【東京】廣戸聡一氏による高校野球ドットコム指導者講習会を開催!
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身振り手振りをしながら説明する廣戸氏
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廣戸聡一氏による高校野球ドットコム指導者講習会を開催!
高校野球ドットコムは2月23日、東京都内で指導者講習会を開催した。今回の講師は4スタンス理論を提唱し、多くのプロ野球選手を指導している廣戸 聡一氏。都内の中学、高校の指導者向けに開催された。
今回のテーマは「4スタンス別打撃強化法」。
廣戸氏は体の使い方、身体の癖というのは1人1人全く違うため、体の使い方に合った指導をしないとパフォーマンスは伸びない、と説明した。人間は4つのタイプに分けられ、そのタイプに適した動きを指導する必要がある。そのタイプがその人にとって一つの「個性」というのが4スタンス理論の考えである。例として挙げたのが、指導しているプロ野球選手。その選手はどうしても直らない癖があった。指導者はそれを欠点と指摘する。だが廣戸氏はその選手の体の使い方には個性があり、彼にとって一番自然な打ち方があるのだから、その選手に合う体の使い方、打ち方を教えないといけない。その欠点を直そうとするとさらに悪いパフォーマンスにつながってしまうのだ。
また日本で当たり前のように使われている「軸」。これは日本にしかない表現で、廣戸氏が英訳を探したがなかったという。それは、大きな武器になっているようだ。
「みなさん、何気なく相手チームを見て、打たなくても、投げなくてもキャッチボールや準備体操をするだけでこいつ良い選手だなと思う時がありますよね。なぜそう感じるかというと日本人は軸が安定している選手を見極める目があるからです。人間にとって軸はとても大事です。日本人投手がMLBで活躍出来るのはコントロールが良いから。コントロールが良いのはどういう体の使い方をすれば、どこのコースへ行くのかを軸を理解して投げているからなんです。」
軸の大事さを説き、安定した軸を作るには練習ではなく、普段の声掛け、準備体操から作り上げるものと話す廣戸氏。なぜ声を出すことが大事なのか。
「声を出せというと何かと根性論だ、根性論だといわれるのですが、声は姿勢が良くないと出ないんです。一流選手ほど声を出していますよ。言われているからではなく、声が出るような姿勢が自然とできているからです。だから声を出すというのは理に適っているです。私は野球選手だけではなく、声を職業にする歌手も指導しています。歌手は良い声を出すために鍛えたり、姿勢も良くしますよね。野球も一緒で、声が出る選手は軸がしっかりしていて準備ができているんです。だから声が出ない選手、姿勢が悪い選手はその時点で損をしているです。
指導者の皆さんは準備体操もしっかりと見てください。準備体操の動きを見れば、しっかりした姿勢をやってできているな、こいつは適当に準備体操をやっていて故障しそうだなというのがすぐに分かります。必ず見てください。」
プロ野球選手、歌手を例に出して、声を出す重要性、準備運動を見る大事さを説いた。
腹筋をするために足を組ませる廣戸氏
いよいよ4スタンスのチェックに入る。廣戸氏は受講者を集めて、そのうちの1人に足を組むまでの過程を変えていきながら腹筋を行わせた。片足ずつ丁寧に足を組むとできる受講者が、今度は両脚を回してから足を組むと失敗してしまう。その姿に他の受講者は驚きの声を上げた。
これは動作に制限を与えて、自然にできる動作と出来ない動作を見ながら、自分はどんなタイプなのかを理解させる狙いがある。続いて打撃の構えでタイプをチェック。イチローのように前方に腕を伸ばしてから構えに入る体の使い方がしっくりくる選手もいれば、体の近くで腕を組む方がしっくりくる選手もいる。
自分にとってどの構えがしっくりくるのかを見つけることが大切。自然な形でプレーをするのと、無駄な力が入る形でプレーするのでは、どちらが上達しやすいかといえば、前者である。後者は逆に無駄な力が入り、故障のリスクもあるのだ。
帯を振る準備をする廣戸氏
最後に廣戸氏は持参した柔道帯をもってきて素振りをした。この時、背中に当たらないように帯を振ることが大事。廣戸氏は帯を振っても、背中に当たらないが、受講者が帯を振るとパチンと音を鳴らして背中にあたってしまう。何度も当らないように振るが、うまくいかない。廣戸氏は体幹を意識し、腕に力を入れ過ぎずに振ることを説明した。その説明通り、帯を振るが、背中にどうしても当たってしまい、受講者は軸を意識したスイングの難しさを実感していた。
打撃の技術解釈は多岐にわたっており、それで悩む選手、指導者が多くいる。受講者はフォーム、指導法について廣戸氏に悩みを打ち明けていた。2時間後、受講者はヒントをつかんだのか。すっきりとした表情で会場を後にした。
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