沖縄尚学vs石川
11回表に一挙5得点を奪うも、最後は冷や汗勝利
土壇場で同点に追いつき、喜びを爆発させる石川ナイン
敗れたものの野球は最後まで分からないということを、強烈なまでに印象付けた沖縄石川ナインの驚異的な粘りだった。
先制したのは沖縄石川。1回裏、ニ死から徳山煌汰が二塁打を放つと、ブランドン大河がきっちりとセンター前に運んで4番の仕事を果たした。
追い掛ける沖縄尚学は2回表、6、7、8番の3連続単打であっさり同点とすると、その後ツーアウトながら満塁と攻め立て、3番比嘉優真がセンターへ弾き返して二者が生還した。
沖縄尚学は4回表にも四球の走者を犠打で進め1番へ返す。ここで仲西莉音が、レフトへのタイムリー二塁打を放ち1点を加えるが、沖縄石川もその裏の知花大義のタイムリーに続き、7回には當眞智也の犠牲フライと引き離されまいと粘る。すると沖縄尚学は8回、知念大河がレフトへの三塁打を記録すると、大兼久亮平のライト前タイムリーで突き放した。
9回裏の沖縄石川は、代打の冨着敬太がヒットを放つが併殺崩れで二死一塁と、あとが無くなる。だが當眞がヒットで繋ぐと、ここまで4打席凡退の伊波大輝がレフト線へ運ぶ。懸命に飛び込んだレフトだったが、その脇をすり抜けるようにボールがフェンスまで転々とする間に二者が返り土壇場で同点に追い付いたのだ。
そして運命の延長11回がやってきた。
ホームを死守する仲西(沖縄尚学)
沖縄尚学は一死一・三塁とすると比嘉優の二塁打で1点を返すと、次打者の内野ゴロの間に2点目。続く5番上原光貴の、この日3本目となるヒットがタイムリーとなり3点目を挙げた。さらにエラー絡みで二者を迎え入れ一挙5点を刻み込んだのだ。
相手は下位打線からとあってこれで勝負あり、と殆どの人が思っただろうが沖縄石川ナインは誰一人、諦めていなかった。
先頭打者が四球を選ぶと、フィルダースチョイスとヒットで無死満塁と最高の形でトップへ回した。ここで當眞の打球はライトを破る走者一掃のタイムリー三塁打となり球場は騒然とする。三振でやっと一死を取った沖縄尚学バッテリーだったがそれもつかの間、4安打目となる徳山のセンター前ヒットと、3安打目となるブランドンのライト前ヒットなどで1点を返し、なお満塁としたのだ。
だが、最後の最後で気合のピッチングをした3番手諸見里俊が投前ゴロに斬り、本塁から一塁へと転送するダブルプレーで激闘の幕を閉じたのだった。
沖縄尚学が16本、沖縄石川が18本のヒットを記録するなど3時間39分の長丁場は、最後の最後まで見応えある応酬であった。
5、6、7の中位打線で10安打を集めた沖縄尚学が、優勝した4年前に続く8度目の決勝へコマを進めたが、2度の崖っ淵をはね返そうとした沖縄石川ナインの粘り強さにも拍手を送りたいナイスゲームだった。
(文=當山 雅通)