試合レポート

小禄vs那覇商

2014.03.29

約1年と5ヶ月振りの再戦は、時を経てあの場面を思い起こさせた

小禄vs那覇商 | 高校野球ドットコム

小禄・島袋 洋平投手

 小禄那覇商。あれは1年4ヶ月と3週間ほど前になるだろうか。

 2012年11月3日。一年生中央大会出場を目指していた両校は、第二代表の座を巡って好勝負を演じ沖縄工那覇商との戦いを制した小禄は、中央大会でも躍進しベスト4へ進んだ。

 時を経た2014年3月26日、小禄那覇商は再び対峙。あのときと同じく、島袋 洋平浦崎 安鷹がマウンドへ上がった。

 先制したのは小禄。初回、二死三塁として4番手登根 諒介がレフト前へ運びタイムリーとすると、5回には2番金城 光がライトの頭上を襲う大きな当たり!二塁にいた島袋 洋平が悠々と生還すると、金城 光は三塁ベースを蹴って確認。送球が乱れるのを見るや一気に本塁を陥れた。

 小禄は7回にも1番金城 勇のタイムリー三塁打などで決定的とも思える3点を追加。
 だがこれが「大きくリードしたものだから、僕が言ってたことをすっかり忘れてしまった 」と、試合前に野原監督がナインに伝えていた“この試合は1点を争うような試合になるぞ!”という緊迫感が、少しずつ緩み始める。


小禄vs那覇商 | 高校野球ドットコム

二塁打を放つ那覇商・桃原 雅史

 事実、那覇商は6回までに上位3人で5安打と、島袋 洋平を打ちあぐねていたわけでは無かった。7回、その3人へ打席が回る。二つの四死球などで一死満塁とすると、那覇商で一番頼れる桃原 雅史が、ベンチの期待に応えるセンター前2点タイムリーを放ち反撃ののろしを上げると、あの1年と5ヶ月前のようなドラマが待っていた。

 後がなくなった那覇商は9回裏、「終盤は完全にスタミナ切れでした」と語った島袋 洋平の制球の乱れから、中島 樹一郎桃原 雅史が連続四死球で無死一、二塁とすると、ここまで全くタイミングがあっていなかった4番宮里が弾き返す。

「9回表を終えて4点差。その気持ちの緩みが、打球に対し見えにくい真っ正面へ入らせた 」(野原監督)。

 打球は頭を越えて外野の奥へ。打球の確認をすることなく、一気に三塁を蹴った宮里が本塁へ滑り込む3点ランニングホームランで、最大6点あったのをついに1点差にまで詰め寄った。

 さらに続く打者も内野安打で出塁すると、スタンドのボルテージはさらに高まる。体力は限界に近づいていた島袋 洋平だったが、ここで気力を振り絞りこの日10個目の三振を奪うとレフトフライ、ファーストゴロとして熱戦に幕を降ろした。

 1年生だったあの日から、確かな成長を見せた両校のナイン。差が無かったことからも、これまでの間の練習での努力の跡を感じさせた。最後の夏もまた、好勝負を演じてくれると信じて今後も彼らを見守りたいと思う。

(写真・文=當山 雅通)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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