試合レポート

大阪桐蔭vs鳥羽

2014.06.01

流れを変えるべく、1番・中村が見せた工夫!

大阪桐蔭vs鳥羽 | 高校野球ドットコム 

バントの構えを見せる中村誠(大阪桐蔭)

 立ち上がりからしばらくは、京都鳥羽の流れだった。

 1回表、先頭の森田悦司(3年)が相手守備のミスで出塁。この後、三塁まで進むと、4番山本拓也(3年)のタイムリーで1点を先制した。
 1回戦に続いて先発のマウンドに上がったエース島西大来(3年)はその裏、四死球を与えるものの、大阪桐蔭打線にヒットを許さない。続く2回も三者凡退に打ち取り、ピッチングのリズムは完璧なように見えた。

 しかし、大阪桐蔭のポイントゲッターである1番中村誠(3年)が、島西のリズムを崩そうと立ちはだかる。

 3回、一死で廻ってきた第2打席。島西が投じた1球目に、セーフティバントの構えを見せた。『何としてでも、相手ピッチャーのリズムを崩す』という意思が感じられる中村の構え。このイニングの得点には繋がらないのだが、中村はヒットを放ってチームを勢いづかせた。

 その勢いを見せたのが次の4回裏。先頭の4番正隋優弥(3年)がヒットを放つと、バントと外野フライで三塁へ。そして7番森晋之介(3年)がセンターへタイムリーを放ち、同点に追いついた。

 逆に相手に勢いづかせてしまった京都鳥羽。この後、守りに乱れが出て勝ち越しを許してしまう。さらに5回に2失点、6回に3失点、7回に大阪桐蔭大森聖也(3年)に本塁打を浴び、7点差がついて、7回コールドゲームとなってしまった。


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鳥羽のエース・島西大来

 ゲームを振り返る上で、やはりカギとなったのが大阪桐蔭の1番中村の存在だ。マウンドの島西は第1打席こそ抑えたものの、中村がバントの構えを見せた第2打席でヒットを浴び、4回の第3打席でもあわやタイムリーとなるヒットを打たれた。ここはバックの好返球でランナーをアウトにしたのだが、島西の流れがいつの間にか中村の流れを変わっていたことが、スコアブックからも窺える。

 そして、京都鳥羽の山田知也監督がポイントに挙げたのが3点を失った6回の攻防。中村の前の打者である9番ピッチャーの福島孝輔(3年)に四球を与えたところだ。これが伏線になり、次の中村との勝負で、先に追い込みながらも、島西が根負けをして四球を与えてしまった。「心の部分の弱さですね」と話した山田監督。

 一方の大阪桐蔭・西谷浩一監督は、「特に私の方から何かを言ったわけではないのですが、(選手たちが)一週間準備をしっかりとして、自分達で狙い球を絞ってやったと思います」と選手自身の工夫が実ったことを強調した。

 流れを変えようと工夫を試みた中村に勢いをもらった大阪桐蔭。立ち上がりの良い流れを変えられてしまった京都鳥羽。

 ほんのわずかな工夫が勝負への布石となったように思えた一戦であった。

(文=松倉雄太

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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