意味がありますし、松井裕樹桐光学園)君がいた時は、左投手のスライダーを140キロに設定していましたよ。そういう練習をしても、選手が本気になってやらないと意味がありません。僕は選手に信頼されるために、技術指導、また言葉遣いを勉強しました」

 技術指導の引き出しを増やすために、元プロが主催する指導者講習会には、用事が重ならない限り、出席し、日頃の指導で感じた疑問を元プロの方にぶつけていった。言葉遣いは、2008年秋に四国遍路を行っていたとき、日中、歩き通しで足がパンパンな時に、励ましの言葉をかけられ、そこから5キロ以上も歩くことができたという。これは野球でも使えると思い、選手の接し方で大いに役に立っているようだ。

 こうして、あっという間に、予定の1時間半が過ぎた。
「まだ喋りたいことの5分の1しか話していないけど、皆さん、熱心に聞いていましたね」
高嶋監督の話に多くの指導者がメモを取り、熱心に質疑応答を取っていた。
高校野球の指導者としての在り方を話した高嶋監督。その後の懇親会では、多くの指導者が高嶋監督に質問していた。
専門家を招いて行われる指導者講習会。今後も、高校野球のスペシャリスト、野球界のスペシャリストを招き、東京都の指導者、球児に還元し、東京都の全体のレベルアップを行っていく。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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