徳之島vs出水中央
徳之島、投手戦を制す
徳之島・永大志(3年)、出水中央・上原聡一朗(2年)、両先発の好投で6回まで両者無得点。徳之島は7回二死三塁の好機に8番・稲優大(3年)のセンターオーバー三塁打、代打・宮本陽平(3年)のレフトオーバー二塁打で2点を先制した。エース永は終盤も丁寧な投球が衰えず、97球で完封勝利だった。
守備からリズムを作り、少ないチャンスをものにして勝つ。徳之島にとっては、この1年間、チームが目指した「理想のかたち」で完封勝ちした。
昨秋、今春、NHK旗と、敗戦の中でみえてきたチームの課題を克服したことが随所に発揮された好ゲームだった。
エース永は「変化球でカウントをとり、直球で仕留める」という投球パターンを身につけることが課題だった。これまで変化球の制球が定まらず、ストライクを取りに行く直球を打たれていた。この日は緩いカーブや、抜いたチェンジアップなどの変化球が序盤から決まり、自分のペースで投球が組み立てられた。最後の打者をスライダーで三振に打ち取ると、めったに感情を表に出さないエースが、思わずこぶしを握って喜びを表現した。
けん制やピッチドアウトを繰り返し、捕手・西涼介(3年)は2度盗塁を刺すなど、好プレーで相手の持ち味の機動力を封じた。球威の落ちた終盤に良い当たりを打たれた場面もあったが、ことごとく野手の正面に収まった。これも「打たれている」のではなく、野手のポジショニングを考えて「打たせている」守備が機能した成果だった。
ヒットはわずか3本しか打っていないが、打席の立ち位置を目まぐるしく入れ替えて揺さぶったり、塁に出ると足でかき回すなど積極的な「仕掛け」をしたことが終盤に生きた。打点を挙げたのが、NHK旗までことごとく好機をものにできなかった8、9番の下位打線で挙げたというのも大きかった。今後の戦いに弾みになる勝ち方ができた。
(文=政 純一郎)