一次予選の戦いから決勝リーグ対戦国を分析 ~台湾代表~
予選リーグで韓国に敗れた台湾だが、ポテンシャルの高いチームであることは間違いない。
木製バットも普段から使用しているため、しっかりと対応して強く振ることができている。韓国戦では本塁打こそなかったものの、タイ戦では本塁打もでている。甘い球は、簡単に長打にされる危険性があり、日本バッテリーは、そこを一番に警戒するべきだろう。
140キロ左腕・王玉譜と身体能力に優れた野手陣
王玉譜(Wang YU PU・台湾)
韓国vs台湾の一戦で光る活躍を見せていたのは、左腕から140キロを計測していた王玉譜だ。
日本は一次ラウンドで、左の速球派との対戦経験はない。ここまで軟投派の投手に対してはしっかりと自分の間で打ち込むことが出来ていたが、135キロ以上で、さらにキレのあるスライダーを投げられる左投手になると、点は入りにくいと考えられる。
また野手では、スピードとパワーを兼ね備えた二塁手・王崇穎など、韓国の野球と比べると洗練さはないが、それでも身体能力の高さを生かした野球で、日本よりパワフルさを感じる。
決勝リーグで対戦する日本戦へ向けて選手たちは、
「日本は投手陣のレベルも高く、守備も走塁も素晴らしいですが、打撃が弱いように感じました。パワーならば絶対に日本に負けないので、自分たちの野球でしっかりとリードをし、投手陣が抑え、日本のペースにさせないようにしたい」
と、意気込みとゲームプランについて話してくれた。
「優勝旗を台湾に持ち帰りたい」と語る台湾ナイン。3大会ぶり3回目の優勝を目指す。
決勝トーナメントで台湾とどう戦うか?
王崇穎(Wang Chung Ying・台湾)
韓国に比べて野球の洗練さがなく、日本にとって戦いやすいチーム。全体的にフィールディングの動きが緩慢で、走塁の判断もあまり得意ではないように見えた。
韓国戦では無死一塁から左中間に抜けた打球を台湾は三塁止まり。日本ならば、一気に本塁を狙うコースだ。
全体的に先を見ての走塁は出来るチームではなく、逆に日本の強みである走塁を発揮しやすいと考えられる。やはり1番脇本直人(健大高崎)、2番峯本匠(大阪桐蔭)の俊足コンビがかき回し、巧打者・岸田行倫(報徳学園)がつないで、4番岡本和真(智弁学園)の一本で還す攻撃が理想となるだろう。
台湾の投手は制球力に優れたタイプではなく、球数を重ねやすい。香月一也(大阪桐蔭)などファールで粘れる選手が、球数を増やし、スタミナを消耗とさせたところから攻撃を仕掛けていきたい。
また王玉譜の後に登板した頼智垣、陳宗鈺はともに右投手で、球速は135キロ前後。打ち難さはなく、関西大(試合レポート)、近畿大(試合レポート)相手に打ち込んだ日本代表ならば、打ち崩せない投手ではないだろう。
いかに先制して、日本にとって優位に持ち込むかがカギ。また日本の投手陣はここまで直球中心で、キレのある変化球をまだ見せていない。決勝トーナメントの準決勝では、投球の全てを引き出し、台湾打線をしっかりと抑えていきたい。
(文=河嶋宗一)
【試合レポート】韓国vs台湾(2014年09月01日)