試合レポート

智辯和歌山vs和歌山東

2014.05.02

力みが消えてから!

智辯和歌山vs和歌山東 | 高校野球ドットコム 

公式戦初完投の齋藤祐太(智辯和歌山)

 智辯和歌山は、春の選抜大会で好投した2年生左腕の齋藤祐太が今大会初登板。勝てば夏の和歌山大会でのシード権が獲得できるとあって、高嶋仁監督はしっかりと勝ちにいく投手起用をした。

 ところが、初回の先頭打者に死球を与えるなど、序盤は球が荒れていた。
 2回に自らの三塁打で2点を先制しても、ピッチングでは中々本来の姿に戻らない。3回のマウンド前には、球審と何か話しこむ姿もあった。「多分、二段モーションのことでしょう」(高嶋監督)。
 その3回のマウンドで、和歌山東の2番塩路佑哉と3番保井寛太(ともに3年)に連続長打を浴びて1点を返された。

 裏の攻撃で智辯和歌山も1点を取って突き放すが、続く4回にはスクイズで再び1点を奪われた齋藤。智辯和歌山のベンチ前では、エースナンバーの東妻勇輔(3年)が準備を続けていた。

 ただ、「東妻を出したら、引っ張りだしたらアカンで」と高嶋監督が檄を飛ばしてから、齋藤のピッチングは変わった。5回以降は序盤に見せた球の荒れがなくなる。原因は力みだった。

 「肩の力が抜けた途端に自分のペースになる。あれが本来の齋藤」と指揮官も目を細めるピッチングを見せだした。結局、5回以降に背負った走者はエラーで与えた一人だけ。後半の6回以降はパーフェクトに抑えて、公式戦で初完投を果たした。

 「齋藤は自信になったというより、130そこそこのボールなので、真っ直ぐだけでは打ち取れない。その辺りが少しわかってきたんじゃないですかね」と高嶋監督。甲子園で課題として挙がった二段モーションも、少しずつ改善が見られるようになってきた。

 この左腕の成長が夏2年ぶりの出場と甲子園勝利へのカギとなるのは間違いないと言えるだろう。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.19

あのスターたちも春季関東大会に出場していた!モノが違った8人の逸材たち【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.20』】

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?