明徳義塾vs高知工
「凄み」を増す明徳義塾・岸潤一郎の「ストレート」
4回1安打11奪三振と圧巻内容の明徳義塾・岸潤一郎(2年)
「突き刺さる」。この表現しか思い浮かばないほど明徳義塾・岸潤一郎(2年)のストレートは凄みを増している。
2番手の右サイド・壷井涼介(2年)からは代打陣を中心に4安打1得点を奪うなど、スイング軌道の確かさには定評のある高知工業打線に対し4回で奪った三振数は「11」。先頭打者の山﨑遵右翼手を二塁ゴロに討ち取った後は1死球・1安打をはさみ全て三振。その伸びはもはや高校生の域ではない。安樂智大(済美2年)の現状と比較しても、質でいえば岸の方が上と断言できる。
ところが岸は試合後「前日はブルペンでもストライクが入らなくて、試合前はすごく緊張していた。調子もよくなかった」と、大きな不安を抱えていたことを明かした。
ただ、そこからが岸の岸たるゆえん。ストレートを多めに使った方針転換や「マウンドに立ったら夏の経験を思い出せて投げられた」臆病さに立脚した強心臓も自らの評価をさらに上げる要因となった。
腰痛から復帰した棈木裕亮捕手(2年)とのコンビも上々。援護する打線も上昇一途で臨む高知中央との準々決勝。「一戦一戦、自分のピッチングをやっていきたい」と言葉を締めた岸の表情は、昨年、高知南に敗れた昨秋の同じ徹は踏まない決意に満ちている。
(文=寺下友徳)