今治西vs八戸学院光星
神野靖大投手(今治西)
今治西が3年連続の東北勢の快進撃を阻止してベスト4進出
八戸学院光星は旧校名の光星学院時代の一昨年、この大会で優勝を果たし、翌年の甲子園では春夏ともに決勝進出を果たしている。
いずれも大阪桐蔭に敗退したものの、前年の夏からの3大会連続準優勝という偉業を果たしている。そして今回、新校名になって初めての全国大会ということになったのだが、ユニフォームなどの基本形は変わっていなかった。
1日に4試合を行う明治神宮大会の[stadium]神宮球場[/stadium]は、特に朝8時30分からの第1試合の場合は人工芝も夜露が乾いていなくて、球脚も速くなりがちだ。しかも人工芝になじんでいない高校生にとっては守りにくいということは否めない。そうした中での試合となった。
今治西は初回、先頭の田頭寛至君がセンター前ヒットで出るとバントで進めて、越智 樹君が左中間へ二塁打を放ち、あっさりと先制した。さらに、3回にも失策絡みの一死一、三塁から再び越智樹君が、今度は右中間を真っ二つに割る三塁打を放って3点のリードを奪った。
その裏に1点を返されたものの、4回、5回とそれぞれ失策で好機を貰うと、4回はスクイズで、5回は6番杉野孝太君のタイムリーで追加点を挙げた。
このリードで左腕・神野靖大君は、ますます自分のリズムに乗ることができて、良いペースで投げていった。持ち味でもある制球の良さもあって、いささか強引に振ってくる八戸学院光星打線も、その投球術にハマってしまっていた。結果的には、3回の新井勝貴君に打たれて失った1点のみに抑えていた。
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北條裕之選手(八戸学院光星)
終わってみれば、神野君は6安打1失点で、ほぼ危なげない内容だった。
それでも、大野康成監督は四国大会よりは調子が良くなかったという印象のようである。
「神野はそれほどいい内容ではなかったと思いますが、それでもよく投げたとは思います。よくなかったところを試合中に修正できたのは大きかったと思います」
と述べていたが、具体的には神野君は、ややインステップ気味になる癖があるのだが、それで球が高めに浮いてしまうところがあるのを試合中に気づいて、中盤から少しずつ修正していったというところである。
そういうところに、選手としての意識の高さがあるとも言えそうだ。それらを含めて野球に取り組む姿勢の正しさを感じさせてくれるのが今治西というチームである。
東北地区代表は八戸学院光星を含めて2年連続でこの大会で優勝して選抜の枠を増やしてきていたのだが、3年連続は成らなかった。
敗れた八戸学院光星の仲井宗基監督は、
「東北地区大会が終わってから期間が開き過ぎたということや、慣れていない人工芝ということもあったかとも思いますけれども、すべては調整不足に尽きると思います。甘さもありましたね」と、素直に敗因を認めて反省していた。
それでも、
「夏からのメンバーも多く残っていますし、経験値もあるはずの選手が多いのですが、そういう先入観に拘らず、もう一度、1からメンバーを決めていくという気持ちでいきたいと思います」と、来春へ向けては、チームとしてももう一度仕切り直しで挑んでいこうという姿勢であるということを語っていた。
(文=手束仁)
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