【エルゴメーターの活用法】全国マシンローイング大会 近畿大会に潜入!
第26回全国マシンローイング大会 近畿大会
「第26回全国マシンローイング大会 近畿大会」が滋賀で開催!
エルゴメーター2000m走のタイムを競う「第26回マシンローイング大会 近畿大会」が、デンマーク代表の選手が毎年合宿を行っている縁で、2012年ロンドンオリンピックの軽量級ダブルスカルで金メダルに輝いたMads Russumusenさんを含む3人の海外選手を招き、滋賀県大津市で開催された。
エルゴメーターとは、陸上でボートを漕ぐトレーニングが出来る機器、ボート版のルームランナーだ。レベルに応じて負荷の調節も可能で足から体幹、腕の筋肉に到るまで体全体を鍛えることが出来る。
大枝恵梨花さん(左)と大西花歩さん(右)
全身運動が求められる野球のトレーニングとしても優れており、練習メニューに取り入れている高校もある。特に、愛媛県の高校で多く使用されており、中には14台所有している高校もあるという。
タイムによってABCのランク付けを行なったり、エルゴメーター500m走のタイムがそのまま打順となるようなチームもあるほど体の強さを表している。
この日の競技は、4か所同時進行で開催。中でも、会場中の注目を集めたのが、高記録保持者だけを集めたブロック、エリートレースだ。
同レース・高校の部に出場した選手の中から
大西花歩さん(大津高校)
風岡知君(伏見工業高校)
大枝恵梨花さん(桜宮高校)
大植悠太君(洲本高校)
の4名に、実際のトレーニングメニューを教えてもらうとともに、エルゴメーター使用時のアドバイスをもらった。
大植悠太君(左)と風岡知君(右)
4名のメニューで多かったのが「長距離走」と「インターバル走」。「長距離走」は6000mか30分全力で漕ぎ続ける。
一方の「インターバル走」は
500m(パドル・・全力)
200m(ノーワーク・・ゆっくり)
500m(パドル)
300m(ノーワーク)
1000m(パドル)
500m(ノーワーク)
1000m(パドル)
500m(ノーワーク)
500m(パドル)
250m(ノーワーク)
が一例だ。
ちなみに、この例を紹介してくれたのは大西さん。
「エルゴメーターは楽をしようと思ったらいくらでも出来るので、どれだけ自分に厳しく出来るか」と話し、男子顔負けのハードメニューをこなす。
小谷健太先生(伏見工業高校コーチ)
上半身下半身共にしっかりした体格の風岡君が取り組むのはサーキットトレーニング。バーベルや腹筋・背筋、ジャンプ系など約20種目を組み合わせて行う流れの中にエルゴメーターも組み込まれている。
そんな風岡君を熱く指導するのが、ボート部コーチの小谷健太氏だ。5年間日本代表として戦った経験を持ち、自己ベストタイムは現在も日本歴代トップクラスにランクインしている。
「エルゴメーターには愛情を持って接すること。道具を大切にしないと最後は道具に裏切られる」と、全てのスポーツに通じる心構えを大切にしている。
エルゴメーターを使用する際の注意点は、腕の力に頼り過ぎないこと。大枝さんは「大事なのは大きい筋肉(足と体幹)を使うことです」と力説する。
エルゴメーターを使用する風岡君
一見すると、腕で引いているように見えるが、足→上体→腕の順で引くのが正しいフォーム。戻す時は逆に腕→上体→足とすると体の負担が少なくなる。
逆に、無理なフォームでトレーニングを続けると、腰やひざを痛める原因になることもあるという。
「フォームは正しい見本を真似するのが大事です。誰もわかる人がいなくても、ネットでも見られますよ」とアドバイスをくれた大植君は、エリートレース・高校男子の部において、見事1位でフィニッシュ。
普段、エルゴメーター以外のトレーニングでも、心肺機能と体幹を中心に鍛えているという。砂浜ダッシュや山登りなど地形を生かしたランニングや、腕立て伏せなど自体重で負荷をかける基礎的なものからバーベルなど器具を使用した筋力トレーニングを行っている。
シーズンオフのトレーニングは単調になりがちだ。
特に、エルゴメーターは、楽をしようと思ったら、いくらでも楽を出来る。頑張れば、目に見えて結果が出る反面、サボれば、如実に数字に表れるマシーンだ。
トップクラスの選手たちもエルゴメーターを使用することで、精神面での成長を実感していた。実りの夏へ向けて最大の敵は自分自身だ。