【侍ジャパン18U代表】浦和学院高等学校 小島 和哉選手
2013年選抜甲子園優勝投手となった浦和学院・小島和哉。とても2年生とは思えない完成度が高く、隙の無い投球に、しっかりと考えて投げられる投手だろうと思い、ぜひ彼の考えを聞いてみたかった。その機会がようやく実現した。小島和哉の野球観、取り組み、今大会にかける意気込みに迫る。
本領発揮はこれから。小島の夏大会終了後からここまでの過程を振り返る
小島 和哉(浦和学院)
スリランカ戦に登板した小島。この日は2回無安打無失点に抑える快投を見せた。この試合についてどんなテーマで臨んだか。
「今日はテンポ、コントロールですね。あとはストレートだけではなく、変化球を織り交ぜながら、自分の感覚を掴んで良いイメージを残すことがテーマでした。あまり力を入れなかったのですが、逆に、力みなく投げれば、しっかりとボールが行くんですよね」
キレの良い135キロ前後のストレートが両サイドに決まり、隙のない投球を見せていた。
夏の埼玉大会3回戦で敗れた浦和学院。小島は引退直後、まず夏の追い込みで疲労した体力を回復させ、1、2年生のサポートに当たりながら、練習に取り組んだ。選ばれるかもしれない。その一心で、体力強化。そして夏の大会で乱れたフォーム修正に取り組んだ。
そして見事に代表に選出され、小島の努力が実を結んだ瞬間であった。小島は選ばれた喜びを投球で披露。近畿大学戦では4.1回を無失点に抑える好投を見せた。
小島は翌々日の関大戦後に行われたタイブレークの練習にも登板。この時から実に素晴らしいストレートを投げ込んでいたが、制球を乱し、カウントを苦しくする場面が見られた。小島はタイブレークの練習からこんな反省を行っていた。
「点差にもよりますが、満塁策にした場合、攻め方一つで結果が変わりますよね。この場面、ストライクがバンバン取れないですし、カウントを悪くしてからカウントを取りに行こうとすると、甘く入って打たれるリスクもありますし、だから攻めにいっても、死球もあり、四球もありといろいろなパターンが想定されます。そういうリスクの中から好投するには、1球1球、丁寧に投げることだと思います。大会前にそういう場面で投げられたのは大きいと思いますし、それを生かすのは自分自身だと思います」
自分のなかで、いろいろなパターンを想定しながら下級生時代から厳しい修羅場をくぐったからこそ発言できるコメントで、その対処の仕方も分かっている。本当にクレバーな投手だと感じる。
引退すれば、つらい練習から離れたくなるもの。甲子園出場選手以外で、代表選手になった選手はそれまで本格的に練習していない選手の方が多い。選ばれるか分からない状況下で、夏が終わっても、自分の課題克服に取り組んだことが素晴らしい。
決勝リーグで登板の可能性あると信じて調整を続ける。韓国vs台湾の試合を見ていた小島はこう答えた。
「韓国は左打者が多いですよね。昨日、見ていて左に弱いんじゃないかなと思いましした。自分の出番はあるかもしれないですし、さらに調子を上げて、ベストな状態で、韓国打線に立ち向かっていきたい」
まだすべての力を出し切っていないだろう。課題を自分で見つけ改善に取り組める選手は強い、小島の本領発揮はこれからだ。
(文・河嶋宗一)
【試合レポート】18U日本代表vsスリランカ(2014年9月02日)